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気ままに

大船での気ままな生活日誌

北鎌倉 琳派の記憶

2008-06-04 08:16:17 | Weblog
”北鎌倉 琳派の記憶”というタイトルで、地元のミニコミ誌”湘南通信”に北鎌倉の古陶美術館のことが載っていました。そこは以前、尾形乾山六世の娘さん乾女(奈美)さんが住んでいたところで、その美術館では紫陽花の時期に、乾女さんの作品の展示をしているのです。ボクは去年も今頃、見学しましたが、この記事を読み、また行ってみたくなりました。

去年のブログでも紹介しましたが、乾女さんは、尾形乾山六世の娘さんですから、七世を継ぐ資格があります。しかし、当時は女は窯場に出入り禁止という時代で、若いときに陶芸の勉強ができず、女子美を出てからは、堅山南風の弟子になって日本画の勉強をしました。会場に飾られている「楽人の妻」で帝展入選を果たし、日本画家として世に出ます。でも血は騒ぐのでしょうか、還暦を過ぎてから、北鎌倉の河村蜻山(”陶芸”という概念を生み出した陶芸家)の明月窯で陶芸を学び、たくさんの作品を発表しますが、七世は継承せず、尾形乾山の名跡を断絶する道を選びます。

尾形乾山六世はバーナードリーチや富本憲吉を弟子にとり、ふたりに免許皆伝の意味をもつ伝授書を手渡しますが、両人とも七世の継承はしませんでした。これもまた、あまり知られていませんが、近くに住む魯山人も六世の窯場に出入りをしていました。当時、北鎌倉はすごい陶芸家が集まっていたのです(エヘン、ボクがいばることではありませんが)。

ボクはこの早春に、熱海のMOA美術館で”乾山の芸術と光琳”展をみて、乾山(一世)の芸術に惹かれましたので(魯山人も乾山を高く評価しています)、去年とはまた、違った目で、琳派の流れをくむ乾女さんの作品を観ることができるのではないかと思いました。

また、現在の館長さんが蒐集し、展示している古越前、古丹波、古備前、古信楽等の作品も、この春、箱根美術館での古陶磁器展で、少し目を慣らしてきましたので、これも去年とは少しは違った目で観られればと思いました。撮影可能でしたので、ご紹介しながら若干の感想を述べてみたいと思います。

乾女さんの大作、”十二ヶ月屏風”。すばらしい植物画です。このほかにも、乾女さんの作品は、野草、草花を題材にしたものがとても多いです。庭園内の草花も乾女さん時代からのものが継承されています。いつもここでスケッチされていたのでしょうね。


陶芸品もたくさん展示されていました。小品に素敵なものが多かったように思います。たしかに作風は”琳派の記憶”が感じられます。




これは六世の作品です。日本橋三越での個展を開催するため用意していたほとんどの作品が、大正12年の関東大震災で壊れてしまいます。自分が永年かけてつくってきた代表作がことごとく消失してしまう、陶芸家にとって、こんな衝撃はないと思います。それがひきがねとなり、身体が弱り、同年、亡くなられます。ここの展示作品はそのとき残ったわずかな遺品だそうです。これらも、もちろん”琳派の記憶”が感じられます。





常設展の、古越前、古丹波、古備前、古信楽等の作品。右はボクの気を惹いた信楽の壺。去年はちらっと観た程度だったと思います(笑)。今年はたっぷり時間をかけて鑑賞しました。



乾女作品も、古陶器も、去年より面白く鑑賞できたように思います。来年も、より面白く鑑賞できるようになりたいです。



コメント
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