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韓国鉄道 9100型ディーゼル動車~大陸で活躍した日本製気動車

2007-07-04 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

 

先月「MAKIKYUのページ」では、韓国の鉄道博物館(京畿Gyonggi道・儀旺Uiwang市)に保存されている旧韓国鉄道庁(現韓国鉄道:KORAIL)の通勤型車両・1000系電車の初期車両(通称:初抵抗)に関して取り上げましたが、今日は1960年代に日本で製造され、韓国に渡って活躍した旧韓国鉄道庁9100型ディーゼル動車(この形式は晩年のモノで、導入当初は別の形式を名乗っていました)について取り上げたいと思います。

この車両は60年代にソウル近郊をはじめ、韓国各地の非電化線区(導入当初の韓国鉄道庁は全て非電化路線です)でローカル輸送用に使用する為に導入された2エンジン・2扉セミクロスシートの気動車で、川崎車両(現川崎重工業)や新潟鉄工(現新潟トランシス)が製造を担当した事から、韓国でも「カワサキ動車」「ニイガタ動車」などと呼ばれ、鉄道博物館の案内板にもその名称が記されている程です。

その為日本の旧国鉄で同時期に導入され、スペック的に類似したキハ52形とデザイン的にもよく似ており、キハ52形を大陸規格用に大柄にした車両という印象を受けますが、両端に気動車を配して中間に客車を数両組み込むといった日本では考えられない使い方をするなど随分と酷使された事や、韓国では車両使用年数が短く新車導入で次々と置き換えていく傾向がある事から、統一号(現通勤列車)用に9501型都市通勤型ディーゼル動車(CDC)と呼ばれる車両が登場した90年代中頃までは残存していましたが、現在は残念ながら全車が営業運転から退役しています。

ただ現在でも現役を遠のいたとはいえ、鉄道博物館で晩年のピドゥルギ号(「鳩」の意・現在運行されている通勤列車(旧統一号)より更に格下種別の列車で、現在は廃止されています)で活躍した際の紺色とクリームの塗装を纏った美しい姿が見られますし、また随分派手な塗装に改められて現役時代には無かった冷房装置やKORAILマスコットキャラクター「チポチポ」マークの取り付けなどが行われるなど随分姿は変容したものの、鉄道博物館内の短い区間を走る「宇宙観光列車」と呼ばれるアトラクションとして使用されている稼動車両が存在する事は嬉しい事です。

写真は鉄道博物館内の保存車と、宇宙観光列車として使用されている9100型ディーゼル動車です。