田中裕子と岸辺一徳のラブストーリーが一方で町の女性文筆家が書く小説としても語られる。不思議とこういう話法にすると、悲劇的な展開が予感されるし、その通りになる。
田中がベッドに「カラマーゾフの兄弟」を持ち込んでいる場面もあるし、二人が親同士の逢引を見てしまうのは本屋という設定。
しかし、読書そのものが直接描かれているわけではない。しかしこの題名で、なぜか違和感はない。
読書という言葉が、内省性や、日常をもう一つ大きく包むような沈殿して情念というか、パッションとつながっているよう。
リアリズムと省略のともにメリハリがきいて、シーンとシーンの<間>がものを言っている。
その中に、ボケが入ってきている学者の「カレー小僧」の妄想など、ちょっと今村昌平みたいな幻想味が入る。
子供をほったらかしにしている親から離して保護するかどうか判定するチャートがあって、複数の人間がイエスかノーかで答えて処分を決める情景など、岸辺が勤める役所の地方行政の細かいところを具体的に描きこんでいるのが面白い。
坂の多い街を田中が昇って牛乳を配達していく情景で、人生の大変さを自然に眼で見せる。
(☆☆☆★★)
いつか読書する日 - goo 映画
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田中がベッドに「カラマーゾフの兄弟」を持ち込んでいる場面もあるし、二人が親同士の逢引を見てしまうのは本屋という設定。
しかし、読書そのものが直接描かれているわけではない。しかしこの題名で、なぜか違和感はない。
読書という言葉が、内省性や、日常をもう一つ大きく包むような沈殿して情念というか、パッションとつながっているよう。
リアリズムと省略のともにメリハリがきいて、シーンとシーンの<間>がものを言っている。
その中に、ボケが入ってきている学者の「カレー小僧」の妄想など、ちょっと今村昌平みたいな幻想味が入る。
子供をほったらかしにしている親から離して保護するかどうか判定するチャートがあって、複数の人間がイエスかノーかで答えて処分を決める情景など、岸辺が勤める役所の地方行政の細かいところを具体的に描きこんでいるのが面白い。
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