prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アンダー・サスピション」

2005年05月20日 | 映画
ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマンの競演が最大の売りで、少ない登場人物でみっちり噛み合うから演劇的なのかと思うと、フリーマンの尋問を受けるハックマンの回想の画面にフリーマンがまた現れたりする凝った技法。
画面がストレートに示す警察の無礼とも違法ともいえる突っ込みの一方で、ハックマンが妻役のモニカ・ベルッチとは回想でもまるで顔を合わさず、取調室でもマジックミラー越しだったりして徹底して断絶が強調されている。
どんでん返しものはがくっとくるのが多いのだが、ミステリとすると、え? と思うようなひねりの後、ラストやっと一緒の画面に収まった夫婦の微妙な距離感に、これ話のひねりで見せるのが目的じゃないな、男女関係のややこしさを描くのが狙いだなと思う。

男女がずうっと顔を合わさないという作りから、「死刑台のエレベーター」がスリラーである一方で、まるで劇中顔を合わさない男女がラスト写真の中だけで仲睦まじい姿を見せていて、しかもそれが犯行の決め手になっているという非常に凝った作りの恋愛劇でもあったのとちょっと通じる作り、と思ったら果たせるかなオリジナルはクロード・ミレーユ監督、リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・セロー、ロミー・シュナイダー主演のフランス映画。お国柄というのは、リメークでも出るものですかね。「レイプ殺人事件」というヒドい邦題でビデオ化されているらしいが、キャストからして機会があったら見てみたい。
(☆☆☆)



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