シリーズ第三作。やっと舞台が上海になる。
二作目ではなぜか画面から大映独自の陰影が薄れたが、ここでは復活。
冒頭、日中和平交渉に向かう軍人が暗殺されるシーンから始まる。列強の中には、日本と支那の和平を望まぬものもあるからな、というセリフあり。
そして最終的に結局和平交渉への足がかりは頓挫し、陸軍が大陸に進出しだし、これから中野学校出身の情報工作員たちは何ができるのか、というところで終わる。
情報員や軍人は戦争に奉仕したり推進したりするばかりではない、全体の力学の中で動いて全体として結果が出る、という視角が出ている。
聾者の中国人に変装するあたり、昔のアヤシゲな中国人イメージ。
メガネや靴に仕込んだ小型ナイフといったスパイ映画的な小道具を取り入れているけれど、地味な作り方とはそぐわない感じ。