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瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』

2008-04-25 18:22:28 | ノンジャンル
 瀬尾まいこさんの新刊「戸村飯店青春100連発」を読みました。
 家の雰囲気になじめず高校卒業するとすぐ東京へ出て行った兄と、家業の中華料理屋を継ぐつもりの弟。女性にもてて何事にも冷静な兄とひょうきんで人気者の弟は、兄が家にいる時はほとんど話をすることもありませんでしたが、高校を卒業したら家を出て行けと親父に言われ途方にくれる弟が兄に相談を持ちかける辺りから、二人はお互いのことを知るようになります。そして最後には思わぬ展開が‥‥。

 あまりのすがすがしさに感動しました。瀬尾まいこさんの小説には悪意が存在しませんが、この本も例外ではありません。それでいてリアリティを感じさせることが、感動につながるのだと思います。進路について悩む兄弟を描いたこの作品では、今までの作品以上にストーリーが簡潔で、関西弁の台詞も新鮮で、もしかしたら瀬尾まいこさんのこれまでの小説の中では一番の傑作かもしれません。生きて行く上で参考になる台詞もたくさん出て来ます。小説が好きな方には必読の書だと思います。まだ読んでいない方、書店に走りましょう!
 ちなみに詳しいあらすじは「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」のコーナーにアップしていますので、興味のある方はご覧ください。

北尾トロ&下関マグロ『トロとマグロの平成ニッポン裏街道』

2008-04-24 16:00:36 | ノンジャンル
 北尾トロさんと下関マグロさんの'98年の共著「トロとマグロの平成ニッポン裏街道」を読みました。これは北尾トロさんと下関マグロさんがそれぞれ怪し気な現場に潜入し、体験取材したものをまとめた本です。
 では、どのようなものを体験取材したかというと、
・伝言ダイヤルによって潜入した乱交パーティー(下関マグロ)
・変態の集まる店(下関マグロ)
・新聞拡張員のバイト(北尾トロ)
・興信所の浮気調査(北尾トロ)
・オウム主催のアストラル・コンサート(麻原彰晃を中心としたコンサート)と超能力開発セミナー
 (北尾トロ)
・強姦犯に間違われた話(下関マグロ、これは体験取材ではありません。天災のようなものです。)
・70才にして週10回のオナニーをこなす達人の取材(北尾トロ)
・内外タイムスの三行広告のセックス相談(下関マグロ)
・ダッチワイフの実物調査(北尾トロ、思わぬ優れものにぶつかる)
・電話番号を広告やティッシュペーパーに載せて彼女をゲットすること(下関マグロ)
これ以外にコラムとして、次のようなものも体験取材されていました。
北尾トロ
・服を着たままお風呂に入る(それが好きな女性の取材、結局北尾さんも入る)
・浴そうでプリンにまみれる(これはイクラの風呂に入りたいという女性のリクエストに応える、これも北尾さんも参戦)
・王様ゲームの王様にカメラを持たせる(完全に変態パーティーと化す)
・二人で縛りあう珍しいSMカップルの取材
下関マグロ
・大阪のSMスナック(首と手首が固定される鉄のおりがある)
・大阪の女装バー
・大阪の何でもありの超変態バー
・東京の変態が集まるパーティー

 この中で一番面白かったのは、「70才にして週10回のオナニーをこなす達人の取材」でした。彼は奥さんが元気だったころはセックスは週2~3回、オナニーは4~5回だったそうですが、奥さんが病気で子宮を摘出してからはオナニー道を邁進し、自分の描いた春画をネタに午前中に1回、午後に1回、週5日で合計10回のオナニーを欠かさずしているというのです。また1回にかける時間が短くて1時間、長くて数時間に及び、そのためにペニスにビニールをかぶせ、根元からカリの根元までゴムでグルグル巻きにしているという技を使っています。自分がオナニーを最大の趣味、というか生きがいにしていることを周囲の誰にも告げられず、北尾さんが取材に向かうと喜々としてしゃべりまくる老人の姿に大笑いしてしまいました。
 「新聞拡張員のバイト」と「興信所の浮気調査」は、北尾トロさんの著書「危ないお仕事!」にも掲載されていたものです。
 とにかく下手な小説より面白い本です。興味のある方、ぜひ手に取ってみてください。

エリック・ロメール監督『獅子座』

2008-04-23 16:17:32 | ノンジャンル
 スカパーの720チャンネルの「洋画★シネフィル・イマジカ」で、エリック・ロメール監督の'59年作品「獅子座」を久しぶりに見ました。
 パリに住む中年で独身のピエール(ジェス・ハーン)は叔母から莫大な財産を相続することになり、友人、知人をできるだけ集めて盛大にパーティーをします。が、相続はいとこが全額することが分かり、部屋代が溜まっていたピエールは夏のバカンスで閑散としたパリの街に放り出されます。友人、知人に連絡を取とうとしますが、皆バカンスに行ってしまって留守。親友も長期の海外出張で秋まで帰って来ません。ひたすら暑いパリの街を歩くうち、ズボンに染みがつき、靴底は剥がれ、汗で上着は濡れ、次第に汚くなっていきます。最後の金でパンを買い、空腹から万引きをしようとしますが店主に見つかり、あやうく逃れ、店の売れ残りが地面に落ちているのを拾って食べ、噴水の水を飲み、空腹を抑えます。そのうち即興の出し物で食ってる浮浪者と一緒になり、ビッコをひくマネをしたり、浮浪者の言いなりになって動きますが、やがて馬鹿馬鹿しくなって浮浪者を置いて去ろうとしますが、そこでやっと知人に発見されます。実は、その直前にピエールのいとこが事故死し、叔母が死んだ時の倍の財産をピエールは相続することになっていたのでした。事情を聞いたピエールは狂喜し、友人の車に乗って夜の街に消えて行きます。残された浮浪者が彼は絶対帰って来ると叫び、獅子座がズームアップされて、映画は終わります。

 この作品はクロード・シャブロルが叔母から莫大な遺産を相続したことをヒントに作られた話で、実際この映画はその遺産をもとに作られた製作会社によって製作されました。'59年の作品ということは、トリュフォーが「大人は判ってくれない」を撮り、ゴダールが「勝手にしやがれ」を撮った年ということで、この映画もこの2作品とともにヌーヴェル・ヴァーグの産声を上げたことになります。その証拠に、ゴダールがパーティでレコードの同じところを何度も聞くサングラスの男として出演していますし、ホテルの管理人の妻役でクロード・シャブロルの妻で彼の代表作には必ず出演しているステファーヌ・オードランも出ています。
 作品自体はスタジオ撮影は一切なく、夏の暑さの中で少しずつ浮浪者に近づいて行く主人公を淡々とカメラが追うドキュメンタリーのような仕上がりになっています。オールロケというのもヌーヴェル・ヴァーグの特徴の一つで、またほとんどがミディアム・ショットからなっており、その辺もドキュメンタリーの印象を生んでいると思われます。以前に覚えていたラストシーンとは全然違うので、ちょっと驚きました。未見の方にはオススメです。
 なお、詳しいあらすじは「Favorite Movies」の「その他の傑作」の「その他の傑作の数々」のコーナーに載せておきましたので、ご覧ください。

ロジェ・ヴァディム監督『輪舞』

2008-04-22 15:19:54 | ノンジャンル
 スカパーの720チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」で、ロジェ・ヴァディム監督の'64年作品「輪舞」を見ました。マックス・オフュルス監督の'50年に製作された同名の名作をリメイクしたものです。
 パンで様々な景色を撮り、シルエットで男女のキスが描かれるタイトルバック。1931年、パリ。娼婦(マリー・デュボア)は、なじみの客に似ている兵士に声をかけ、タダでやらせてあげると言います。馬屋でコトを済ませると、少しはお金を置いていってと言う娼婦を残して男は去ります。男はダンスホールで女と出会い、女の友人で内気な召使いのローズ(アンナ・カリーナ)を墓地に連れ込み、コトに及びます。愛してると言って、というローズを残し、浮気な男は次の女性を物色しにダンスホールに戻ります。ローズは日曜日に男にラブレターを書いていると、主人のアルフレッド(ジャン=クロード・ブリアリ)に呼ばれ、ぎこちなく口説かれ、コトに及びます。ローズは「抱くだけでなく愛してくださる?」と聞きますが、アルフレッドは今回限りにしようと言います。アルフレッドは貴婦人のソフィー(ジェーン・フォンダ)にラブレターを書き、花束を持って彼女を訪ねますが、ソフィーは不倫の関係を終わらせたいと言います。アルフレッドは強引にコトに及びます。2人は愛を語り、ソフィーは夫のアンリ(モーリス・ロネ)のもとに戻ります。ベッドで夫はソフィーに愛を語ります。ソフィーは夫が過去に関係した人妻のことを聞きたがり、不倫する女は早死にすると機器、ソフィーはアンリに抱きつきます。レストランでは給仕長が給仕たちに、知ってる客が来ても知らないふりをしろと言います。アンリは街頭でナンパした19才の女性とそのレストランに入り、個室でコトに及びます。その女性はその後街頭でまた作家の男にナンパされ、車で男の屋敷に行きます。男は大女優にしてあげると口説き、コトに及びますが、女性は本当に女優になります。作家はレストランで大物女優と食事をし、屋敷に誘われ、ベットと共にします。翌朝、若い兵士が現れ、大物女優と結ばれます。その兵士は安酒場で飲んだあげく、気付くと映画の冒頭に登場した娼婦とともにベッドに寝ていました。兵士はこれから戦争に行くと言い、娼婦は戦死しないでね、と言い、映画は終わります。

 ヌーヴェル・ヴァーグを代表するそうそうたる役者陣にもかかわらず、演出は冴えません。特にひどいのは、女優をきれいに撮っていない点で、トリュフォーの映画でおなじみの、私の大好きなマリー・デュボアなどは、そう言われてやっと気付くというひどい扱い。アンナ・カリーナもゴダールの映画で見せていた輝きなど少しもなく、ひどく哀れな女性の役を演じていました。まともに撮ってもらえていたのは、この映画の直後にヴァディムと結婚したジェーン・フォンダぐらいで、他の女優は惨澹たる有り様。映画自体もモーリス・ロネが出て来たあたりから冗長になり、後半は寝てしまいました。ロジェ・ヴァディムの最悪の映画と言ってもいいでしょう。色っぽいジェーン・フォンダを見たい方にはオススメです。

ジャン・ルノワール監督『ピクニック』('46)

2008-04-21 18:32:07 | ノンジャンル
 スカパーの260チャンネル「洋画★シネフィル・イマジカ」でジャン・ルノワール監督の'46年作品「ピクニック」を見ました。字幕は山田宏一氏のものです。 
 川面のタイトルバックにタイトルロールが流れます。「この映画はやむおえない事情で未完に終わった。滞米中のジャン・ルノワール監督に代わって、私たちは作品と登場人物のイメージを失わないように配慮し、あるがままをお見せする。話の筋が分かるように、字幕を2ケ所挿入した。」の字幕。
 「1860年の夏の日曜日、パリの金物商デュフール氏と妻と義母と娘のアンリエット(シルヴィア・バタイユ)と未来の婿養子アナトールを連れて、隣の牛乳屋から借りた馬車でピクニックに出かけた」の字幕。橋を渡る馬車の一行は、この辺のレストランで昼食を食べることにする。川辺のブーラン亭には常連の男アンリ(ジョルジュ・サン=サーンス)とその友人がいて、この静かな場所もやがて都会人だらけになってしまう、とアンリは嘆く。都会から来た女たちを見るために、友人が窓を開けると、娘と母がはしゃいでブランコに乗っていた。ブランコと一緒に揺れるカメラ。行き掛りの神学生も女性がブランコをしている姿に見とれてしまう。娘が立ちこぎから座りこぎになり、カメラは彼女のスカートの中を覗き込むように下から撮る。アンリは友人が娘をものにすると言うと、それによって娘の人生が台なしになると言って、アンリは反対する。
 母娘は川べりのさくらんぼの木の木陰に座り、娘は自然に囲まれて、優しさが込み上げて来て、草木にも愛を感じ、快い欲望が湧き、何かが胸にこみあげてきて、泣きたくなる気持ちだと言う。母もそうした気持ちになるが、ただ今は分別がそうした気持ちを抑えていると言う。
 友人はどうしても娘を誘惑すると言い、アンリはしょうがなく母のお供をさせられることになる。そらには雨雲が迫って来る。一家はサクランボの木の下で食事をしようと川から戻ると、アンリと友人がその場所に寝そべっている。友人は娘が置き忘れた帽子を彼女に返し、場所を一家に譲る。
 昼食後、夫は寝てしまい、アナトールはしゃっくりをして母の気分を害したため、夫に連れられて治しにいく。夫とアナトールがいなくなったところで、アンリと友人が母娘に取り入り、夫とアナトールには釣りの道具を貸して釣りをさせている間に、母娘を船に乗せるが、アンリは娘と乗ってしまい、友人は母で我慢する。
 流れ行く川辺の景色。川の静けさにうっとりする娘。アンリは森に誘うが、娘は母が心配して待っているだろうから帰った方がいいと言う。帰ってみると、母はアンリの友人とまだ船の上ではしゃいでいた。アンリと娘は上陸して森に行き、鳴くウグイスを見ている娘をアンリは押し倒し、無理矢理キスをしようとすると、最初は抵抗していた娘も最後には自分の方からアンリにしがみついていく。風で揺れる木々。雨が降り、濁流と化す川。二人は愛の行為の後、茫然と空を眺める。
 「月曜日のように悲しい日曜日がめぐり、数年がたった。アンリエットはアナトールと結婚した。そしてある日曜日‥‥」の字幕。アンリは1人で船をこぎ、娘との思い出の場所を訪れる。するとそこには、昼寝をしているアナトールとアンリエットがいた。アンリはよくここに来ると言い、アンリエットもよくここのことを思い出すと言う。昼寝から覚めたアナトールがアンリエットを呼び、目を潤ませたアンリエットはアナトールのもとへ戻って行く。アンリエットが舟を漕ぎ、アナトールとともに川を下って行く。そしてカメラが、残されたアンリの舟から川面へパンして、映画は終わる。

 ジャン・ルノワールの最高作と言う人もいるぐらい、素晴らしい作品。最初の字幕で述べられているように、未完のフィルムをヌーヴェル・ヴァーグのプロデューサーとして有名なピエール・ブロンベルジェが再構成し、この作品が誕生しました。
 有名なブランコのシーン(山田宏一氏は『カメラが発情している』と絶賛しました)はもとより、自然描写の美しさ、哲学者ジョルジュ・バタイユの妻であり、主演のアンリエットを演じているシルヴィア・バタイユのういういしさ、そして人生の楽しさ、悲しさ。たった41分の映画の中にあまりに多くの要素が写し出されています。まだ見てない方は必見です。