prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「インビクタス/負けざる者たち」

2010年02月15日 | 映画
イーストウッドとしては驚くほどストレートな感動作。
「素直に」感動できるという意味でもあるけれど、スポーツものだと「ロッキー」が典型だがたいていはとても勝てそうもない相手に追い詰められるいわゆるロウ・ポイントがあるのだが、それがない。いけいけドンドンで押し切ってしまう。

本当のロウ・ポイントはアパルトヘイトそのものということになるのだろうけれど、南アの人種対立を具体的に表す描写が少なく、マンデラ大統領のこれまでの軌跡の知名度や観客の知識に頼っている感もあって、具体的な描写としては本来イーストウッドが得意としていた陰影の部分が案外乏しい。あくまで相手を許さない人間は、黒人白人ともにいくらもいるはず。
ラグビー・シーンの重量感はすごい。

決勝で当たるニュージーランドの主力選手は容貌からして明らかに先住民族マオリの出で、試合前にマオリの戦いの踊り(ハカ)をやるが、もともとラグビーの試合でやるようになってから一般に知られるようになったそう。

今やっているバンクーバー・オリンピックも開会式では先住民を立てた演出をしていましたな。北京でも(偽者だったが)そうだったし。
さてどの程度、「現実」に人種・民族間の「融和」にスポーツがどこまで貢献できるのか、正直スポーツに興味のない人間としては、心もとなく思う。スポーツで認められるのは、よっぽど素質に恵まれた人間だけなのだから。
(☆☆☆★★)

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