晴、16度、94%
30年日本を離れていました。現在、帰国後5年目です。30年の間に街の姿は変わりました。高齢者の姿が街に多くなりました。そんな表面的な変化は当たり前です。著しい変化を感じたのは結婚観、家族のあり方です。そのことに気づいたのは帰国後4年を過ぎた頃からです。
私は結婚44年、主人に食べさせて貰って、住む場所も身の回りのものもお世話になっています。つまり養って貰っています。44年のうち23年は仕事をしていましたので、服、本、家の什器は私の収入で賄いました。主人の仕事がなかった時は私の収入が生活を支えたことも短い期間ありました。でも基本、食費や住宅費は主人に依存でした。私自身の貯金に主人の貯金を足してマンションも買いました。二人の名義です。仕事を辞めて8年が経ちます。自分のお金はなく、主人に養って貰っています。
今住む家は私の実家、古い家を主人が改築してくれて住むことになりました。一人っ子の私は両親が亡くなれば当然この家、土地を全て引き継ぎました。つまり私の名義です。主人は自由にお金を使いなさいと言ってくれますが、私の気持ちとしては養って貰っている、ありがたいと思います。
現代の女性はこの「養ってもらう」という言葉が苦手なのだと聞きます。私は昭和30年代生まれ、男女平等の時代です。前の世代は女性は男性の付属物的扱いでした。確かに今の女性は独立しています。結婚して、子供を産んでも働き家事もこなします。逞しい、清々しいと子供を保育園に送り迎えする母親たちの姿を見て感じます。家庭内でも家事の平等、男性の家事参加は当たり前、世間より家庭からの変化は根強いと感じます。
若い女性は変化としては受け止めていないはずです。「当たり前」と思っているはずです。そしてその流れを一緒に流れてきた年配者も世の中を受け入れて、変化とは感じていないかもしれません。いい流れだと思います。現在主人に養われている身の私から一言、「自分が使えるお金を女性は持った方がいい。」ということです。自分が働いて得たお金は「自分のもの」何かあったときに自分のために使いましょう。「離婚」だってあり得ます。大きな仕事を始めるかもしれません。「自分のお金」は大事なことです。私はというと、お金はなくてもこの家と土地があります。お金が必要になった時は売ってお金にするつもりです。自分名義のものを持つことはこれからますます女性にとって必要です。少ない金額でも心に余裕が生まれます。自分を支えてくれます。
雨上がりの朝、受け継いだ土地の庭に咲き始めたバラを見ながらそんなことを思いました。
私の世代はちょうど端境期ではないかしら…
親の世代からは夫に従順に従う嫁を望まれ、我が子はというと今の若い夫婦像です。
だから胸の中では夫に従属しない独立した人間でありたいと思いながら、現実にはそうはなれません。
私も子供が手がかからなくなってからは10年近く働きましたが、所詮扶養の範囲内のアルバイトでした。
それでも子育てとの葛藤がありました。
私の世代の夫は子育て家事を協力しようと思っても出来ない労働環境でしたからね。
正規で働いている今のお母様方はさぞかし大変だろうと察します。世の中の制度がまだ追いついていないのと、雇用する側や男性の意識がまだ確立していないと感じます。