曇、17度、78%
いつもの魚屋さんに行くと、「モズクガニ」がネットにたくさん入って売られるようになりました。中秋節を過ぎた頃からが「上海蟹」の季節です。「モズクガニ」は「上海蟹」を一回り小さくしたカニです。オスかな?メスかな?とネットの中を覗いていると「全部オスだから、安くしておくよ。」と声がかかりました。えっと思う安さです。ジャワジャワ、ガシャガシャ動く「モズクガニ」を連れて帰りました。
さてどうやって食べようか?「カニごはんもいいな、煮物もいいな。」でも生きたカニの下準備をするのが怖い、ハサミがあります、それに目が合います。まずは一晩泥を吐かせるために塩水に浸けました。 病気を持っている可能性もあるので庭での作業です。迷いに迷って、全部蒸すことにしました。日本では茹でるのが一般的ですが「上海蟹」の食べ方にのっとります。 一番大きな蒸籠にいっぱいのカニにお酒をたっぷり振りかけて、目を合わせないように蓋をしました。湯気の立ったところに入れると、暴れて腕が取れますから水から入れます。火が回り始めると、熱くて動くので可哀想に思い台所を出ました。生きたままはむごいな。20分ほど経って蓋を取ると、真っ赤に蒸し上がっています。でも目は私を見ていました。
香港時代はこの季節、お客様がある時、カニを食べさせてくれる店へ足を運びました。一人一人に給仕の人がハサミで食べやすいように切り分けてくれます。オス、メスを番で一人分です。食べる段になるとテーブルが急に静かになります。話している暇などなく、みんなが一斉にカニに向き合います。手が汚れるので温かな烏龍茶がボールに入って一人づつ渡されます。
さて、小振りと言ってもカニです。一人で食べるので、人目はありません.バリバリと割って、チュウチュウ吸って食べます。香港の方に「上海蟹」と食べ合わせの悪いものをいつも教えてもらったのに、すっかり忘れています。ただカニは体を冷やすそうで、必ず生姜やお酒と一緒に食べるように言われました。 生姜と中国の黒酢です。この黒酢に黒砂糖でやや甘くしたものがレストランでは出てきます。甲羅を割ると、 小さいながら味噌がいっぱい。甲羅の中も身がいっぱい。爪は歯で割って、吸うか、カニの爪で身を掻き出して食べます。
数もありますから、時間をかけて食べ尽くしました。香港や東京には一番いい「上海蟹」が送られると聞いたことがあります。そんな「上海蟹」を食べていたのに、実はこの小振りな「モズクガニ」が今までの中で一番美味しいと思いました。味噌のまろやかさ身の甘さ、なぜだろう?量は少ないけれど確かに美味しい「モズクガニ」でした。
香港の上海レストランの前には季節になるとカニ用の冷蔵庫が出てきます。中には藁紐で爪や足を縛られた生きた「上海蟹」が整列しています。懐かしい光景です。
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