曇、5度、75%
義母が亡くなって以来、本を読む気が起こりませんでした。じっと字を見つめていると気持ちも沈みます。先月末、新刊案内で建築家「隈研吾」さんの「日本の建築」を知りました。早速送ってもらいました。やっと本を読む気持ちになりました。「日本の建築」のページをめくったのは二日前ことです。一気に読み終えました。
隈研吾さんという「木」の美しさを生かした建築物が頭をよぎります。「日本の建築」は戦前からの西洋建築家の系譜を辿って、対比をさせる形で描かれています。対比の対象は日本の西東、つまり京の建築と東京の建築の違いです。西の流れの建築家、東の流れの建築家。そしてそこに日本でも活躍した西洋からの建築家がどう日本建築を見つめたかを考察しています。
本の初めご自分が建築家を目指したきっかけとなる「ブルーノ・タウト」の木の箱の話が出てきて、来日したタウトが日本建築の自然と結びついた美を喚起した話に進みます。世の中は世界中がコンクリートと鉄を使った建造物が「強い」建築物としてもてはやされていた時です。木と紙でできた日本建築は「弱い」ものとして対比されています。建築のことなどほとんど知らない私ですが、隈研吾さんの息遣いまで感じる文章に引き込まれて読み上げました。
建材の「丸太」と「製材」、室町時代の「北山文化」と「東山文化」などの対比は私にも理解できました。柱の重要性、それをどう見せるかがまた建築家によって違うことも興味が湧きました。そして本の最後、隈研吾さんが今のような建築スタイルに至ったかが解き明かされています。「バブルの崩壊」です。それまで強い建築物を東京で作っていた隈さんでしたが、全くお仕事がなくなったそうです。そんな時、四国の山中の村の建物の改築を頼まれたことが「木」を使う建築への目覚めだと書かれています。
鉄やコンクリートを使った「国立競技場」、強い建造物も設計されていますが、そのどれもに「木」の美しさをこれでもかというほどに見せてくださっています。大きな建築だけでなくすぐ隣にあるお店の建築にも手を染められ、これからどんなお仕事をなさるか楽しみな方です。
「日本の建築」を読んで書きたいことがたくさんありました。メモまでして読みました。ご興味があればどうぞ手に取ってください。久しぶりに本に没頭した2日間でした。