prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「太平洋ひとりぼっち」

2008年11月11日 | 映画
太平洋横断の後、久しぶりに入った風呂がものすごく汚れたり、家族からかかってきた電話も無視して欲も得もなく眠りこけているあたりの市川崑らしいひねった締めくくりは面白い。

冒険家って、どうやって費用を都合するんだろうとニュースを聞くたびに不思議に思うのだが(スポンサーを探すんでしょうねえ、やはり)、ここでは自分で爪に火をともすように働いて貯めたわけで、'62年という時代にふさわしいつつましさ。

ヨットの航行の実感は十分に出ているとは言いにくい。海の上の撮影自体、この当時の技術と資本力ではムリがあったみたい。市川崑自身、ヨットにエンジンつけておけばもっと自由に動かせたなんて言っていたと思う。
たった一人で単調な長丁場をもたせる技術は、「翼よ! あれが巴里の灯だ」に及ばず。親との関わりが大きくウェイトを占めるのが日本的。
(☆☆☆)


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