prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「盲獣VS一寸法師」

2006年06月10日 | 映画
石井輝男という半世紀かた撮影所で腕を培ってきたベテラン監督が、素人と同じ土俵に立って自らデジカメをまわして編集もやってしまったという珍しい作り。

切断された脚をぶら下げた風船を発見した人々とカットバックするあたりさすがに編集の腕は確か。
デジタル映像だと手足の切断など血みどろの描写がいかにも作り物であることがバレバレになってしまうのは難。

金のかかっていないこと丸わかりなところも自主映画だが、古い建物を見つけてきたロケハンの手はかかっている。

主演がリリー・フランキーというのは、今見るとびっくり。
役者陣はラストぬうっと顔を出す丹波哲郎を除いて知名度はあるが素人衆だが、ミゼット(小人症)を堂々と出してくるのは今どき珍しい。

場面展開が行き当たりばったりもいいところで、安っぽさとチャチさとともにひたすらぐるぐる色々な物を見せるだけの昔の見世物小屋的。
スジで見せないので、妙に早送りしにくい。
(☆☆★)



盲獣VS一寸法師 - goo 映画

盲獣VS一寸法師

クロックワークス

このアイテムの詳細を見る

「夢駆ける馬ドリーマー」

2006年06月10日 | 映画
「実録」ヤクザ映画「仁義なき戦い」について脚本の笠原和夫が「実録というのは堂々とウソがつけるということです。まさかと思うような設定や展開でも、いや、実録ですから、と言えば通ってしまう」と語っていた。
これが実話にインスパイアされたストーリーというのも、似たようなものではないか。えっ、こんなことってホントにあるの? というところがずいぶん多い。

デビッド・モースのとことん憎まれるために出てきたような役の設定ぶりなど、いかにもハリウッド映画的。
この映画のウマは、馬糞をたれないみたいだ。

馬がダコタ・ファニングを乗せて暴走する場面、当然だが乗っているのは大人のスタントマンで、ただし暴走する前に帽子をかぶって目立たなくしている。これ「E.T.」の自転車チェイスの前に子供たちがフードをかぶるのと同じ演出。

ファニングは歯並び悪いけれど、成長したらどうするつもりだろう。ハリウッド・スターの歯並びというのは三島由紀夫が「トイレのタイルみたい」と形容したくらいやたらと整っているものだが。

「ソーニャは売り物じゃないわ」というのに対して、「世界中のすべての競走馬は売り物だ」と父親のカート・ラッセルが返すが、競馬にまつわる色々なビジネスが細かく描かれているのが興味深い。馬を競りにかけるためのレースなんてあるの、知らなかった。
(☆☆☆)



夢駆ける馬ドリーマー - goo 映画

夢駆ける馬ドリーマー - Amazon