prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「刑事グラハム 凍りついた欲望」

2014年11月22日 | 映画
トマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」の映画化。ドクター・ハンニバル・レクターが登場するシリーズとしてもその映画化としても一番初めのもので、のちに「レッドドラゴン」タイトルでアンソニー・ホプキンス主演で再映画化されている。
なんでタイトル変えたのかというと(英語題もManhunter)、製作のディノ・デ・ラウレンティースが同時期に「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」を作っていたからドラゴンが重なるのを避けたということらしい。

レクター博士はここではナショナル・シアターのホプキンスの後輩にあたるブライアン・コックスが演じている。この人↓
ホプキンスはナショナル・シアターでリア王を演じたが、あたかも「羊たちの沈黙」撮影中にコックスはリア王をやっていたという。そういえば、ホプキンス主演の「リア王」の映画化企画があったが、どうしたのだろう。

もっともレクターにあまり出番はなく、ジャック・クロフォード(デニス・ファリーナ)もそれほど活躍しないのでシリーズものという印象は薄い。
ビデオタイトルは「レクター博士の沈黙」というのだから便乗丸出し。
日本公開は確か雀荘を改造したという超ミニ映画館の新宿ピカデリー3(同じ場所にあるシネコンとはもちろんまったく別物)という扱いだったから仕方ないところもあるが。

監督・脚本は「ザ・ヒート」「インサイダー」のマイケル・マン。ヴィジュアルや音楽がいかにもマン好みのクールな調子で、撮影はマンとはコンビが多いダンテ・スピノッティ、美術はウディ・アレンの「アニー・ホール」や「マンハッタン」などを担当したメル・ボーン。ともに優れた仕事ぶりで、猟奇殺人にありがちな泥臭さの逆を狙ったみたい。

主演のウィリアム・ペーターゼンはのちに「CSI」で有名になるが、マンの前作「クラッカー」に端役で出ており、「L.A.大捜査線 狼たちの街」の初主演を経て、これが映画主演二作目。CSIのグリッソム役と比べるといかにも若い。

レクターが入っている牢獄もその周辺の建物全般も真っ白なデザインなのが印象的。
The RedsとMichel Rubiniによる電子音楽(という古めかしい言い方が似合う)音楽がマンの旧作「ザ・クラッカー」の延長上だが、クライマックスなど原色の配置といいガラスの使い方といい音楽といい、ほとんどダリオ・アルジェントかと思わせるくらい。

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