prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「その壁を砕け」

2011年09月10日 | 映画
車でえんえんと熊谷から新潟まで走っていくあたりの1959年の日本の風景が、製作当時では想像できなかったような面白さを持つ。
貧しい青年が何年もかけて金をためて新車を買って長いこと遠距離恋愛を続けてきた恋人を迎えにいって結婚する予定というあたり、時代色ありあり。

冤罪ものなのだが、モデルになる事件があったのかどうか、あまりに杜撰な状況で無実の罪がかぶされるのでどうも乗れない。ばあさんの記憶がそんなにあてになるものかどうか、いくら昔のこととはいえ少しは疑わないのだろうか。
わざわざ現場で事件当時の状況を四つまでさまざまな条件で再現してみせるのだが、もとの状況が作ったものだからどうにもまわりくどく見えて困る。

冤罪をかけられた青年と冤罪のもとになったといっていい長門裕之の警官とが握手して終わりっていうのも妙な感じ。

姫田真佐久の撮影・伊福部昭の音楽が重厚。
監督 中平康 脚本 新藤兼人。
(☆☆☆)

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