モロッコ映画が日本で公開されるのは初めてだというが、特に違和感もエキゾチズムもなく当たり前の人間特に女性の理不尽な扱いとことさらに二人のドラマチックな対比を際立たせずに平行し時折交錯する生を楷書タッチで描いている。
パンをこねる、その柔らかい感触がそのまま生活と生の基本の表現になっている。
日本のスーパー映画字幕第一号のディートリッヒとクーパーの「モロッコ」と比べることもないが、エキゾチズムの象徴、つまりそれだけ遠くのものだったモロッコイメージから本物のモロッコ映画が来日するまで何年かかったのか。(1930年の映画だからほとんど1世紀)。