気ままに

大船での気ままな生活日誌

朝夕安居 清方

2013-10-26 11:20:03 | Weblog
鎌倉の鏑木清方記念館で、”昭和に描いた明治の風情”展が開催されている。そこに、清方が昭和23年に、誰れのためでもなく、自分自身のために描いたという絵巻”朝夕安居”が展示されている。これは、物心覚えた頃、明治20年頃の築地あたりの夏の一日を描いたものだ。

清方フアンの野坂昭如さんが、市井の人々の生活を描いた清方の絵をみると、なつかしくて涙が出てくるよと、どこかで語っていた。きっと、こういう絵のことをいうのだろう。ぼくも大好きな絵だ。4メートルほどの絵巻だが、分断して5枚の絵ハガキにしたセットがあることを知り、買い求めた。

この絵巻にはりっぱな詞書もついていて、達筆な文字で、それぞれの風景の説明をしてくれている。実物展示には遠く及びませんが、お裾分け絵ハガキ展示をしたいと思います。

1)朝の風景。新聞配達をする少年。道を掃き清める奉公の娘さん。煮豆屋の車を呼び止めるおかみさん。


2)家の裏側では井戸端会議の真っ最中。元気のいい声が聞こえてきそう。水桶を運ぶおねいさん。朝顔、物干しに干された浴衣。


3)夏の昼。日差しを避けて、百日紅の木陰で一服する風鈴屋さん。ちりんちりんと涼やかな音が聞こえてきそう。


4)夕方。娘さんが行水で汗を流している。手前の女性は灯りの準備をしているのだろうか。


5)むぎゆ(麦茶のこと)、さくらゆを楽しむ人々。夏の夕方、涼み台を並べ、むぎゆやさくらゆを売るお店がかってあった。子供のかわいいこと。


明治まで遡らなくても、ぼくらの子供時代の昭和でもそういう雰囲気があった。新聞少年、豆腐売り、納豆売り、井戸端会議、行水などなど。なつかしさがよみがえる。

本展覧会では、清方が明治を偲んだ絵がいくつも。

慶喜恭順。清方が能を観劇したときに、隣りの桟敷に慶喜がいた、乱れのない姿に大政奉還後の恭順の姿を保ち続けているような印象をもったという。


女役者粂八、にごり絵の口絵、虫の音なども。

次回も楽しみ。


清方記念館


ご近所の見事な朱い木の実。

コメント
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