「犬神家の一族」かと思うような大富豪が亡くなった後の三姉妹の遺産争いの話。若い女が横入り気味に相続に絡むのも一緒。
山崎豊子原作とあって、伝統的な関西の金持ち一族のねっとりした強欲の絡み合い、嫌らしさ全開。
こういう熟して発酵しているみたいなキャラクターたちとそれを演じられる役者陣というのは今では望みにくい。
時あたかも「おちょやん」が佳境の入った時期だが、浪花千栄子の上手さが堪能できる。
公証人役の二代目鴈治郎といい、いかにも本物の上方の役者という感じがする。
三姉妹が京マチ子、鳳三千代、高田美和だが、それ自体が豪勢な遺産のような贅沢な見もの。
若尾文子が「しとやかな獣」ばりに虫も殺さぬ顔をして一番美味しいところをかっさらっていくなのもぴったり。
撮影が宮川一夫。プリントがやや褪色しているのは残念だけれど、完璧な構図と陰影の深さはさすが。
遺産である山林の映像の贅沢さが
女優陣を並べやすい内容のせいか、ずいぶん何度もテレビドラマ化されているけれど、2005年の米倉涼子主演版が今のところ最後。
見ていないけれど、話を東京に移すと薄味になるのではないかな。
今だと妊娠した子供のDNA鑑定ができるから話がだいぶ変わるだろう(これは「華麗なる一族」あたりもそう)