prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

5月23日(火)のつぶやき

2017年05月24日 | Weblog

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」

2017年05月23日 | 映画
ずいぶん変わったタイトルだけれど原作は詩集だそうで、だからといって映像詩風の作りではなく、土木作業員の男の子と看護師の女の子という低賃金重労働に従事している若者たちの殺伐とした生活風景が基本。
看護師であるヒロインを含めて喫煙率の高いこと。

ただしリアリズム一本かというとそうでもないので、男の子のしゃべり方がやたらと饒舌だったり(発達障害ではないのか)、手が上がらなくなって社会の窓が開けっぱなしになっている中年労働者とか、松田龍平の思いがけない顛末など、描写に独特のひらめきとコクがある。

自暴自棄になったりセックスや暴力に走ったりしてもおかしくない状況で、実際男たちはしきりとキャバクラに行きたがったりするし、そこで出会ったりするのだが、不思議と性的な匂いは薄い。

ただお話らしいお話がないので、どこでラストになってもおかしくないシーンが何度も繰り返されて、後半どうしてもダレる。

詩集の映画化自体珍しく、寺山修司が自作の歌集「田園に死す」を脚色監督した例はあるけれど、ここでは特に詩の引用や朗読といったところはないので、ふつうの劇映画として見ることができるけれど、多少はもともとどんな詩なのか知りたくはなる。
(☆☆☆)

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ 公式ホームページ

映画『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 - シネマトゥデイ

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5月22日(月)のつぶやき

2017年05月23日 | Weblog

特別展 雪村-奇想の誕生

2017年05月22日 | アート
線の感じが必ずしも描写的ではなく、筆さばきが何かをなぞったりするよりそれ自体がひとつの半ば独立した表現になっている感。

布袋さまが二人の童子と一緒にいる画が魅力的。おぶったり抱えたりといったはっきり庇護したりされたりといった関係でなく、童子が猫みたいに勝手にしょい袋のそばに潜り込んだりしがみついて遊んでいるみたい。

奇想には違いないけれど、割と描かれたキャラクターそのものから自然に奔放な行動に導かれているように見える。

特別展 雪村-奇想の誕生



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5月21日(日)のつぶやき

2017年05月22日 | Weblog

「追憶」

2017年05月21日 | 映画
幼馴染の男三人がある事件がきっかけで別れ別れになったのが、数十年後の再会がきっかけで殺人事件に絡んだドラマが動き出す、となると「ミスティック・リバー」を思わせたりするが、物悲しくはあるけれど、あれほど陰惨ではない。

撮影が話題になるというのも珍しいが、冒頭の海の風景からして普段見慣れたデジタル画像とは違う微妙なグラデーションを持つ。言われなくてもわかるとまでは言わないが、言われてみるとはっきり違う。

カメラを直接する操作する英語タイトルだったらoperatorと表記されるだろう役職が「撮影者」とタイトルに出る。あまりこなれていない言葉だけれど、その末尾に岡田准一の名前が入っている。木村大作に勧められて一部回したということらしい。ユニオン制が強力なアメリカではおよそ考えにくい話。

事件そのものの捜査と解決が割と本筋にならず勝手に終わってしまうような印象を与えるのは、どんなものか。
(☆☆☆★)

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映画『追憶』 - シネマトゥデイ

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5月20日(土)のつぶやき

2017年05月21日 | Weblog

「ローリング」

2017年05月20日 | 映画
全編教え子の女子を盗撮して失職した元教師のナレーションで運ばれていくわけだが、ひょいと今の私はこうなっていますと雛鳥がいる鳥の巣が写るので、なにこれ?となる。この冒頭のつかみが見事。展開するうちにある程度具体的な事情の見当がついてくるが、人が鳥になるというシュールな手触りは合理的な説明がされた後も残る。

とっくの昔に教師をやめさせられているはずなのにナレーションであくまで「教え子」と呼んでいるのがしょうもなく、今やくざの腰巾着をしている元刑事と並んでハードディスクを壊そうとして壊れないところに、彼らの人間の壊れっぷりを見せる。

電動ドリルを凶器にして人を追うのに、コードが抜けて止まってしまう、それをいちいち発電機を運んで追いかけるというあたりのナンセンスぶりは山上たつひこかと思うようなもの。

田舎町の高校を卒業したあとも人間関係がリセットされないでぐすぐず続く感じというのは最近の日本映画で頻出するし、それぞれすごい生々しいリアリティを持っている。
再使用するおしぼりを重要な小道具にしているのだが、画面自体から何か饐えたような匂いがしそう。
(☆☆☆★★)

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5月19日(金)のつぶやき

2017年05月20日 | Weblog

「パーティクル・フィーバー」

2017年05月19日 | 映画
スイスとフランスの国境地帯にある巨大加速器セルンで行われた実験で、ヒッグス粒子の証明に至る結果が出る過程を描くドキュメンタリー。

まずセルンの建築物としての規模の巨大さ、さらに働く科学者たちの数の多さに驚く。
みんな超一流の学者だろうに、自転車に乗ってきたりラフな格好でたむろしていたりと、けっこうごしゃっとしている。

物理学は理論が立てられそれを証明するために実験を行ったら、予想されたのとはかけ離れた結果が出てしまい、さらにそこから新しい理論が立てられ、と車の両輪が回って進んでいくのを一人の天才学者が完成するのではなく大勢の中のやりとりとして見せるのが、おもしろいところ。

他の場でも見ることがあったピーター・ヒッグス博士が自分の理論が裏付けられて感無量といった図も、実験そのものにたずさわった大勢の科学者たちを追ったうえで、彼らに囲まれて祝福されるとなるとまた別の感慨が出てくる。

おそろしく浮世離れしているような量子力学の世界もそれにかかわる人たちを通してみると、人間がずうっと持ってきていた宇宙の成り立ちを知りたいという欲求にすんなりつながるものがわかる。

ラスト近くで科学者の一人がヴェルナー・ヘルツォークの「世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶」に触れてあれは素晴らしいと言ったりするのがうまく収まりを見せた。


5月18日(木)のつぶやき

2017年05月19日 | Weblog

お題「好きなNHKの番組は?」

2017年05月18日 | Weblog
必ず見ているのは「サイエンス・ゼロ」「100分で名著」です。こういうかなり高度な内容をかみ砕いて見せるのはNHKはとても上手いし、解説者の人選もいい。
あと「NHKスペシャル」などでしばしば見せる取材力もNHKならではです。

昨今、何かと政治的な関与を取り沙汰されていて気になることも多々ありますが、あれだけ大きい組織だといろいろな立場の人がいて、こうだと決めつけるのはどうかなとも思います。

あと番外的にBSの「海外ドキュメンタリー」もよく見ます。サウジアラビアのスラムや鞭打ち刑を捉えた映像は衝撃的で、王族しか追わない民放の番組の薄っぺらさを思わずにいられませんでした。

ドラマはあまり見ません。時代劇などNHKが作っていないともう技術が継承できないような状態のようですが。



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5月17日(水)のつぶやき

2017年05月18日 | Weblog

「ノー・エスケープ 自由への国境」

2017年05月17日 | 映画
政治的なニュアンスがもっとあるかと思ったら、基本は広告に出ていた「ドント・ブリーズ」とか「激突!」みたいに徹底して即物的な追跡劇。

そして即物的であることに徹することで、トランプ政権誕生云々といったタイムスパンを超えて、もっと持てるもの持てざるものとの相克といった原点に接近している。

原題はDESIERT(砂漠)と、一神教の世界といったニュアンスがあり、ラストに出てくる汐の海のような不思議な光景が何か象徴的。
字幕で英語の方に「」がついて、アメリカの方が主人公たちから見れば他所であることを表しているのは工夫。

徹底した追跡劇を支えるロケーション効果、ディテールの積み重ねが見事。ヒロインが美人美人しておらず、日に焼けた労働者そのもの。主人公が初めから主人公として設定しているというよりちょっとした行いの端々で自然にその場の主役になっていく。

敵役がウイスキーばかり飲んでいて(酒気帯び運転なんてものではないね)水を飲んでいる気配がないのは、変ではあるけれどわかりやすいカリカチュアライズ。
(☆☆☆★★★)

ノー・エスケープ 自由への国境 公式ホームページ

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5月16日(火)のつぶやき

2017年05月17日 | Weblog