prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「街の上で」

2021年05月15日 | 映画
下北沢はこのところ一年以上行っていないので、どの程度変わったのかよくわからないが、よく知ってるような場所(聖地?)はあまり出てこなかった。スズナリくらいか。もともと詳しくはない。それでも駅の構造そのものがまる変わったのには当惑した。下北沢で見ればよかったのだが、結局新宿で見た。

ここでは本を読むのであって、スマホをいじるのではないのね。
電話をかけるところはあったが、それは必要があってかけるので、なんとなくスマホをいじっているというのではない。
古着屋や古本屋などレトロっぽい店が多い下北沢の街にふさわしい感じ。

若い男女が夜一緒にいて何事もないというのが結構当たり前に見える。
草食化とかいうのではなく、つかず離れずの、はっきりした上下関係や家族でもない人間関係の手四つの探りあいみたいな力加減に対する嗅覚が秀逸。
空気を読むというのとも違う、もっと本音を出している。
日本では西洋の近代劇で軸になる葛藤、対立といったものから本能的とまではいかなくても習慣的に遠ざかるらしい。

劇中で撮影されたことになっている映画でカットされた幻の出演場面、というのはこの映画そのものには存在しているという、ちょっと自己言及的な構造。
映画監督というのはああいう見ようによっては理不尽な文句言われたりするものかな。

成田凌が朝ドラに出ている知名度のある芸能人というのが「おちょやん」が終わった今一番効く楽屋落ち。




「世宗大王 星を追う者たち」

2021年05月14日 | 映画
天地ほども身分に差がある皇帝と奴婢も、本物の天のもとに横たわれば違いはないのが文字通りそのまま画になった名シーン。

これに対してプラネタリウムの原型のような人工の星空も美しいが障子に妨げられている図になる。
わかりやすい。

史実と比べると、世宗大王はハングルを広めた開明的な王ではあったものの必ずしも映画のように明に対して独立的ではなかったようで、むしろ現代の韓国の不羈な空気の反映ということになるだろうか。

ハン·ジョンウとチェ·ミンシクの共演は友情と共に王の孤独と家臣の自分を認めてくれた喜びまで併せて表現している。





「落穂拾い」

2021年05月13日 | 映画
ミレーの落穂拾いに限らず、収穫した後の、形や大きさが規格にはまらないため売り物にはならず破棄された農作物を拾い集める人たちを捉えたアニエス・ヴァルダ監督のドキュメンタリー。

今さらながら、なんと消費社会というのは多くのムダを出すものだろうと呆れてしまう。

しかし映画とすると単純なエコな生活の推奨といった具合には必ずしもいかず、食べられるものだけでなくよくわからないもの、価値があるともないともわからないものと、それを拾い集める人たちのスケッチ集の感あり。



5月9日のおもしろ画像

2021年05月09日 | Weblog

「女系家族」

2021年05月08日 | 映画
「犬神家の一族」かと思うような大富豪が亡くなった後の三姉妹の遺産争いの話。若い女が横入り気味に相続に絡むのも一緒。

山崎豊子原作とあって、伝統的な関西の金持ち一族のねっとりした強欲の絡み合い、嫌らしさ全開。
こういう熟して発酵しているみたいなキャラクターたちとそれを演じられる役者陣というのは今では望みにくい。

時あたかも「おちょやん」が佳境の入った時期だが、浪花千栄子の上手さが堪能できる。
公証人役の二代目鴈治郎といい、いかにも本物の上方の役者という感じがする。

三姉妹が京マチ子、鳳三千代、高田美和だが、それ自体が豪勢な遺産のような贅沢な見もの。

若尾文子が「しとやかな獣」ばりに虫も殺さぬ顔をして一番美味しいところをかっさらっていくなのもぴったり。

撮影が宮川一夫。プリントがやや褪色しているのは残念だけれど、完璧な構図と陰影の深さはさすが。
遺産である山林の映像の贅沢さが

女優陣を並べやすい内容のせいか、ずいぶん何度もテレビドラマ化されているけれど、2005年の米倉涼子主演版が今のところ最後。
見ていないけれど、話を東京に移すと薄味になるのではないかな。
今だと妊娠した子供のDNA鑑定ができるから話がだいぶ変わるだろう(これは「華麗なる一族」あたりもそう)





「アンモナイトの目覚め」

2021年05月06日 | 映画
原題もAnmoniteアンモナイトなのだが、実在のアンモナイト学者を主人公にしたのに加えて、貝=女性性と、それが化石化している=眠っていることなど、いくつかの象徴的な意味もこめているように思う。邦題はそれを心得たもの。

初めのうちシャーシャ・ローナンがそれこそ貝のように口を閉ざしていたのが、次第に心を開いていくにつれ、立て板に水と無愛想な学者ケイト・ウィンスレットを人に売込む役まで買って出るまでになる、その二人の関係の変化の演じ分けはさすが。
単純に解放万歳で終わるのではなく、そういう関係そのものもいずれは終わることも押さえている。

性描写がリアルで具体的な割に見せ物感から離れている。
先日コンスタブル展の解説テレビ番組だったかで紹介されていた、静養のための海水浴は馬車で浜辺に入っていってそこからほぼ全身を覆う海水着を着て海に入っていったという風俗が完璧に再現されていた。




「野獣処刑人 ザ・ブロンソン」

2021年05月05日 | 映画
チャールズ・ブロンソンそっくりのロバート・ブロンジーという人が主演して、ストーリーはブロンソンの代表作「狼よさらば」Death Wishそっくり(ご丁寧にも原題もDeath Kissと似せてある)という映画。

だけれど、パロディというわけでもなく、リスペクトというわけでもない。確かによく似ているし、ご丁寧にも日本語版ではブロンソンの吹き替えのフィックスだった大塚周夫の息子の大塚明夫が父親そっくりの声であてているのだけれど、そっくりというのは出落ちみたいなもので、それ以上の狙いがわからずどうにも挨拶に困る。似ていればそれでいいのだと開き直っている感じもする。
やたらと血しぶきが盛大に飛び散るのが、いつもより余計に飛ばしておりますという調子。




「穴」

2021年05月04日 | 映画
学校の近くの林の中にあった何かの施設の跡の穴に面白半分で入った学生たちが閉じ込められて出られなくなり、極限状況でむきだしの醜い人間性をさらけだすというイヤな話がメインなのだが、すでにそこから脱出した女の子が見つかるところから始まるので脱出できるかどうかのサスペンスにはならない。

むしろフラッシュバックの積み重ねの中で、穴の中の出来事に限らずその前フリになる学生生活全般の悪意と底意地の悪さが噴出してくる仕掛け。
WOWOWの放映の前説対談で石田ゆり子が「二度と見たくない」と言っていたのも無理からぬところ。

当時16歳のキーラ⋅ナイトレイが出ていて、相当なビッチ役なのにちょっとびっくり。




「魔女がいっぱい」

2021年05月03日 | 映画
「永遠に美しく」でも見せたロバート・ゼメキスのグロ感覚がまた噴出した感。

アン・ハサウェイがスキンヘッドの口裂け女魔女というすごいヴィジュアルで登場、似たような魔女たちが群れをなしていたり、魔法の薬を呑んだ人たちが次々とネズミに変身していくあたり、CGのつるんとした質感がかえって気持ち悪かったりする。

時代設定のせいか、微妙にホテルの使用人に黒人が多いのが昔の「トムとジェリー」みたいで今作るのだったら配慮しそうなものだが、このあたりゼメキスの時々聞く政治的保守性が出ているのかも。

しかし、ラストあのまんまでいいのか?




「デッド・ドント・ダイ」

2021年05月02日 | 映画
はっきりゾンビ・コメディというジャンル映画にはまっていて、ジャームッシュというとインディーズの作家性の強い監督という先入観を覆す。
れっきとしたオールスター映画でもあるし。

ただコメディセンスのオフビート感や、首を切り落とされたゾンビから血しぶきではなくもわっと黒い煙のようなものがあがるのが汚くなくてスマートなところは、らしいといえばらしい。

ティルダ・スウィンソンの日本刀を振り回すところや、「吸血鬼ノスフェラトゥ」Tシャツなどあえてタランティーノ式のオタクっぽくしている感じ。




5月1日のおもしろ画像

2021年05月01日 | 映画

2021年4月に読んだ本

2021年05月01日 | 映画
読んだ本の数:24
読んだページ数:6357
ナイス数:8

読了日:04月01日 著者:河尻 亨一





読了日:04月04日 著者:竹内 薫





読了日:04月05日 著者:ジョルジュ・ベルナノス





読了日:04月05日 著者:エドガー・アラン ポー





読了日:04月07日 著者:内田 樹





読了日:04月12日 著者:劉 慈欣





読了日:04月12日 著者:細馬 宏通





読了日:04月18日 著者:内田樹





天才プログラマーというだけでなく、ヴィトゲンシュタイン、柄谷行人といった哲学本を早くから読んで、その思想をシステムに落とし込むといった古典的な意味での教養人ぶりが目を引く。 天才がシステムを作って凡人がついていくのではなく、あくくまで自分は誰でも参加できるシステムで集合知を形成する仲介をするのだという姿勢は本来の哲学の言語ゲームと通じるだろう。 市民とそれに選ばれた為政者、デジタル社会とその未来に対する信頼は今の日本では眩しくすらあるが、やはりはげまされる。
読了日:04月22日 著者:オードリー・タン


読了日:04月23日 著者:吉田 秋生





読了日:04月23日 著者:吉田秋生





読了日:04月23日 著者:吉田秋生






読了日:04月23日 著者:吉田 秋生





読了日:04月23日 著者:吉田 秋生





読了日:04月24日 著者:中村哲





読了日:04月26日 著者:デヴィッド グレーバー





読了日:04月30日 著者:澁谷 知美





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき





読了日:04月30日 著者:チャールズ ブコウスキー