(この記事は乗車日にあわせた過去ログ投稿です)
この乗車記は中国鉄路乗車記:K284/1次(1)の続きです。
(1)はこちら http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20060902
MAKIKYUを乗せたK284/1次列車は7時50分頃、定刻より若干早く十堰站に到着、ここではホームで色々な食料を販売しており、他の乗客も何人か列車から降りてホームに買出しに出ているので、MAKIKYUも一旦降りてホームを物色します。
ここでは結局骨付きのチキンとクレープの生地の様なモノを購入し合計7元、内容を考えると決して安くない感じです。
列車は7時58分に十堰を出発予定ですが、交換列車が遅れているのか発車は数分遅れ、発車前に反対側ホームに入線して来た列車を良く見るとK356/7次、この列車は広州~重慶間を武昌廻りで運行する快速列車で、時刻表で時刻を見ると1時間程度の遅延が生じている様な感じでした。
列車が十堰を出発した後は、十堰站ホームで購入した食料を朝食としますが、チキンはこの地域の味付けなのかやたらと辛く、クレープ(?)も大味でどうもイマイチといった感じでした。
この辺りの車窓は結構起伏もある感じですが、次の停車站・武当山までは30分程度という事もあってさほど侘しい感じではなく、ずっと田舎町を走っている様な感じで、武当山へ向かう途中では、短い区間ながらも六里坪という小駅で運転停車もあり、ここは余り人は居ない感じでしたが、貨物の為か站構内は結構広く、貨車が何両も停車していました。
武当山站には8時30分過ぎに到着、ここはホームから眺めただけでも站舎が随分特徴的な形をしているのが分かる程独特な感じで、ここでも2270/2267次列車(広州~漢中)と交換。
MAKIKYUが乗車している硬臥車ではドア扱いがないので運転停車かと思いましたが、時刻表などによると停車站となっており、硬座車のみの客扱いなのかもしれません。
列車が武当山を出発すると、程なく車窓右手に史跡の様なモノが見え、その後はまた暫くなだらかな山中を走りますが、途中の谷城付近を境に車窓は平野に変わり、それから暫く走ると襄樊に到着です。
襄樊の手前では徐行運転となり、列車は随分ノロノロと走っていたのですが、それでも南北と東西の鉄道路線が交わる要衝・襄樊站には到着時刻の11時より数分早く到着し、ダイヤは随分余裕ある感じです。
襄樊站では10分少々の停車時間があり、ここではMAKIKYUも列車から一旦ホームに降りますが、ここからは進行方向が変わり機関車も交替するので、いつの間にか(恐らく夜の寝ている内)SS3型から交替したSS7C型ELの姿を拝み撮影、また構内で客車入れ替えに動いていた機関車を撮影し、站構内で販売していた弁当(5元)も購入した後、再び車内に戻ります。
列車に乗り込んで少々すると襄樊站を出発、ここからは進行方向が変わりMAKIKYUの乗車している4号車はかなり後ろの方になりますが、このポジションで車両前方を眺めると編成が随分長く、何処かの島国とのスケールの違いを感じさせられます。
列車は一駅分位来た道をほぼ引き返す様な感じで走った後、今度は北へ向けて走って行きますが、この区間は今まで走ってきた単線・電化の路線とは対照的な非電化・複線の路線で、最前部で牽引している機関車(DL)も、塗装からDF4Dと判別できます。
11時30分頃にはカートを押した係員が車内販売の弁当を売りに来ますが、この弁当(花色快餐)は昨日と同じ15元、これは現地の物価を考えると割高で、先程停車した襄樊站で弁当を購入した乗客が多数居た事もあり、余り売れていない様子です。
この頃MAKIKYUも襄樊站で購入した弁当を頂きますが、内容は肉や野菜を炒めたおかずがご飯の上に乗っかったモノで、ご飯はパサパサしている上に、おかずの味はやたらと辛く塩味もきついモノで、これが「湖菜」(湖南省やその周辺の料理で、燃えるような辛さが特徴と言われます)の味付けなのかもしれませんが、周りの中国人ですらおかずを寄せて食べている程の代物です。
この弁当は「安かろう悪かろう」とでもいうのか、味の方はイマイチな感じで、昼食にしては少々時間が早かった事もありますが、MAKIKYUも半分程残す状況(この一部は夕食に化けるのですが…)でしたが、プラスチック製(?)の容器に中国鉄路のマーク(レールをリングで取り囲んだ様なモノ)が付いているのが数少ない評価点といった所です。
昼食を済ませた後は、体調が今一つという事もあって暫く寝台で昼寝、南陽を出た後の車窓に関しては余り記憶がないのですが、所々の街中以外は割合単調な田園風景が広がる感じだったと思います。
昼寝から起き出すと時間は16時頃、列車は洛陽の郊外を走っている様で、この列車は洛陽には停車せずに街の脇をかすめるだけですが、車窓はいつの間にか田園風景から、華北や東北で典型的な畑が広がる荒涼とした風景に変わっており、走っている路線もいつの間にか頭上に架線が見えますが、牽引している機関車は相変わらずDF4Dの様です。
その後暫くすると西安や蘭州、烏魯木斉などの西方を行き来する列車が多数往来する大幹線に合流しますが、この路線に入ってから暫くするとなだらかな山下りとなり、その後街並みが見えてくると南北と東西の大幹線が交わる鉄道の大要衝・鄭州に到着です。
鄭州には17時50分頃にほぼ定刻での到着、ここでも10分程度の停車時間があり、機関車の交替があり、荷物の積み下ろしなども行われます。
ここで先頭の機関車撮影を目論んだMAKIKYUは、編成後部の硬臥車から到着の手前で前方の硬座車に移動、ここからホームに降りますが、それでも先頭に向かうと既に鄭州まで牽引してきたDF4Dは切り離されて姿はなく、変わってDF11型(DL)が連結されますが、これは先頭にヘッドマークが掲げられた少々高級(?)な機関車です。
また鄭州站のホームでは夕食時という事もあって弁当も多数販売され、買い求める乗客も多数居た様ですが、買い置きの方便面(カップラーメン)が多数あるMAKIKYUは今回パス、それにしても蒸し暑い西南に何日も居た事もあって、この鄭州站ホームは随分と涼しく感じられました。
列車は18時頃には鄭州を出発、すると今度は1時間も掛からずに開封到着ですが、開封到着は19時前(現地時間:日本時間では20時前)というにも関わらず外は暗く、列車は既に1694㎞を走り続けている事もあり、成都などの西南地区が如何に遠いのかを実感させられます。
開封を出発した頃MAKIKYUは夕食としますが、沢山必要かと思い乗車前に3個購入しておいた方便面の一つ目をようやく食べる事になり、これにやたらと辛くてそのままでは食べるのが億劫な昼の弁当の残ったおかずを入れて頂きますが、列車内で方便面を食べる中国人を見ても、結構車内販売で購入したゆで卵やソーセージなどを入れて食べている事を見かけます。
ちなみに列車内では他の列車も大抵そうですが、中国鉄路の各車両には熱湯の給湯器が設置されており、方便面やお茶の熱湯手配には困りません。
夕食を終えて暫くすると、今度は20時20分頃ほぼ定刻で商丘に到着しますが、ここでは停車中、反対側ホームに銀川→上海の快速K359/362次が入線、この列車は本来MAKIKYUが乗車しているK284/1次列車の30分程前を走っている筈ですが、何かの事情で遅延が生じている様で、この後度々姿を見る事になります。
こちらの列車は商丘を20時半頃に出発すると、後は次の停車站・除州に到着する前に消灯時間(硬臥のみ設定あり)を迎えてしまい、外も真っ暗なので床に就く事にします。
そして翌日(9月3日)は目が覚めると時刻は3時半前、鎮江站停車中に目が覚め、ここでもこちらの乗車しているK284/1次列車の出発前になって銀川からの快速が隣のホームに入線し、こちらの乗車している列車が先に出発する光景は相変わらずで、鎮江站では朝が早いにも関わらず何名か乗降する乗客の姿も見られます。
この後はまだ朝が早いので寝ていようと思っても、常州・無錫と停車站毎に目が覚めてなかなか寝付けず、この辺りの停車站でも鎮江と同じ様な光景が繰り返されます。
無錫を出発すると程なく、時間はまだ朝の5時前というにも関わらず車内は早くも灯りが灯り、乗客も下車に向けて荷物の整理などを始めるので、こうなるともう寝てはいられません。
そして5時10分頃には列車は水の都としても知られる蘇州に到着、ここから終点上海までは残す所僅か84㎞ですが、向かいの寝台に居た乗客はここで下車し、他にもここで降りる乗客は結構居る様な感じでした。
この辺りになると空も少しずつ明るくなり始め、水路のある蘇州の独特な風景も車内から若干は垣間見る事が出来る様になりますが、この列車の始発地・成都では朝6時(日本時間では朝7時)を過ぎても外が真っ暗な事を考えると、随分日本に近づいた感と共に、旅の終わりが近いことを予感させられます。
そして5時40分頃には昆山に到着、ここを出発すると後はもう終点の上海ですが、上海は中国最大の都市というだけあって、その郊外の昆山一帯でもマンションなどが林立しており、昆山站停車中の列車からもその姿を見る事が出来ます。
ここでは通過列車の退避があり10分程停車しますが、一旦ホームに降りるとまだ朝6時前だというのも関わらず、既に外は蒸し暑く、上海到着後が思いやられる感じです。
ちなみに昆山で退避するのは特快などの上位列車ではなく、MAKIKYUが乗車しているK284/1次と同じ快速列車で、それも一本は昨日~未明にかけて何度も遅延運行している姿を目撃した銀川→上海の快速で、もう一本はMAKIKYUが乗車している列車と同じ成都→上海間を西安経由で走るこの区間の最速列車(それでも約36時間ですが…)・K289/292次列車というのは呆れた話で、終着の上海站まで50㎞を切っている昆山站でわざわざ退避する必要性があるのか疑問に感じます。
そして昆山を出発するとあと1時間弱で終点の上海、到着が近づいてくるとかなり手前から車内には音楽や到着を知らせる案内放送などが掛かり、列車も上海の市街地に差し掛かりますが、鉄軌道の発達が遅れている上海では郊外からのアクセスは一部を除いてバスに頼る他なく、随分と不便そうに感じます。
到着手前の小站・江橋鎮では運転停車があり、ここでは特快を退避して進路を譲った後出発します。
上海南站開業後は旅客列車の発着がなくなり、構内の閑散とした上海西站を通過すると程なく終点の上海站到着、この列車の到着後には中国鉄路が威信をかけて運行している北京~上海の直達特快(列車番号の頭がZで始まるノンストップ列車)が次々と到着する事もあり、このK284/1次列車は長距離列車にも関わらずほぼ定刻で到着です。
これは多少の遅延が発生して乗車時間が40時間を越えるかと想定していたMAKIKYUの予想を裏切るもので、列車の到着後は上海站の北口(メインの南口とは逆側)から出站し、翌日の小旅行(帰国前の上海滞在時に、日帰りで杭州へ出向いていました)に備えて乗車券を購入した後、近くの地鉄3号線(この路線は全区間地上を走り、明珠線とも呼ばれます)上海火車站から地鉄に乗車し、ホテルへ一旦向かい行李寄存(荷物を預ける)の後、上海市内を気の向くままに動き回っていました。
こうして車中2泊・およそ39時間半、道程2620㎞のMAKIKYU史上最大の列車旅は終わりましたが、現地庶民の金銭感覚で考えると高額な寝台車(硬臥)で、それも新型空調車に乗車していた事もあって、多少の体調不良に襲われたとはいえ快適な旅で、終えてみると意外に短く感じられ、もっと乗車していても…と感じさせられるモノでした。
(旧型の緑皮車で硬座にでも乗車していたら、感想はまた違ったかもしれません)
次々と変わって行く車窓を眺め、土地の味が反映された站構内&車内販売の弁当を味わいながら、徐々に移動して行く事で夜明けや日没の時間、気候などが変化し、大地を移動している事を実感できる地に足の着いた列車の旅はなかなかのモノです。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も中国へ行かれる機会がありましたら、これだけ長い鉄道旅行は日本では決して体験できない貴重なモノですので、レールファンの方は勿論、そうでない方も是非一度この様な長距離列車に乗られ、中国の広大さを実感されると良いと思いますが、皆様は如何でしょうか?
画像は1枚目から順に、車中から眺めた特徴ある武当山站の駅舎、襄樊站停車中のK284/1次列車、襄樊站で販売していた弁当、鄭州の手前を走る列車内から眺めた編成の様子、鄭州站からK284/1次列車を牽引するDF11型DL、上海到着の手前で停車した昆山站の様子です。