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曇、15度、88%
先日お亡くなりになった篠田桃紅さんの作品展に行きました。百歳を超えてなお創作意欲が衰えず、写真で拝見するだけでもとても百歳を超えた方の筆とは思えない作品でした。
篠田桃紅さんが日本で広くお名前が知られるようになったのは、私が日本にいなかった30年の間です。いつか、いつかと思いながら年明けて福岡でも作品展があることを知り楽しみに待ちました。その2週間前に訃報に触れました。
「墨象」と言われる墨絵の数々、リトグラフを混じえた後年の作品の数々です。 晩年の篠田桃紅さんのぐっと襟を抜いた着物姿を思い浮かべながら拝見しました。力強いと思っていた筆致は実際の作品に触れるとその不思議な枯れ具合に目が停まります。筆を知り尽くす以上の筆が体の一部になって、心を現したような線の数々です。潔い中に女性の心の奥底にあるものが見え隠れします。
展示即売会です。数百万円の作品がもう生み出されないと知る愛好家に求められ、次々と「売約済み」の札が付けられていました。「篠田桃紅」という人間、容姿までを含めたものを買い求められているような気がします。機会があればお若い時の作品にも触れて見たいとの思いが残りました。生きていることを表現するのは万人皆その方法が違います。ささやかな自分の生き様をささやかに残したい、いいものを見せていただきました。
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