曇、15度、85%
義母が逝った日のことです。葬儀の手配のために家にいました。すると宅急便が届きました。開けると毎年いただく「柿の葉寿司」です。送り主の友人はもちろん義母が亡くなったことは知りません。家族の者たちが集まることも知りません。私が好きな「秋の柿の葉寿司」です。大箱を送ってくださいました。届いた日はお通夜でした。明けの日の午前中には火葬が決まっていました。
火葬を済ませてひと段落、義母を連れて帰宅しました。この日のお夕飯、たくさんの「柿の葉寿司」が彩りを添えました。「緑の柿の葉寿司」は知っている主人や息子ですが、秋の紅葉した柿の葉を使ったものは初めて見たと言います。みんなの前で自慢げに私が蓋を取りました。 孫までもが歓声を上げました。絶妙な色合いです。鮨飯に「鮭」と「鯖」が巻かれています。「鮭」だとか「鯖」だとか当てっこしながら口に入ります。「私は毎年いただくからみんなで食べてね。」と言ってテーブルを外した間にお皿は空っぽになっていました。
気心の置けない友人にお礼と共にその話をしたら、二日前、小ぶりな箱の「柿の葉寿司」が届きました。わたし用です。ちょうど役所の手続きに出る前でした。 10個の「柿の葉寿司」をしっかりとお腹に入れて出かけました。
「秋の柿の葉寿司」は沈みがちな家族の心にパッと灯りを添えてくれました。いつもありがとう。