prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ある公爵夫人の生涯」

2009年05月01日 | 映画
「バリー・リンドン」より少し後の、王侯貴族社会が次第に崩れて議会が力を持つようになる時代。ヒロインは両方の階級にまたがって不倫するわけで、子孫のダイアナ妃と強いて結びつけることもないだろうが、気取った外観と下世話な内実と、なんかやってることはそんなに変わらない。同居するもう一人の妻と対立しつつ妙に仲がいいあたり、カミラとチャールズとダイアナの関係を思わせたりする。

実の子供を取り上げられるあたり、日本で作ったらどろどろになりそうだが、割とドライな扱いなのはイギリス製らしい。それにしても、イギリスの芝居や映画は、この子が後にたとえばエリザベス女王になってどうこうというラストをつけるのが好きね。

風俗の再現は大いに凝っていて、窓ガラスが十分に透明でなくモヤったようになっているのを好きな男の姿しか見えなくなっている主観ショットに生かしたり、やたら長いテーブルの両脇に夫婦を座らせて両者の心理的な距離を表現したりしている。
初夜でコルセットを外すと締め付けた跡が背中にくっきりついているとか、バカみたいに装飾的なかつら(ウィッグ)に火がついて燃え上がり、水ではなくワインをかけて消すなど、豪華一方でなくリアリズムが入っている。
(☆☆☆★)