同じテレビ東京系の深夜でアニメ版の「ゴルゴ13」を放映中なのに合わせたのだろうけれど、正直なところ珍品を期待して見て、やはりなかなかの珍品でした。
パンチパーマの千葉真一のゴルゴというのが相当な珍景。そのくせもみ上げはしっかり伸ばしていて、メイクも服装も濃ゆいこと。
外国人が西洋人も香港人も全員吹き替えの日本語というのも、まことに変な感じ。原作のデイブ・マッカートニーあたりに相当する協力者をやっているのが、なんと黒パッチ姿の鶴田浩二。大東亜戦争で南方に出征したまま日本に帰りそびれた元兵士、という設定は鶴田当人に重ねているのだろうけれど、あまりにアナクロ。
ゴルゴというより、銃より空手に頼るところが多いこともあって、昔の東映や香港映画らしいチープなアクションものに近い。それでところどころに原作の断片がパッチワークよろしく入っているのだから、ほとんどパロディみたいに見えてくる。
監督は、「不良番町」「0課の女・赤い手錠」の野田幸男。
ドラマがどうこうという映画ではないけれど、一般論としてゴルゴはもともと出自も何を考えているのかもまったくわからないキャラクターだから、一本の長いドラマの軸に据えるのはムリだと思う。原作ではドラマがあるのは依頼人たちの方で、基本的にゴルゴは「脇役」なのだから(なんと、一度も出てこない回まである)。連続ものでないと軸にはならないのだろう。
(☆☆★★)