星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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ホイットマンと折口信夫?

2006-11-07 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
きょうは嵐の一日。
病院へ行かなければならなかったので出かけたけど、
プラタナスの巨大な葉がばっさばっさと舞い狂い、、あれは余り風情の無いものですね。。

私の咽喉も嵐。。
(あなたの咽喉に嵐はあるが…と詠んだのは高村光太郎だ)
自分の体力の許容量を超えると途端にしっぺがえしが来るって情けない。
でも、疲れが出るのを見越して休日にしておいたから、ソファベッドに黒猫のように丸まって、ひたすら読書。

『星々の生まれるところ』マイケル・カニンガム著/集英社

10月に出たばかりの新刊とは知らずに、図書館でぱっと目に留めてぱっと持ってきた。そしたらその直後に、新聞で広告とか、著者カニンガム氏の来日講演とか、記事を目にするようになった。こんな風に、本が「自分を読んで」と言ってくることがたまにある。
以前には、、藤原新也氏の初小説『ディングルの入江』が書店でぱっと目に入り、その直後に講演会があってひと晩で読んで行ったことがあったっけ。

『星々の~』、、は、あの『めぐりあう時間たち』の著者。
時間、時代を超えて、人の心を支配するもの。それを描くという共通項が両書にある。
そして、9・11以後の文学、、として『星々~』は書かれた、と書評にはある。

『星々の~』のベースには、ウォルト・ホイットマンの詩集『草の葉』が使われている。
2,3年前、ちょうどホイットマンを原語で読む機会があって、その言葉を辞書を引きつつ味わっていた時、、、それはやはりNYを詠ったものだったけれど、、、私勝手流に味わうと、R.E.M.のマイケルはもしかしたらホイットマンにとても似ているんじゃないかな、なんて思ってた。現代に蘇えったウォルトだ。ディランでもない、スプリングスティーンでもない、、マイケル。
『星々の~』には、過去/9・11後の今に近い時/近未来、の3つの物語があり、それぞれの物語に、ウォルト・ホイットマンの再来、という存在がある。ホイットマンという存在が特別に重要、というわけではないと思うけれど、ホイットマンが人類や、この地球上の存在に対して向けた視線、その精神がたいせつなものになる。それを何て呼ぶかは、、読んだあと、その人のこころにそっと芽生えるんだろう。。

ちょうど今、教育TVで中沢新一氏が、古代学者・国文学者、折口信夫について喋っている。古代人が持っていた世界理解の方法、世界の森羅万象を「別化性能」ではなく「類化性能」に於いて理解する、ということについても、ホイットマンはつながる、、と思うのは私だけかしら、、。この番組面白そう、、次週も見よう。

NHK教育TV『私のこだわり人物伝 折口信夫 古代から来た未来人』