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中国鉄路乗車記:K284/1次(1)

2006-09-02 | 鉄道[中華人民共和国]
   

(この記事は乗車日にあわせた過去ログ投稿です)

成都→上海を結ぶ列車(現在上海南駅発着となった一本を含む)は一日4本運行され、その内3本は新型空調車で運行される快速、残りの一本は緑色の旧型車(緑皮車)で運行される普快となっています。

これらの列車は運行距離がどれも2500km前後(快速3本は全て運行経路が異なります)と長く、車中2泊という大旅行となりますが、中国で西南地区を発着する長距離列車の寝台乗車券は全般的に確保し難く、また成都到着が乗車4日前という事もあり、夏の大旅行では専ら乗車券を自力購入していたMAKIKYUも、この成都→上海の硬臥乗車券だけは、予め上海の旅行会社(Y&Mトラベル)に手配を依頼しました。
(中国での列車乗車券の購入は、基本的に始発地以外では不可能です)

乗車する列車は、9月1日成都発空調快速3本の硬臥を第1~3希望で手配を依頼していましたが、旅行会社が発売開始当日に買い付けに行った(あるいは裏ルートかもしれませんが…)にも関わらず乗車券の手配に手間取った様で、乗車3日前の8月29日に成都の旅行会社の人間がMAKIKYUの手元に持参した乗車券は、第2希望のK284/1次 4号車20号下段の硬臥でした。

乗車券のお値段は所定の499元に加え手数料100元(依頼した上海の旅行会社&手配を行う成都の旅行会社の手数料がそれぞれ50元)が追加された599元でしたが、硬座で車中2泊を過ごしたら体調を壊してかえって高くつきそうですし、日本の旅行会社に手配を依頼してとんでもない料金(酷いと乗車券より手数料の方が高い)を取られる事を考えると、これ位の料金で済むなら許容範囲といった所です。

ちなみにY&Mトラベルへの手配依頼(E-mailでOKです)は日本語でも可能ですので、手配にも苦労する事はありません。
HPはこちら http://www.yandm.com.cn/

こうして無事上海へ向かう列車の乗車券を入手したMAKIKYUは、その後成都から百数十㎞程離れた大仏で有名な街・楽山の近郊にある沙湾(ナローの凸型ELが座席なし客車を牽引)や*健為(近郊の石渓で軽便SLが運行)へ出向いていましたが、乗車前日の夜には成都に帰還し、後はMAKIKYU史上最大の列車旅(それでも40時間弱ですので、これ位と思われる方も多数居られるかと思います)を待つ事に。
(*健は「イ」の部分が「牧」の左側です)

そして9月1日、乗車当日は前日の疲れもあって少々遅く起床、その後も宿舎内の有料PCを利用して昼過ぎまで過ごしてようやく出発です。

宿舎から徒歩5分程度、成都站へ向かうバスの停留所(万福橋)近くにあり夕食に利用しようと思いながら夜遅くで閉店しており食べられず、成都滞在中に1回は立ち寄りたかった四川料理の本場・成都で有名な「陳麻婆豆腐」で昼食を取り、ここで注文したのは勿論麻婆豆腐(6元)ですが、米飯(1元)を含めても僅か7元と安い割には味も良く、「MAKIKYUのページ」を皆様が成都へ行かれた際にも是非オススメです。

本場の麻婆豆腐を頂いた後は、16路の2階建てバス(1元)で成都站へ向かい、いよいよMAKIKYU史上最大の列車旅がスタートですが、成都站で検票(改札)を済ませてホームに向かうと15時前で、15時15分発のK284/1次は既にホームに入線しており、時間的にも丁度良い感じです。

この日のK284/1次は第1站台(1番ホーム)に停車しており、指定された4号車へ向かい、重たい荷物を自席(硬臥下段)の下(ここにはスペースがあり、荷棚は先客の荷物で占有されていました)に置く頃、早くも服務員が換車票と引き換えに来ましたが、この列車の換車票はカードタイプです。

ちなみにこの列車は上海列車段の担当で、換車票にも上海側の広告付きでしたが、このK284/1次列車以外の成都~上海間(及び成都~寧波間の普快)は全て成都側の担当です。(成都站の掲示時刻表には担当段の表記があります)

荷物を自席に置いた後は一旦車外へ出て先頭へ、すると機関車はまだ連結されておらず発車10分前位になってようやく連結、ちなみに成都出発時に連結された機関車は、この地域ではありふれたSS3型電機です。

機関車の連結を眺めて写真を撮影した後は車両に戻りますが、成都出発時点での編成は1号車が先頭で、4号車に乗車するMAKIKYUとしては編成後部を視察するのは大変なので、これは発車後に車内視察で確認する事に。

そして列車は15時20分頃、定時より5分程遅れてK284/1次は成都を出発、上海へ向けて車中2泊・39時間以上の道程がスタートです。

列車は10分も走ると成都の街中を抜け、家屋などが点在する田園風景が広がる平野(正確には四川盆地ですが、かなり大きいので…)をしばらくの間駆け抜けて行きますが、1時間ほど走るとなだらかな起伏のある風景に変わってきます。

1時間半程走ると最初の停車站・綿陽で、その後更に40分程走ると2つ目の停車站・江油ですが、江油には成都出発時の遅れを引きずって約5分遅れの到着、中国でこの程度の遅れは定刻も同然です。

ここでは7分程の停車時間がありますが、荷物の積み込み等もあるので停車時間カットは行わず、ホームでは弁当販売もあり、ここで弁当を買い求める乗客も幾らか見られます。

四川という事で弁当は辛そうな感じで、また車内販売の弁当を期待しているMAKIKYUは今回パスですが、少々時間があるので再び先頭へ出向き機関車を撮影、それが1枚目の写真です。

江油出発後にMAKIKYUは車内巡回へ、これは編成確認や車内の様子の視察、それに弁当購入も兼ねたものですが、この列車の編成は前方から順に1号車が行李(荷物)車、2~9号車が硬臥車(2号車は一部を除き服務員用)、10号車が軟臥車、11号車が食堂車、12~16号車が硬座車、17号車が発電車となっており、これらは全てオレンジ色の25G型客車で編成されていますが、その後ろに1両だけ緑色の車両が連結されており、これはどうやら郵便車の様でした。

食堂車を覗いた際は、厨房の外に「花色快餐」と書かれた紙が貼られているカートが2つあり、これは片方が10元、もう片方は15元と書かれており、車内販売弁当の値段としては標準的なモノです。

ただ他の列車でも体験した事ですが、硬座と寝台系で弁当の値段を変えており、運賃の安い硬座車で販売する弁当の方が安価になっており、MAKIKYUもこれを知っては見逃せません。

その後は食堂車の先にある硬座車を視察しますが、こちらは両数が5両と決して多くないにも関わらず、車内の混雑はさほどでもなく立席は各車共数名程度、2~3時間程度の乗車なら充分なレベルで、MAKIKYUも弁当の販売が廻ってくるまでの間、硬座の空席で待機する事にします。

ただこの硬座車は始発からさほど経過していないにも関わらず、早くも床にはゴミが散乱し、また空調車にも関わらず上半身裸で平然としている物も居るなど、客層は決して良いとは言えず、ここで夜を越すのは辛そうです。

そして硬座の空席に腰掛けていると程なく「花色快餐 10元」と書かれた紙が貼られているカートを引いた係員が廻ってきたので、他の硬座乗客に紛れてこの係員から弁当を購入、この弁当は販売時に盛り付ける(中国鉄路の車内販売弁当では多いです)のではなく、既に食堂車で容器に盛り付け済みで、弁当を入手して用が済んだ後は硬座に長居する必要もないので、指定の硬臥車に戻りこの弁当を味わいます。

この「花色快餐」なる弁当の内容は、米飯とおかずの2容器に分かれた最近の中国鉄路で流行っているタイプで、おかずはザーサイ、ジャガイモの煮付け、野菜炒め、チャーシュー、ゆで卵といった感じです。(4枚目の写真参照)

肝心の味は、ザーサイは塩辛く、煮付けはやや甘い感じで、チャーシューは脂身が多めで、チャーシューとゆで卵は塩味がきつい感じでしたが、全体的に食べ易く日本人の口にもそれなりに馴染む感じでした。

ただ半分に割られたゆで卵は殻つきで、中国の方々は気にせずに食べるのかもしれませんが、MAKIKYUはさすがに殻は食べないので、これには参らされました。

またこの「花色快餐」を食している間には、MAKIKYUが乗車している硬臥車にも、「花色快餐 15元」と書かれた紙を張ったカートを引いた係員が弁当販売を行い、これを購入している乗客もいくらか見かけましたが、彼らは果たして硬座車では10元で似た様な弁当を売っている事を知っているのか気になります。
(こんな事を知ってしまうと、寝台車に売りに来る弁当を買う気にはなれません)

弁当を食べ終える頃には、列車は山間部を走る様になり、トンネルが幾つもある所を通り、上下線が大きく離れる区間も見られる様になります。

この辺りでは川沿いの谷間を通る所もあり、車窓はかなり良好ですが、19時半過ぎには外は暗くなり、車窓が望めなくなるのは惜しまれます。

外が真っ暗になってから暫く走り、20時半頃になると車窓に灯りが見え始め、すると程なく広漢に到着、MAKIKYUはこの頃腹痛に襲われましたが、中国鉄路の列車内トイレは垂れ流しとなっており、停車中は服務員が施錠して閉鎖されるので、仕方がなく出発後に行く事に。

列車出発後にトイレへ向かいましたが、その後も体調はイマイチ、外も真っ暗で何も見えない状況という事で、この後はずっと寝台で横になっていると22時の消灯時間(硬臥車のみ設定)を迎え、あとは寝るだけです。

こうして史上最長の列車旅は1日目を終えて今度は2日目ですが、この日(9月2日)は前日からの体調不調が尾を引き、腹痛で早くも2時前に起床しまたもトイレに駆け込む有様で、その後も暫く寝付けない状況です。

2時45分頃には陝西省内の小駅で貨物列車との列車交換を目撃、列車は単線で山間の区間を東へ進んでいる感じですが、外の様子は暗くて殆ど分かりません。

この後再び床に就きますが、今度目が覚めたのは7時20分頃で外は明るいですが、天気はどうやら曇り空、走っている場所は陝西省から湖北省に変わっているものの、相変わらず単線で山間の区間を列車は走っており、あと30分もすると列車は十堰に到着します。

この先は中国鉄路乗車記:K284/1次(2)に続きます
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20060903

写真は1枚目から順に、江油站停車中のK284/1次列車、MAKIKYUが乗車した硬臥車の車内、列車のサボ、車内販売の「花色快餐」(弁当)です。