最近E655系と称する新型の「お召し電車」なるものが登場し、随分話題になっていますが、ネット上などで公開されているその車両の姿(MAKIKYUはまだ現物を見た事がありませんが…)を見ると、塗装は黒光りした車体に金色が入り、MAKIKYUとしては派手なロゴの有無こそあるものの、何処となくJR九州の特急「はやとの風」で使用されている気動車を連想してしまいます。
(両者を比較するのは-という意見をお持ちの方も居られるかもしれませんが…)
ということで、今日はこの「はやとの風」について少々触れたいと思います。
この車両は現在JR各社に所属している一般型気動車・キハ40系列(JR旅客6社全てで活躍している形式は珍しいです)を改造し、特急用に仕立てた異色の車両で、その上特急にも関わらずワンマン運転を行っているのも異色ですが、塗装が大きく改められて車体中央に展望スペースが設けられており、車内も特急用の座席に木材をふんだんに活用した内装に改められたとはいえ、外観は前面をはじめ種車の面影を大きく残しており、客窓も開閉可能な状況ですので、見た感じはとても特急用車両とは思えない車両です。
MAKIKYUも機会があって2年程前に南九州を訪れた際、「はやとの風」に1度だけ乗車した事がありますが、鹿児島中央~吉松間を結ぶこの列車は2両というローカル線区の普通列車さながらの編成(車両は予備1両を含めて現在3両あります)でワンマン運転(言い回しなどは異なりますが、ワンマン普通列車と同等の合成音声による放送も流れます)を行っていますが、実際は乗務員の他に客室乗務員(新幹線つばめ号などにも乗務される様です)が乗り込んで検札や車内販売、観光案内などを行っており、ワンマンとは名ばかりといった感があります。
(ただ車両前面には「ワンマン」表示が掲出され、ドア扱いなどは運転士が行っていますが…)
また通過駅はあるものの、種車が起因してさほど性能も良くない車両がゆっくりと走る様はとても特急とは思えず、途中嘉例川駅での駅舎見物の為の停車時間が設けられている程ですが、この状況は「青春18きっぷ」(春・夏・冬の時期に発売される割安なJR全線普通列車乗り放題の乗車券)などが使用できない料金制快速列車に等しいものと感じてしまいます。
ただこの列車は特急扱いで「青春18きっぷ」では乗車できないものの、九州内のJR線が週末などに4割引(九州新幹線が介在する場合は3割引)になるナイスゴーイングカード(若者向け割引制度)などを活用すれば割合安価に乗車できますし、そうでなくても特急料金は特定特急料金が適用され、自由席であれば特急料金はライナー列車並みですので、特急列車としての速さを求めず、この車両に乗車するための設備料や観光の一環と考えればむしろ割安なものです。
ちなみにこの「はやとの風」は黒光りした車体が印象的ですが、この車体は艶が出ているほどで光を反射してしまい、乗車の記念に写真撮影と思ってもなかなかうまく写らないのが難点ですが、この車両とよく似た塗装で試験車の様な風貌をしており、今脚光を浴びている新型「お召し電車」(しかも車内の座席もJR九州某振り子式特急を連想させられるものがありますし…)も同様に撮影泣かせの車両になりそうですが、こちらは用途故に定期的な運行は考えられず(1両の特別な車両を外し、臨時列車として運行する見込みはある様ですが…)、その点でも更に厳しいものがありそうです。
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