チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ブックスキューブリック

2021年11月08日 | 

曇、16度、72%

 小さい頃から本屋に行くのが好きでした。30年も日本の本が少ない海外に生活していた頃は帰国すれば本屋に直行、戻る飛行機に乗る間際まで空港の本屋にいました。いよいよ帰国が決まった時、頭を悩ませたことが一つ、福岡の本屋には英語の新刊書が売られていないことでした。丸善、紀伊国屋、蔦屋、ジュンク堂、どこも英語の新刊書はありません。でもすぐにこの悩みは解決しました。「amazon」です。頼むと10日ほどでアメリカ、イギリスから本が届きます。電子書籍なら即入手可能です。この「amazon」頼みは日本の本にまで及びました。プチンと押すと翌日にはポストに入っています。2、3年前の本なら中古本で安く買えます。「古本」も検索で次々に出てきます。古本屋のハシゴをする必要がなくなりました。コロナの影響ではなく、本屋に行かなくなりました。

 福岡にもしゃれた通りがあります。ケヤキの街路樹、ブチック、ケーキ屋、パン屋、イタリア料理、店構えは大きくありませんが「ケヤキ通り」は雰囲気のある通りです。この道にケヤキが植えられポツポツと店ができ始めたのは50年も前、私が福岡を離れて上京した頃のことです。帰ってくる度に街は華やかになりました。博多駅、空港、デパートが並ぶ「天神」と私の実家、つまりこの家とを結ぶ道です。いつ頃でしたか、本屋らしきものが出来ていました。店の作りがバスの窓からも素敵です。わざわざバスを降りてこの本屋へ行ったことがありました。「ブックスキューブリック」です。

 こじんまりとした店内には雑誌少々、新刊書もありますがどれもが店主が選んだ本という感じの強い本屋です。店主の発信する周波に合わない人は店を一巡して出て行きます。本棚に並べられているというよりディスプレイされている本たちです。帰国して「ケヤキ通り」は運転する車で通り抜ける街になりました。「キューブリック」の横で信号待ちをすることはありますが、店に訪れることはないままでした。

 秋の気配が深まり、ケヤキが色付き始めました。「キューブリックまで散歩しよう。」と家を出ました。15分歩くと、スターバックス、雑貨屋を併設する「蔦屋」があります。素通りして、毎朝走る「大濠公園」を横目にさらに15分歩くと、「キューブリック」に着きます。1分でひとまわり出来る店内、幾人かの人は本を手にとっています。相変わらず主張のある本屋です。ゆっくりと本を眺めました。一人いる店番のお姉さんと会話して、手ぶらで店を出て家路につきました。何を買うという目的で来たわけではありません。ただ、あの本屋に行きたいという気持ちになっただけです。

 小さかったケヤキがすっかり大きくなり秋の木漏れ日を道に投げかけています。本を買ったわけではないのに、気持ちが満たされている自分がいました。

 日本全国に個性的な街の本屋さんが増えているそうです。この「キューブリック」2001年に開店、こうした店主の気持ちが反映した本屋の先駆けの店だということを一昨日知りました。大型書店が進出する中、いるだけで心地よい街の本屋を求める気持ちが高まります。


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