日本軍が女声の英語でアメリカ軍に降伏を呼びかける。なんだか、彼我が逆みたい。
グレゴリー・ペックは風格があるけれど、マッカーサーに視点を固定したもので俯瞰的に歴史を描くにはいささかワンマンショー的。
前半の負け戦から逆転する、I shall returnから勝ってI have returnedになるあたりは調子が一応整っているが、日本側の描写は細かく描くとややこしくなりすぎるせいかかなりはしょっていて、軍備を全面放棄した憲法草案を幣原喜重郎が主張したのをマッカーサーが受け入れあっさり決まったよような描き方だが、いったん草案をGHQが拒否したはずでしょう。日本にとってのマッカーサーを描くのを要求するのはないものねだりにせよ、朝鮮戦争に対する態度となるともっとはしょりすぎ。
結局、アメリカ内部におけるマッカーサーしか描いていない印象。
ペックがウェストポイントのマッカーサーの演説を朗々とした調子で演じるのが眼目みたいになった。
(☆☆★★★)