星のひとかけ

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若葉のころ

2024-04-15 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
週末、 先週行った桜の下を歩いてみましたら 薄紅の花びらたちは すっかり若葉に変わっていました。

街は色とりどりのツツジやサツキの季節になりつつあります。 きょうはいずこも夏日になるとか… 

 ***

みずみずしい新緑と木洩れ日のもとを歩いていたら、、 遠い日のことを想い出しました。 …というか、 このところ たびたび思い出していた、、 あなたのこと。。

新緑のもとを歩いていて 脳裡にきこえてきたのは 「若葉のころ」という歌。 ビージーズが歌って 映画『小さな恋のメロディ』の挿入歌になった歌ですね。 原題が 「First of May」というのだと それはさっき検索して知りました… 笑

この歌を思い出すとき、、 でも思い浮かべるのは『小さな恋のメロディ』ではなくて、 フランコ・ゼフィレッリ監督の映画『ロミオとジュリエット』なのです、、 1968年の映画。 「小さな恋~」のほうは1971年のようですね。

小学生のとき、 田舎の映画館でこのふたつの映画が一緒にリバイバル上映されることになって、 たしか高校生以上の付き添いがあれば観に行って良い、という学校の許可があって、、 それで親友のお姉さんが連れていってくれることに…

記憶がとても鮮明なのは、 その日の、、 まさにその日の写真が残っているから。。 映画に出かける時の バス停で親友と並んで撮った写真。 高校生のお姉さんが撮影してくれた写真。

明るい陽射しの下で 彼女は淡いピンク色の木綿のワンピース、 私はレモンイエローのワンピースに 同じ色のつば広の帽子をかぶって。 、、彼女はちょっとむつかしい顔をしてカメラを見つめている。 私はお姉さんに撮ってもらうので精いっぱいのすまし顔。

彼女は私なぞよりとびきり賢くて 文学少女で たくさんの本を読んでいて、、 お姉さまも学校で有名なくらい優秀で そのうえ美しかった…(撮影してくれたお姉さんの写真が無いのが残念)

映画のことを教えてくれたのも彼女。 観に行く前から『ロミオとジュリエット』の悲恋の物語を話してくれて、 ふたりが仮面舞踏会で出会うことや 眠り薬をつかって恋を成就させようとはかること。。 小学生の自分には彼女のすべてが大人びていて、 彼女が目を輝かせて話してくれるこの映画のすべてが未知の、 初めて知る世界だった…

夢を語り、 夢のような世界を思い描く楽しさを語り、、 小学校の中庭に寝転がっては青空を見上げた。 四つ葉のクローバーを探し、 花冠をつくり、、 スミレの押し花をノートに挟んでくれた…

 ***

小学校卒業と同時に転校して行ってしまった彼女とは 大人になるまでずっと文通をつづけて。。 彼女はとてもとても堅実に、 地元の大学を出て 国家公務員になって、、
いっぽうの私が バンドだのパンクロックだの、、 と(なにを手紙に書いたのか覚えてはいないけど…) そういう私を心配して、、 「お願いだから、 なにかの活動家とかにはならないでね…」なんて手紙で言われたこともあったっけ…

『ロミオとジュリエット』に憧れて、 たくさんの外国文学のファンタジーをじぶんの言葉で私に語ってくれていた彼女が そんな風に生真面目な大人に成長したことを、 すれっからしの私のほうは ほんの少しだけ残念に思ったこともあったけれど、、 それから何十年、、 そして ほとんど半世紀が経つ今、、 


あなたのすべてに感謝しています…




今朝、、 「若葉のころ」を聴きながら、 歌詞をずっと読んでいました。 子供のころに耳で聞いたきり、 ちゃんと歌詞を読んだ事もなかったから。。

歌詞の一行一行 ぜんぶがあの頃の私たちにあてはまる。。



あなたが逝って もう十何度目かの春がきて…




The apple tree that grew for you and me…



あの日 バス停で撮った写真



ふたりの後ろには ちいさな姫りんごの樹があったよね…




きっと今頃は  若葉のころ…





わたしはもう少しここにいるね…

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