原題もAnmoniteアンモナイトなのだが、実在のアンモナイト学者を主人公にしたのに加えて、貝=女性性と、それが化石化している=眠っていることなど、いくつかの象徴的な意味もこめているように思う。邦題はそれを心得たもの。
初めのうちシャーシャ・ローナンがそれこそ貝のように口を閉ざしていたのが、次第に心を開いていくにつれ、立て板に水と無愛想な学者ケイト・ウィンスレットを人に売込む役まで買って出るまでになる、その二人の関係の変化の演じ分けはさすが。
単純に解放万歳で終わるのではなく、そういう関係そのものもいずれは終わることも押さえている。
性描写がリアルで具体的な割に見せ物感から離れている。
先日コンスタブル展の解説テレビ番組だったかで紹介されていた、静養のための海水浴は馬車で浜辺に入っていってそこからほぼ全身を覆う海水着を着て海に入っていったという風俗が完璧に再現されていた。