失踪以前と以後が交錯することで、ロザムンド・パイク扮する妻の姿がちょっとヒッチコックの「めまい」のようにどこかリアルであるとともに悪夢の中の存在のように見えてくる。
昔だったらジェームス・スチュワートのような平均的アメリカ人像としての存在感が希薄な感じが今だとベン・アフレックになるのだろうが、朝からバーに入り浸っているあたり平均的といっても何か荒廃している。
双子の妹との関係もただのワイドショーで揶揄されるように兄妹愛というだけにとどまらない感じ。
一見してふつうの田舎町の風景のようで、ちょっと裏に入るとジャンキーだらけだったり、相棒の若い警官がしばしば敵意を見せるあたり何だかちょっとづつ不安感が張り付いている。淡々と撮っているだけのようで画作りにはすごい手がかかっているのではないか。
ほんの少しキッチンの張り出しについた血が、ルミノール反応で現れる血を経て、一気に噴出するあたり、じわじわくるタメが効いている。しかもそのあとの平和な風景の方がもっと怖い。
テレビのワイドショーのどぎつさは日本ですら可愛く見える。
アメリカ人らしいフランクな調子で出てきた男女が金を目にすると豹変したり、初恋を大事に抱えているのだから純情なのかと思うと真逆の方に行く男など、出てくる連中が見事なくらいろくでなしばかり。
(☆☆☆★★★)
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ゴーン・ガール@ぴあ映画生活
映画『ゴーン・ガール』 - シネマトゥデイ
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監督 デヴィッド・フィンチャー 主演 ベン・アフレック ロザムンド・パイク | |