prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「パラノーマル・アクティビティ」

2010年02月19日 | 映画
アメリカで当たったのは作品の内実とは別のメディア内部の噂の自己増殖による、つまりいかにもまぐれで当たりましたと受け取られがちだけれど、単なる思わせぶりやミニマムな作りによる単調さとそれに反するような強引な展開など欠点も多いが、意外なくらい計算が立った作り。
ただし「作品」として完成させないことで心霊現象の生っぽさがうまく出た。

フェイク・ドキュメンタリーなのだが、カメラの持つ権力性というか、男がカメラをずうっと向けることによって女に対する立場が相対的に強権化してきて無神経に押し付けがましくなり、だんだん関係が変になっていくプロセスがよく見ると細かく描きこまれている。
二人で撮った写真のうち男の分にだけ傷がつけられているといったディテールも、同じモチーフ上にあるようでもあり、またお話がわかりすぎて白けない範囲に収めている。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいにずうっと手持ちカメラでリアリティを出すばかりでなく、定点観測みたいに人が操作せずに置きっぱなしになったカメラに誰も知らないまま妙なものが写ってしまう、巧まぬようで実は巧んでいる演出。
派手な見世物にしないで光の点滅や物音だけで怖がらせる演出は、はっきり「ほん怖」以来のJホラーを受け継いでいる。

定点カメラに夢遊病みたいにベッドから抜け出て突っ立っている女が寝ている男をじいっと見下ろしているのが不気味。体が変にカクカクしていると思うと、ただ早送りしているだけなのだがこれが効果的。

怖そうな場面になると低周波が鳴るのは、当たってから手直しした分だろう。
(☆☆☆)


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