prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「パッション」

2004年07月22日 | 映画
しきりと右目がつぶれる。捕まったすぐ後キリストの右目が傷ついて腫れ上がるのをはじめ、そのキリストにちょっかいを出す悪ガキの一人の右目が白く濁っていて、キリストの代わりに釈放される殺人犯バラバの右目がやはり潰れたようになっており、さらにはキリストの横で磔になっている罪人の右目がカラスに突つかれる、という調子。ここまで重なると偶然ではない。
考えてみるとメル・ギブソンの監督第一作「顔のない天使」は顔の半分が火傷でただれている教師役をギブソン自身が演じていたし、「マッドマックス2」でも後半片目が潰れた。何かトラウマでもあるのだろうか。

ゲッセマネの園の場面からしきりと悪魔が顔を出す。ヘビを使ったり、蛆のたかった馬の頭に変身したり(蠅の王=ベルゼベブか?)と色々な要素が混じっている感じ。その悪魔と聖母マリアがゴルゴダの丘にひかれていくキリストのそれぞれ右側と左側で追いかけて走る場面が一つの典型で、面の左側が聖に、右側が俗というより醜に対応していると思える。マリアと子供の時のキリストとの像に対応するように、悪魔が老人の顔を持つグロテスクな赤ん坊を抱いていたりする。そして、ラスト復活するキリストが右側の横顔を見せている。
醜の描写が極限に達するのはもちろん、鞭打ちから茨の冠をかぶせて十字架を背負わせての受難の超がつくリアルな描写だ。それと山上の垂訓から最後の晩餐といった“名場面”がカットバックされるのだが、こっちの方はごく型通りであまり訴求力はない。それにしても絵画ではグリューネヴァルトの磔刑図やハンス・ホルバインの「死せるキリスト」みたいな異様に残酷なものがあるから、今度のアプローチが前例のないものではないが、なんでまたここまで残酷に描くのかという疑問は残る。
全編アラム語で通している仰天ものの考証。耳で聞くと、ちょっとイタリア語に似た感じ。
(☆☆☆★)

くたばれIWC

2004年07月22日 | Weblog
IWCで商業捕鯨再開否決。予想されていたことだからびっくりはしないが、もういいかげんIWCなんかから脱退した方がいいね。ファナティックな非科学性といい、日本をナメてる態度といい。
第一、あそこに参加している国にはスイスやモンゴルみたいに海のない国が混ざっているんだ。まじめに捕鯨問題を話し合える場ではない。