gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

瀬尾まいこ『見えない誰かと』

2008-04-20 16:01:23 | ノンジャンル
 瀬尾まいこさんの'06年のエッセイ「見えない誰かと」を読みました。モバイル連載「誰かとつながる、それは幸せなことだ」('04.10~'05.6)に加筆訂正をし、まとめたものです。内容はこれまで著者が出会った素晴らしい人たちのこと、うれしかったことなど、著者の幸せな人生を形作ってきたものに関して一つ一つ書いたものです。
 いくつか例を出すと、
・自ら収穫祭での仮装を楽しみ、卒業式では生徒たちの合唱があまりに素晴らしかったので、もう一度歌ってほしいと頼んだ、素直に素敵な気持ちを伝えていた、大学を出て2校目に働いた農業高校のW校長先生。
・思っていることをストレートに言うにもかかわらず皆から愛されていたK校長先生が、教員採用試験の模擬練習をしてくれた時、「結局、どんな質問をされても、生徒のことが好きでたまらないんです。生徒のためなら何でもしますって言ったらええんや」と単純明快に大事なことを言い、それを平然と通して生きている、世のあくたを身につけてないK校長先生。
・正職員として最初に勤務したK中学校の校長先生で、200人以上の生徒の名前、その保護者の顔もちゃんと分かり、生徒のことを一番に考え、一番に動くのですが、生徒たちにちょっかいを出すのに飽き足らず、私にもしょっちゅういたずら(いじめ?)をしていた校長先生。
・宮津の小学校で初めて担任を持ったが、それがたった8人のクラスで、保護者の存在に戦々兢々としていたが、子供以上に保護者の仲が良く助かったこと。
・写真を撮ってもらったお礼に自作のマンガをくれた高校生(その時のマンガはクリアシートに入れて宝物として保管してある)
・4年間続けたケーキ屋のアルバイトで仲の良かった、おおらかで優しいIさんと、とても元気なNさんに成人式にかわいい籠につめられたアレンジフラワーをもらったこと。

 このような幸せな出会い、出来事が次々と出て来て、やはりこういう幸福な人生を歩んでいる人だから、人の心を暖かくしてくれる小説が書けるのかなあ、と思ったりしました。
 現役の先生をやりながら、小説も書き続ける瀬尾まいこさん、今後も目が話せません。
 なお、この本の詳細に関しては、「Favorite Novels」の「瀬尾まいこ」のコーナーに載せておきましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

京都議定書の目標、イギリスは余裕!

2008-04-19 15:50:46 | ノンジャンル
 JAF Mate の5月号に「京都議定書の目標、イギリスは余裕」という見出しの記事が載っていました。
 記事を引用すると「イギリスの2006年の温室効果ガス排出量(うち85%がCO2)が、京都議定書の基準年である1990年に比べて16.4%減少していることが分かった。同国の目標は12.5%なので、まさに余裕の成果である。
 また2006年のイギリスは2.9%の経済成長を達成しているが、温室効果ガスの排出量は2005年に比べても0.5%減少。日本や米国では、温暖化対策は経済に悪い影響を与えるという考え方が根強いが、両者の関係を断ち切れることも実証した。」とのことです。
 なぜイギリスのこんな奇跡のようなことができるのか? イギリスは民生部門が減少に大きく貢献しているそうです。一方、日本は民生部門が大幅に増加。運輸部門とともに大きな課題だそうです。イギリスでどういった具体策をしているのか、どういったライフスタイルをとっているのか、ぜひ伺いたいものです。イギリスの市民の温暖化ガスを出さない暮らしの特集を新聞でやるとかしてほしいし、そうしたことを扱った本が日本でベストセラーになったりしないものでしょうか?
 そしてこの記事が載っていたページに、太陽電池で世界トップシェアを持つシャープが、太陽電池の大増産を計画中で、実現すれば、この量産で発電コストを半分、一般家庭の電力料金とほぼ同じにすることになると書いてありました。これも期待大です。

北尾トロ『彼女たちの愛し方』

2008-04-18 18:30:22 | ノンジャンル
 北尾トロさんの'97年の作品「彼女たちの愛し方」を読みました。
 レズビアンの人たち、バイセクシュアル(男性女性両方が恋愛の対象になる人)たちにインタビューと写真撮影(時にはヌード)を行い、彼女たちの生活ぶり、考え方を探り出すという企画で生まれた本です。
 胸に秘めていたエネルギーが、友人の自殺、好きな女性への告白ができたことを通じて、一気に噴き出し、行動的になった女性。彼女は男と寝る時には全然気持ちよくないので濡れないが、女性と寝る時には濡れるし気持ちいいと言います。そして自分に正直で、まじめに生きているのが一番だと言います。
 一般にレズの人は安心して飲める店が少なく、新宿2丁目に10件ほどあるだけなのだそうで、レズを見下す世間の偏見は激しいので、それに対抗するには強く、明るく生きようと思う人が増えている、という女性。
 レズの子の多くが始めは自分は異常なのだと思い、隠そうとしますが、同性の恋人ができて喜びを感じることで、偏見から逃れて行くケースも多いとのこと。
 バイセクシュアルの女性は、ストレート(男性が好きな女性、女性が好きな男性)にも自分たちのことを理解してほしいし、もし理解できなければそのことを恥じてほしい、とまで言います。つまり世界の多様性を認めようとしない人はそれだけ偏狭な世界に自分が生きていることを認識してほしいということです。
 一番大切なのは友情と愛情。人が人をすきになって、それがたまたま男だったり女だったりするのは自然だし、愛し方もいろいろあって当然。セックスという行為に特にこだわらず、男女にもとらわれず、相手を一個の人間として見ることが大事なのだ、と彼らは主張します。従って、そこには様々なカップルが誕生し、ハッピーな生活を送ることになります。

 この本を読んで感じたことは、レズビアンやバイセクシュアルな人というのは、自分に素直に生きる勇気を持つことによって、とても人生を肯定的に捕え、エンジョイしているということです。そして自分に素直になることにより、自尊心が生まれ、それがまた自分という人間を自分が受け入れるという、いい循環ができているということです。これを読んで、男女の関係ではうまくいかない人は同性とつきあってみるというのも一つの選択肢だと思いました。日本ではまだ同性同志の結婚が認められないなど、法整備が遅れていますが、早くこうした人たちが普通に生活できる環境になってほしいと思いました。

昨年の自殺者数 3万人超す勢い

2008-04-17 15:57:59 | ノンジャンル
 4月12日の朝日新聞の朝刊に「昨年の自殺者数 3万人超す勢い」という見出しの記事が載っていました。
 記事を引用すると「内角府は11日、人口動態統計月報をもとにした昨年1~11月の自殺者数が2万8542人で、前年同期より1228人増えたと発表した。通年では2年ぶりに3万人を超す勢いだ。都道府県別にみると、前年同期に比べ、東京都が331人増えて2605人(前年同期比14.6%増)、大阪府が270人増の2044人(同15.2%増)、神奈川県が173人増加の1683人(同11.5%)など大都市部での増加が目立つ。
 一方、06年まで12年続けて自殺率が全国一の秋田県は、減少数が全国トップの60人で397人(同13.1%減)になった。人口10万人あたりの自殺率は35.4で依然として1位だが、前年同期の40.3から大幅に改善している。」とのことです。
 自殺が年間3万人という数字は実はすごい数字で、1日に約82人もの人が自殺していることになります。以前にも書いたと思いますが、自殺未遂を2回している私が感じるに、自殺というのは本当に悲惨な死であって、死ぬ本人の苦しみは当たり前ですが、自殺した人の家族が受けるダメージというのもものすごいものがあります。自殺は絶対にさせないように、周囲で守らなければいけない、と思います。
 自殺は孤独によってもたらされる、という社会学的統計が社会学の父デュルケムによって出されていますが、経済的な理由から孤独に追いやられる人が増えていることも考えられます。高齢者健康保険の導入で国民の負担がますます増えて行く中、独居のお年寄りの自殺が増えているということも聞きます。
 当時者も家族もひどい苦しみにあえぐ自殺。1人でも救えるように私もできることはしていきたいと思います。皆さんの周りにも孤独に苦しんでいる人がいらっしゃるようでしたら、是非声をかけてあげてください!

上橋菜穂子『闇の守り人』

2008-04-16 16:47:42 | ノンジャンル
 上橋菜穂子さんの'99年作品「闇の守り人」を読みました。
 カンバル王国の王の主治医の娘として産まれたバルサは、王様の息子ログサムの陰謀に父が巻き込まれたことにより、父の親友で国一番の武術の達人ジグロに連れられ、6才で国を出ます。その後、父は殺され、ログサムが王となり、ジグロが大事な国の宝物を盗んだという口実で、国の優れた武者であり、ジグロの親友でもある8人を次々にジグロのもとへ派遣しますが、皆ジグロに惨殺されます。そうした修羅場を見て育ったバルサは、ジグロから1人でも生きていけるように武術を習い、優秀な武術家になりますが、身分を隠すため用心棒になります。そしてジグロもログサムも死に、バルサは自分の中にあるわだかまりを消すために故郷のカンバル王国を訪ね、そこでジグロの名誉を回復させるとともに、ジグロの弟のユグロが企んでいた陰謀を多くの人の協力を得て潰し、晴れ晴れとしたバルサがまた今まで住んでいた国に戻るところで物語は終わります。

 物語はバルサがカンバル王国を訪れるところから始まり、貧しいカンバル国が地下に住む〈山の王〉から20年に一度青光石という闇の中でも光る貴重な石をくれることで民が飢えずに済んでいる、ということを背景に、ユグロの非情な企みに、バルサに関わりのある人々が一団となって戦いを挑むという図式で物語が進んでいきます。
 これは、'96年の「精霊の守り人」から始まった「守り人」シリーズの一編ですが、この作品が一番完成度が高いと思いました。今回は主人公がバルサ1人に絞られ、彼女が自分の中に未解決で残っている様々な感情にけじめをつけるため、故郷のカンバル王国に戻り、そこでまた新たな陰謀に巻き込まれ、解決に力を貸すという内容です。
 成功の理由の第一はストーリーのすべてがバルサを中心に回っている事。これによって非情にストーリーも分かりやすくなり、感情移入するのも容易くなりました。
 成功の理由の第点は、これは他の作品でもそうですが、多彩な登場人物です。若者から老人まで、男から女まで、人間以外の生き物もたくさん出て来ます。それらが皆バルサとの関係を明らかにして登場し、活躍することによって、よりキャラクターが輝きを増しています。
 成功の理由の第三は、徹底的に悪い人物を敵として設定したこと。しかも、そんな悪党でも殺されたりしないこと。このシリーズで殺しがないのはこの本が初めてではないでしょうか?(過去に行われた殺人は数しれず出て来ますが)
 とにかく、今まで読んだ「守り人」シリーズの中では一番面白く、また一番感動しました。まだ読んでない方には、ぜひともオススメです。