スターリンの独裁ぶりがまだ明るみに出ていない頃にソ連に潜入した西側ジャーナリストの話だが、勇気ある告発はしたものの結局は不発に終わるあたりは実話らしく苦味が強い。
列車の中でリンゴをむいて皮を捨てると客たちがどっと集まってくるあたりの餓えの表現が強烈。
それにしてもリアルタイムで「正しい」報道をすることの難しさを思う。
もともとその時の最新の情報を伝えることが第一の役割なのがそれ自体が既定事実として居座ってしまい訂正がききにくくるか、後から訂正すると信用を損ねるように見えてしまう。
為政者は初めからそれを承知でプロパガンダを入れてくるわけだし、えてして後知恵で当時本当のことがわからなかったのをバカにしがちだが、今起きていることとなると昔以上にわかっていないだろう。
(ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ)