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月末になると封状の郵便物が毎日たくさん届きます。紙を減らそうと言いながら、領収書の類は紙の方が安心します。毎月送ってくださる領収書、封筒ギリギリの大きさで、ハサミで封を切ると領収書まで切ってしまうことがありました。しかも最近の封筒は強力なノリ付きで端から端までピッタリと封がされています。
封を開ける道具、鋏やペーパーナイフを使います。 ペーパーナイフは大きさにもよりますが使い道の多い小物です。上から二番目の龍の模様のペーパーナイフは小学の時から使っています。父が中国展で買ってくれたものです。一番上はパリの蚤の市で主人が買ってくれました。木製で鳥の絵が焼印されています。上から三番目は母の残してくれたペーパーナイフです。そして一番下の面白い形のものは「レターオープナー」封切りに特化したものです。大学に入ってすぐ、お茶の水の画材屋「レモン画翠」で書いました。時には普通に紙を切ります。
どれも古いものです。木製のペーパーナイフは切れ味や切り口が雑、素朴なペーパーナイフです。中国製は金属です。数枚の紙も見事にスッパリ切ります。母の残してくれたペーパーナイフは1、2枚ならシャープな切れ味で切り口がきれいです。赤い「レターオープナー」はプラスティック、切り口のきれいさは抜群で挟み込みますから力も要りません。封を切るのがお仕事ですから一枚の紙を切るには一番の優れ物です。
最近、指先に思うように力が入りません。封筒は反故になりますが、封の切り後がギザギザだと自分の雑さを見ているようで嫌な気分になります。日に日にこうした小物にお世話になることが増えました。私の机に母のペーパーナイフ、居間の引き戸のうちには家族みんなが使う鋏やノリを纏めて置いています。残りの3つはそこに仕舞っています。出番の少ない木製のペーパーナイフは主人と歩いたパリの思い出です。時折手に取って眺めます。