prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「海猿」

2004年07月13日 | 映画
必ず行動を共にするパートナーを示す「バディ」という言葉が一つのキーになるわけだが、「バディ・フィルム」というジャンルが特にアメリカ映画では発達している。伊丹十三の受け売りになるが、互いに違う習慣・文化を背負う二人が心ならずも一緒に行動しなくてはならなくなり、反目や喧嘩を越えて互いに認めあうようになる、というドラマの型のことだ。
ところが、ここでは異質な二人がいかに対立を乗り越えるか、ではなく、伊藤淳史の振るまいのように初めからあやまって対立を回避することが先にきて、感情的な行き違い以上の本当の対立にはならない。

クライマックスで規則を破った藤竜也を訓練生たちが庇うのも、身内意識という感じが強い。あれで伊藤英明たちが助かっていたからいいようなものの、助かっていなかったら(その可能性は十分にある)責任のなすりつけあいになってムチャクチャになっているところだ。
二人共倒れになるより、一人を犠牲にして一人が助かるという方が非情なようだが「正しい」のだ。心構えがどうだろうと、酸素がなくなれば人は死ぬのだから。情に流されるのが人間的で、そのためには規則を破ってもいいのだったら、裏返すと何やってもいいことになる。
と、まあ感動させようとしているツボが、こっちの目にはいささかズレて写るが、訓練の描写で本物の装備を使い役者が本当に体を張る迫真感は、大いに見せる。ただカットを割り過ぎていて、どの程度息を本当に止めているのだろうかと余計なことを考えさせる。
エンドタイトルの後が意味不明だったが、続編を作るつもりらしい。作るのはいいけど、「ゴジラ」シリーズみたいなセンスで、かえって期待を削ぐ。

関係ないけど、「ゴジラ final」の予告でまたカンフーまがいをやっている。この監督、他に頭の中に入っていないのか。(後註・さらにMI2まがいのバイクチェイスもやっているよう。ったく)
(☆☆☆)

ユーレイ?

2004年07月13日 | Weblog
史上最高4億9000万円で落札された馬の父馬の名前が「ダンスインザダーク」というのでびっくり。あの世界映画史上最も辛気くさい映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」にひっかけている名前だよねえ、どう見ても。これで勝てるのだろうか。

BLOGを作ったのに合わせて初期画面をこれまでのYahooからgooに変える。結構新鮮。

写真はただの人形ですが、暗い中露光が長くなってブレたらユーレイみたいになってしまったのが自分でウケました。

ブログデビュー

2004年07月12日 | Weblog
ホームページのアドレスを新しくしたので、心機一転してこれまで使っていた日記や掲示版を一つにまとめられるブログを始めてみることにしました。
これまで使っていた日記・掲示版はブックマークしてある個人ホームページ本体でまとめてあります。
写真は野毛大道芸に出演した風船芸人です。出店祝いの花輪代わり。


「ブレッド&ローズ」

2004年07月11日 | 映画
メキシコからの不法入国者がアメリカで劣悪な労働環境と搾取にあい、犯罪を含めた反抗を試みて待遇改善には成功するが、逮捕され収監しない代わりに国外退去を命じられる。今どき、労働運動をまともに取り上げる映画も珍しいが、弱者のエゴが強者のエゴともに描かれていて、人間はパンがなくては生きられないがパンだけでは生きられない(それをローズという言葉に象徴されている)というニ律背反の膨らみがある。「戦場のピアニスト」の前のエイドリアン・ブロディが世にもアヤシゲに見えるオルグを演じているが見かけほど怪しくはないのが、ちょっと面白い味付け。
(☆☆☆)

「デイ・アフター・トゥモロー」

2004年07月09日 | 映画
なにしろ、「インディペンデンス・デイ」「Godzzilla ゴジラ」の監督の新作だからどんな大味大作かと思ったし、中盤までのCG見せ場てんこもりは質は一段と上がったにせよ相変わらずの観(ヘンな日本の登場も)だが、中盤氷河期並みの氷雪に閉じ込められたニューヨーク公立図書館の息子を父親が助けに行くという展開になると、ムリヤリには違いないのだが、コレ聖書の中の出来事みたいなものかと思えてきて、見方がやや変わって来た。
初めにデニス・クエイドの学者が気候の大変動を半ば無意識に予言していながら、それに副大統領はじめ誰も従わず、唯一それに従った息子ジェイク・ギンスホールに、図書館に避難した民衆たちの大半もまた従わない。そして従った者は助かり従わない者は助からない、というのは預言者と民衆との関係みたいで、「出エジプト記」とか、それのバリエーション(「ポセイドン・アドベンチャー」)みたいだった。
(☆☆☆)
だから西洋文明の知の結集である公立図書館の本を暖をとるために燃やしてしまうというのは、アイロニカルではある。また、アメリカからメキシコに避難民が殺到し、国境封鎖を解かせるためアメリカが債務を棒引きにするというのは、「インディペンデンス・デイ」のアメリカ万歳をそっくり裏返したよう。ここでの大統領は見事なくらい影が薄く、いつ死んだのかもわからない。もっとも、結局学者に代表されるエリート(選民)の知と勇気は氷河期まがいの大災害にも勝つわけで、ラストさんざんバカを重ねて来た副大統領が突然改心して「新しい教え」を解く。たしか「教え」にあたる語はtestamentと聞こえた。
聖書の「旧約」とか「新約」とかいう時はold testamentとかnew testamentと言うのでしたね。おまえが言うか、と思ったが。

「セイブ・ザ・ワールド」

2004年07月06日 | 映画
「007 死ぬのは奴らだ」から「追憶」「明日に向って撃て!」とこれだけ他の映画の主題歌があれこれ流れる映画というのも珍しい。どういうつもりなのだろう。
やたらマッチョなマイケル・ダグラスと見るからに頭でっかちなアルバート・ブルックスの組み合わせがよく、調子のいいホラ話といった感じで、気軽に楽しめる。
(☆☆☆)