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“おごれるものは久しからず”――政治の世界でも決して例外ではないでしょう。

2015-10-04 | しんぶん赤旗

戦争法成立でおごり高ぶる自民執行部

「嵐過ぎ去れば」と世論をみくびる

 

 

 戦争法成立以降、同法の廃止を求める国民の世論をみくびり、おごり高ぶる自民党執行部の姿勢が早速あらわになっています。

役職停止を軽減

 同党の若手議員らの勉強会「文化芸術懇話会」(6月)で戦争法案に批判的な報道について「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」 「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などの暴言が出た問題で、同懇話会代表としての責任を問われた木原稔青年局長(当時)が役職停止1年間の処分 を受けました。ところが谷垣禎一幹事長は2日の党紀委員会で、木原氏は「反省している」などとして、処分を3カ月の役職停止に軽減すると報告しました。処 分決定(6月27日)からすでに3カ月が経過しており、事実上、処分は即日解除されたことになります。

 処分が戦争法案審議への影響を懸念して下されたことは明らかですが、戦争法成立を受けて早速処分を解除したやり方は、言論弾圧の重大性を軽視し、依然多くの世論調査で過半数を占める戦争法反対の声を愚弄(ぐろう)するものです。

 同党の高村正彦副総裁の発言(2日)も看過できません。中国新聞3日付によれば、同氏は広島市で講演したさい、「嵐が過ぎ去って冷静になれば(戦争法の必要性を)わかっていただける」などと述べました。

 憲法の平和主義、立憲主義、民主主義という政治の土台を破壊し、国民の命を危険にさらす戦争法の強行成立への国民の怒りが一時の「嵐」だと思っているのか。

“殺し殺される”

 安倍内閣は、国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣されている自衛隊の任務に「駆けつけ警護」を追加しようとしていますが、同国では政府 軍と反政府軍の停戦合意が破綻し、住民を巻き込んだ武力紛争へと発展。武器使用を伴う「駆けつけ警護」に従事すれば、自衛官が他国の市民に発砲して殺した り、攻撃されて殺されたりする初の事態にもなりかねません。

 2日の東京・日比谷野外音楽堂での「安倍政権NO!☆大行進」集会と銀座へのデモ行進には2万人が参加しました。戦争法の危険性が明らかになれば なるほど、反対の「嵐」はいっそう強くなることは必至です。“おごれるものは久しからず”――政治の世界でも決して例外ではないでしょう。(林信誠)

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医療行為・葬儀行為も! 第一線救命隊員

2015-10-04 | ちょっと気になるマスコミ報道

自衛隊が戦争法具体化 米軍実戦例を検討

戦場での医療行為想定 衛生隊員に医師の代役

 

 

 戦争法の成立に合わせるかのように防衛省は、「有事」に最前線で自衛隊員が高度な医療行為を行える「第一線救命隊員」養成などの体制づくりを急い でいます。現行では医師しかできない医療行為を、救急救命士と准看護師の資格を併せもつ衛生科隊員ができるようにするものです。(西口友紀恵)


写真

防衛省「平成27年度予算の概要」から、「第一線での救護活動のイメージ」のイラスト

 4月に発足した、部外有識者で構成する「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」(注)で議論が行われてきました。第一線救護とは「銃弾が飛び交う状況で、戦闘防護をしながらの救護」(同省)をさしています。

 「現在は医師にしかできない医療行為を、最前線で衛生科隊員に認められないかが課題」(同)としました。

 9月16日の第4回検討会で報告書案の最終審議を行いました。同省によると検討会は、自衛隊に現在約760人いる救急救命士の資格をもつ隊員に必要な教育を行い、最前線での実施へ向け新たな資格を設け、省内の審査機関が資格を認定するしくみを提示。

 検討会では「議論は国内での有事を前提」としながら、引用された資料はもっぱら「対テロ戦争」の米兵の死因分析など、米軍が海外での実戦で得たデータでした。

 2001年の「9・11同時テロ」以後の「対テロ戦争」(01~11年、イラク、アフガン)で戦傷死した米兵4596人の87%が医療施設搬入前に前線で死亡、「うち25%が生存できた可能性があった。その死因の91%が出血、8%が気道閉塞」としています。

 米軍では、前線での衛生兵らによる処置を止血だけでなく、いくつもの外科的医療行為に広げ、収容前戦傷者の死亡率を約6ポイント減らせたとするデータを得て、10年から全部隊に教育を開始していると示しました。

 必要な緊急処置として挙げられたのは、のどを切開する気道確保や、外傷を受けた胸に針で穴を開け、空気を体外に出す胸腔穿刺(せんし)、出血性 ショック防止のための骨髄への点滴、鎮痛剤投与など。自衛隊でも同様の医療行為を想定、海外での戦闘行為を想定した戦争法具体化の動きです。


 (注)東京都立病院長を座長に、元自衛隊幹部、救急医療などの専門家、大学教授ら部外の9人で構成。第2回までの議事要旨と、資料は同省ホームページに掲載されています。


隊員死傷リスク増大するばかり

 佐久総合病院医師・色平哲郎さんの話 先の戦争では「甲軍医」「乙軍医」がいて、甲軍医は後方に、乙軍医は戦死の可能性が高い前線 でほとんど消耗品扱いだったといいます。今度の「第一線救護」も、同様のことを日本がまたやるという話で、まさに異常事態です。本来、憲法上やる必要のな かった軍事医学に予算をつけて養成し、自衛隊員を危険な現場に送る。国会審議で安倍政権は「自衛隊員のリスクは低くなる」と強調していましたが、「第一線 救護」の強化は、実は隊員の死傷リスクが増大するばかりであることを傍証してしまいました。

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