曇、7度、76%
佐伯祐三という画家をご存知でしょうか?私が佐伯祐三を知ったのは20年ほど前のことでした。「ブラマンク」の絵を見に行った展覧会でその名前と作品を知りました。「ブラマンク」関係のある日本画家「里見勝蔵」と「佐伯祐三」の作品が一緒に展示されていました。
「ブラマンク」を観に行ったはずの私は「ブラマンク」の絵より「佐伯祐三」の絵に強い印象を持ちました。絵画展で絵葉書をほとんど買わないのですが、その時は「佐伯祐三」の絵ばかり3枚買い求め、香港に持ち帰りました。小さな額に月替わりに入れて飾っていました。 「こんな絵を描く人がいたんだ」描かれた絵はパリの街角を切り取った作品が多く、黒を基調にしていると感じました。その暗い絵の中に一筋、どこかに入る赤い色が鮮明です。赤が入らなかったらただの暗い重い絵でしかなかったように思います。
すっかり「佐伯祐三」のことは忘れていました。先日、古い本の間から「新刊案内」は滑り落ちました。1980年の新刊案内です。今から40年以上前の新刊案内に「佐伯祐三の素顔」という本を見つけました。早速検索すると古本が売られていました。40年前の本ですが状態のいい本が届きました。 すぐさま読み始めました。
作者は「佐伯祐三」と美校の予備校時代からの近しい友人です。絵画論ではなく「佐伯祐三」の人となりや学生時代の逸話が主な話でした。「佐伯祐三」が早逝であったことは知ったいましたが、30歳で亡くなっています。パリに滞在中の死でした。昭和初期、きっと結核だろうと思い込んでいたのですが、結核と一緒に精神異常を患っての死だと知りました。
改めて手元の絵葉書を見ました。自分を追い詰めて絵を描き続けた結果の死。作風は違いますが「ゴッホ」に通じる何かを感じます。大阪生まれの佐伯祐三の作品は大阪中之島美術館に所属するものが多いそうです。来年は「佐伯祐三」の大きな展覧会が予定されています。まだ先のことですが、大阪に観に行こうと考えています。ふと、何のためにこうも絵が見たいのか考えたこともなかった自分を見つけました