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「マナガツオ」という魚をご存知でしょうか?「カツオ」とついていますが「カツオ」とは似ても似つかぬ魚です。平べったいけれど「カレイ」などとも違います。「マナガツオの西京漬」を時折活字で見かけます。白身の身離れの良い魚です。ネットで調べると「高級魚」と書かれ冷凍の「マナガツオ」は高値でネット販売されています。でも帰国以来この7年間、一度も魚屋に並ぶ「マナガツオ」を見たことがありません。一度デパートの地下の魚屋さんに「マナガツオは入りますか?」と聞くと「ほとんど手に入らないよ。」と答えが返ってきました。
先週、香港時代からの友人に「マナガツオが食べたくなった。」とメールしました。関東に住む彼女も「マナガツオ」を見たことがないそうです。そう聞くとますます「マナガツオ」が恋しくなりました。月に一度ほど魚屋を巡ります。スーパーの魚屋が主ですが、小さな間口の魚屋、トロ箱で魚を売る魚屋、まめに歩きます。大量売り、水槽を備えた店では早くも「正月準備」の幟が上がりました。先日主人と来た折は大きな鯛やブリが一本売りされていました。刺身の下ろしてくれますが、いかんせん大きさが。目当ての魚を探してその店に行きました。大きな「ブリ」に並んで小降りの「マナガツオ」が三匹、目を疑いました。「高級魚」「煮付けがうまい」と書かれています。
香港では通年、市場の魚屋に並んでいた「マナガツオ」です。小振りのものは「ミルクフィッシュ」と呼ばれ手頃な値段ですが長さ30センチを超える大きな「マナガツオ」は高値です。私はおせち用に大きな「マナガツオ」をよく買いました。「粕漬け」で香ばしく焼き上げました。
初めて魚屋で見つけた「マナガツオ」は小振りの「ミルクフィッシュ」です。私一人では贅沢ですが、食べたさに買いました。見出し写真は鱗もお腹もついたままの「マナガツオ」です。お店の人が「お腹出す?」と聞いてくれたのに丸のまま持ち帰りました。 お腹を出して、鱗を取ると二枚に下ろすのは私には難しく、一匹を酒蒸しにすることにしました。
我が家の魚蒸し用の皿に乗せ、大きなフライパンで蒸します。 味付けはやはり香港風に、蒸し上げたところに甘めのお醤油と「ピーナッツオイル」を回しかけました。「懐かしい味!」香港風の蒸し魚は「石斑」が有名です。こちらも高級魚ですが、福岡では「クエ」と言って小さなものが手に入ります。「クエ」ほど脂が乗っていない「マナガツオ」ですが馴染んだ味を思い出しました。
翌日、また同じ魚屋に行きましたが売り切れでした。「滅多に入らないよ。」とお店のおじさん。食べたい思いが「マナガツオ」を呼んでくれたのかも知れません。30年住んだ土地の食べ物は身体に染み付いています。