雨、16度、89%
新緑が美しい。木の芽が動き出すこの季節、風が薫ります。青空の下の木々の芽吹きは生きるものの生命を静かに見せてくれます。
庭は1秒1秒動いています。かすかな蕾の膨らみ、土を持ち上げる種の発芽、カタツムリは静かに葉裏を散歩、トカゲは目だけ動かし辺りを探っています。庭のバラが数を増しました。クライマックスはアーチを彩るバラ、その次がパーティションを這う小バラです。薄ピンクの小バラはこの6年でランナーを6メートルほどにまで伸ばし、石垣の上まで蔦っています。もう直ぐ咲き始ます。そのバラを模したかのような「ウィリアムモリス」のクロスを皐月のテーブルにかけました。 細かい連続模様です、使われている色は2色、モリスのクロスでこんなに小さな柄は珍しいかもしれません。皐月の朝日は柔らかく部屋に差し込みます。 この部屋からパーティションを這うバラが見えます。部屋と庭がバラで一体になる皐月です。
今月のモモカレンダーはよくよく見てください。モモ10歳の「パグの日」の写真です。パグ柄の手拭いをほっかむりにしてるモモの横顔です。絶壁な横顔。
座敷のテーブルに置く本は、「高田美」の「パリの追憶」、白黒の写真集です。 ピエールカルダンの片腕だった彼女の写真集、パリの街角、著名人のポートレート、白黒なのに空気の臭いまで伝えてくれる写真の数々です。ページをめくっていると、一枚の紙切れが落ちました。2003年、東京の写真美術館での展示会の入場券です。 確かこの展示会では日本で撮られた写真も混じっていたと記憶します。マンレイやブラッサイなどこの時代の写真家が好きです。カラー写真ではありません。温度や匂いや空気の動きまで感じることのできる白黒写真です。「高田美」の場面の切り取り方の素晴らしさが際立っています。絵画集、写真集、細かい字が読めなくても心に届く本たちです。
庭の古木の梅が実を膨らませています。私が枝払いを怠ったので、今年の実は例年の半分の大きさです。初々しい緑の葉っぱに青梅、鳥が集まって囀ります。「ウグイス」ではありません。花の時期は「メジロ」実の時期は「スズメ」です。その様子と全く同じな掛け軸を床の間にかけました。 この表装の色合いがこの季節を伝えてくれます。そういえば先月、一度だけ「ウグイス」の鳴き声を耳にしました。小さい頃はよく庭に来た「ウグイス」ですが帰国して以来初めて聴いた鳴き声でした。音を収めようと庭を回りましたが、一度きりの鳴き声でした。
雨が降る皐月ついたちです。
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