アルメニアからレバノン、キューバ、フロリダ、アメリカのノースダコタとほとんど「母を訪ねて三千里」ならぬ「娘を訪ねて三千里」で、実際に移動するのは三千里どころではない。その行く先々の風景と風俗のスケールの大きな再現が大きな魅力。
なかなか会えないもどかしさや意地の悪い人間たちというのは長いとはいっても2時間20分の映画の枠ではオミットされて、悲惨な境遇にも関わらずあくまであきらめず前進する肯定感の方が強く出た。
声を出すことができなくなった、という設定が、自然とサイレント映画的な言葉の壁に遮られない手法に接近させた。主人公がチャップリンの「キッド」を穴倉みたいな避難場所で難民たちと見て涙をこぼす場面など、もともと泣かせる場面だけれど改めてチャップリンの国も言葉も超えた人間の核心をつかんだ有無を言わさない力を感じさせる。
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消えた声が、その名を呼ぶ@ぴあ映画生活
映画『消えた声が、その名を呼ぶ』 - シネマトゥデイ