prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

第64回カンヌ映画祭授賞式

2011年05月23日 | 映画
カンヌの授賞式をテレビで見るのは初めてだが、レッドカーペットやばかでかい会場やずいぶん派手で、アメリカのアカデミー賞とさほど変わらない。

知人がカンヌに商談で参加して、映画祭以外のカンヌは日本なら熱海みたいな盛りを過ぎた保養地だと言っていたが、そういうところはもちろん写りません。
基本的に受賞基準はオリンピック同様「政治」だとも言うが、そういうところも写りません。

日本の受賞はなかったけれど、「切腹」のリメーク(「一命」)というのはまずいのではないかと思えた。オリジナルで主演した仲代達矢が「グランプリ取れるかと思った」と語っていたが(パルム・ドールはヴィスコンティの「山猫」)、ハラキリものは西洋では興味をひく一方で反発を買ったのではないかと想像する。
今だとこれに賞出すとオリジナルを落とした(審査員特別賞はとったが)のと比較して格好がつかないことになるのではないか。

市川海老蔵と瑛太が六つ歳違いなだけで姑と婿の役をやっているというが、オリジナルの仲代と石浜朗とでは三つ違いだ。当時仲代は29歳で孫のいる役をやっているのだから、恐れ入る。

最高賞はテレンス・マリック作「ツリー・オブ・ライフ」。1978年の「天国の日々」が監督賞を受賞して以来だが、同じ年に審査員長のロバート・デニーロの「ディア・ハンター」があったのだから、ずいぶん経ちます。


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「アンノウン」

2011年05月23日 | 映画
舞台をベルリンにして英語がほとんど通じない上、元スパイが生存しているという設定がなかなかうまい。本当なら東京でも成立するはずなのだが、日本映画でまともに諜報員や諜報活動が描かれたことないね。

「バルカン超特急」や「フライト・プラン」ばりの、全記憶がよってたかって否定されアイデンティティが危機にみまわれる話だが、誰も知らない存在になるのを主人公にしたのが成功、たいていこの手の話は謎解きで白けるのだが、アクション絡みでなんとか乗り切った。

助けてくれる女性が移民というのも身分証明をを持たない同士という意味づけではあるだろうが、これはフツーの娯楽映画なのでそんなに深く描いているわけではなく、かなりゴ都合主義的。なんであんなに一所懸命に助けてくれるのだろう。一目惚れしたともあまりきちんと描かれていないが。
(☆☆☆★)