すべてワンシーンワンカットで収めた九つのエピソードから成り立つ一種のオムニバス。ただし、特にオチはなく、お話映画にはなっていない。初めもなければ終わりもない人生の断片を切り取ってきて、その描かれていない部分の余白を想像させるような作り。描いている部分はまったく省略なしなわけで、そのリアリティを埋める役者たちがみんなうまい。
しかし、昔に比べてカメラが自由に動きまわれるようになった分、ワンシーンワンカットといっても良くも悪くも軽い感じになった。
「プリズンブレイク」のマホーンことウィリアム・フィクナーが聾唖者役で出ているのに、ちょっとびっくり。ほか、シシー・スペイセクやジョー・マンテーニャ、ロビン・ライト・ペン、ホリー・ハンターなど、あれと思うような人が出ている。こういうスターの配役序列にこだわらないみたいなキャスティングの映画、あちらの役者さんたちは結構よく出ますね。イメージに縛られないで芝居をみっちりできるからか。
(☆☆☆★)