曇り、27度、86%
昨晩、香港に戻ってきました。日本の梅雨前線は、台湾北部あたりまで続いています。雨が降り出した福岡を飛び立って、しばらくは雲海の上を飛びました。 厚い雲がたれ込めていても、その雲の上はこうして晴れています。珍しく私は窓際の席でした。香港福岡便は、人気の高い路線で直通便をとるのも一苦労、私が予約を入れたときは通路席は全て埋まっていました。たまには窓際の席もいいものです。
福岡を発ったのは夕方の5時前、一時間の時差がある香港には約3時間の飛行で午後7時過ぎには着きました。香港の気温は34度、聞いただけで首に巻いていたスカーフを外しました。台風の影響はまだ出ていないはずですが、気流の悪い箇所が続きます。台湾を抜けて、海上に出ました。このまま海上を飛行します。雲も晴れて来ました。今年の香港6月の気温は130年の観測史上初の高温を記録したといいます。月の平均気温29,7度だったそうです。晴れの日が続きました。
海の上に出ると、香港が近くなったことに胸が躍ります。モモさんお待ちかねです。香港のランタオ島にある空港へは飛行機の侵入経路が幾つかあります。昨日は、ビクトリア湾、つまり香港島と九龍サイドを見渡せるルートです。 手前が九龍サイド、ビクトリア湾を挟んで香港島が見えています。そして、その向こうラマ島まで見渡せます。香港島の明かりが灯り始めています。この時間まだネオンがきれいな時間ではありません。左よりトンローワン、ワンチャイ、セントラルと華やかです。九龍サイドにはライトアップが見えないようですが、ビクトリア湾に向かってキラキラした照明が付いてるはずです。
西へランタオ島の空港に向けて飛びます。見出し写真が、ビクトリア湾西側の景色です。手前に見える一瞬夕日に輝いたICCビルは、世界で4番目に高いビルと聞いています。 少し見辛いのですが、ICCが出来るまで香港で一番高かったIFCのビルが香港島側に建っているのが見られます。そのIFCの後ろに見えるビルの何処かにモモさんと主人が待ってくれています。この景色をあとに、5分もすれば着陸です。
久しぶりに自分の住む町を空から眺めました。私たち夫婦にとって一番長く住んでいる町です。実はこの景色を見せてあげたい人がいました。
私より若く50代初めの彼女、23年ほど香港に住んでいます。香港人の方と結婚して香港で仕事をしています。その彼女が病を得て、病状が思わしくなくなり治療のために日本に戻ったのはこの旧正月前でした。
一昨日、福岡の人ごみの中を歩いていると電話が鳴ります。とると、彼女が息を引き取ったという知らせでした。幾度か山がありましたが、私は彼女の生命力の強さを信じていました。
私と同じくらい香港が好きな彼女です。療養もこの地でとがんばっていた彼女です。ご家族に見守られて静かに逝かれてと聞きます。
この香港の景色を、今一度彼女に見せたかった。そう思いながらほんの数分の香港上空で、彼女のちょっと早口な「真奈さん。」という声が聞こえた気がしました。この景色を私に見せてくれたのは彼女かもしれません。