選挙公営ポスター代に関して、中部6県の候補者への独自調査が載った。
昨日の毎日新聞の一面と社会面のトップも、
この問題に関して、東海3県の自治体アンケート結果が記事になった。
記事を書いたのは、岐阜支局の中村かさねさん。
いずれも、新聞社の独自調査で、中日新聞も毎日新聞も、
上限の9割を超える請求が43,46パーセントと高い数字がでている。
この問題に取り組むマスコミの姿勢がたのもしい。
予想した通り、この選挙公営費の水増し請求の問題は、
岐阜県にとどまらず、全国に波及しそうだ。
お花の記事がつづいたので、ここ数日の選挙公営費関連の記事をまとめて紹介したい。
市議選ポスター費、上限の9割超請求46% 中部6県の立候補者
中日新聞 2007年7月4日 朝刊
選挙ポスターの製作費を公費で負担する選挙公営制度に絡み、今春の統一地方選で中部六県の四十七市議選に立候補した人のうち、半数近くの46・5%が公費負担上限額の九割以上を請求していたことが、中日新聞の集計で分かった。一方で、二割近くの人が上限の半額未満で済ませており、請求額に大きな開きがあった。
供託金を没収された人らを除き、ポスター製作費を選挙管理委員会に請求できた立候補者は千五百十八人。このうち、公費負担の上限額を請求したのは22・0%にあたる三百三十五人で、九割以上を請求した人を合わせると全体の五割近くに達した。半額から九割までの請求者が35・9%、半額未満は17・4%だった。
上限額を請求した人の割合が最も高かったのは長野県大町市で、二十二人のうち二十人が該当。福井県小浜市と岐阜県羽島市では上限額の九割以上を請求した人が九割を超えた。名古屋市では28・5%、岐阜市では7・8%が上限額を請求した。
一方、上限額の請求が一人もいない市も、愛知県岩倉市や岐阜県土岐市など七カ所あった。同県高山市では半額未満の請求者が七割強を占めた。
ポスター製作費の公費負担をめぐっては、六月に岐阜県山県市議選(二〇〇四年四月)での水増し請求が発覚。また、羽島市が上限額引き下げの準備を進めているほか、愛知県大府、知多両市は「実勢価格に合わない」として選挙前に引き下げた。長野県岡谷市は公営制度を設けていない。
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「上限下げを」「判断難しい」
ポスター費 選管、対応に戸惑い
岐阜県山県市で水増し請求が発覚した選挙ポスター製作費。今春の統一地方選の市議選候補者が手にした金額は、公費負担上限ぎりぎりから「請求なし」までと幅が広い。各市の選挙管理委員会からは「引き下げの検討が必要」との意見が出る一方、「妥当な金額がいくらかの判断は難しい」との戸惑いも漏れた。
「これくらいは必要だと言われしまうと言い返せない」。福井県敦賀市では「東京のスタジオまで写真撮影に行った」という候補者もおり、市選管は「請求額にばらつきが出るのは仕方ない」と説明する。
長野県内では、各市選管担当者の間で、請求額のばらつきが大きいことなどから「上限額を引き下げてもいいのでは・・・」との会話が交わされているという。
だが、立候補者の9割以上が上限額を請求した長野県大町市の選管担当者は「負担額は実態を反映した妥当な金額」と主張。ポスターを余分に印刷する候補者が多く、収支報告に自己負担額も報告しているため、常識的な判断としているという。
立候補者が定員より一人多かっただけの滋賀県彦根市選管は「引き下げると財力のない人の自由な立候補を妨げ、立候補者数の低調さに拍車をかけることになりかねない」と懸念の声が上がる。
岐阜県山県市の選挙ポスター制作費の水増し疑惑をめぐっては「制度上の問題であり、国になんとかしてほしい」と訴える選管担当者も。
愛知県内のある職員は「上限の引き下げより、実態と異なる請求が問題」と指摘。現実的には難しいとしながら「複数業者の見積もりを義務づけるなども考えられる」とはなした。
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監視システム必要
名城大学都市情報学部・昇秀樹教授(地方自治)の話
見方によっては、ポスター費用を上限額まで請求するのは候補者のやる気を見る基準になる。一方で、選管や市民が詳しい内容をチェックできないのは問題。水増し請求があった岐阜県山県市と同様のケースが、他でもあり得る。
幅広く立候補者を集めるには必要な制度だが、税金を使う以上、市民が継続的にチェックできるシステムづくりが必要だ。
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東海3県・市アンケート
上限の9割超 請求43%
候補者の選挙ポスター公費負担
内訳添付 義務づけは2市
(毎日一面トップ 2007.7.3)
選挙公営制度で自治体が公費負担するポスター製作費について、愛知、岐皐、三重の県と各市の選挙管理委員会に毎日新聞がアンケートしたところ、直近の議員選挙で公費負担限度額の9割以上を請求した候補者が、全体の4割以上にのぼることが分かった。一方、約2割の候補者が上限額の半分以下でポスターを製作しており、一部選管からは「余りにも差が大きすぎる」との声が上がっている。(社会面に関連記事)
アンケートによると、東海3県では現在、各県と計61市がポスター代の公費負担制度を導入。直近議員選挙の候補者数は計2427人で、うち2371人(97%)がポスター代を請求していた。公費負担の上限額はポスターの掲示場数などに応じて定められている。
このうち、請求割合について回答しなかった岐阜県多治市を除く候補者2341人のうち、43%に当たる1007人が上限額の9割以上を請求していた。7~9割の請求は21・6%の506人で、続いて▽5~7割=14・7%(345人)▽3~5割=11・4%(268人)▽3割未満=9・2%(215人)-だった。愛知県西尾市選管は「業者や枚数、内容で金額に羞があるのは当然だが、あまりにも差が大きすぎる」と指摘して
いる。
また請求手続きをみると、愛知県の田原、豊橋の2市だけが撮影代や企画費(デザイン代)、印刷費など製作費の内訳の添付を義務付けていた。他の自治体は、製作費総額と1枚当たりの単価、校数などを記載するだけでよかった。
田原市の場合、上限の9割以上を講求した候補者は1人もおらず、デザイン代など内訳の添付が無駄な請求を抑制していることがうかがえる。
東海3県の全70市のうち、郡上、飛騨市など岐阜県7市と三重県いなべ市の計8市はポスター製作費の公費負担制度を導入していない。また山県市はアンケート対象となる直近市議選(04年)では公費負担していたが、今年3月に制度を廃止した。 【中村かさね】
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公費ポスター製作 内訳書添付で削減
社会面トップ記事(毎日新聞 2007.7.3)
岐阜県山県市議選で発覚した公費負担されるポスター製作費の水増し請求。毎日新聞が実施した東海地方の自治体アンケートからは、製作費の内訳書添付の有無によって上限額に対する請求額の割合が大きく異なることが明らかになった。この問題に詳しい市民団体代表の寺町知正・山県市議は「監視機能が強化されることで、不正抑止につながっている」と分析している。【中村かさね】
選挙公営制度でポスター製作費を公費負担している自治体では、ポスター代を請求した候補者のうち、上限額の9割以上を請求した候補者が全体の約4割と最多だった。これに対し、請求書に▽写真撮影費▽企画費▽材料費▽印刷加工費-といった内訳書の添付を「選挙公営の手引き」で義務づけている愛知県田原市では、9割以上の請求者は皆撫で、上限碩の5~7割の請求にとどまった候補者が約8割と、明らかに内訳書添付の効果が表れた。
94年以降、ポスター製作費を公費負担してきた同県豊橋市では、ある市民から「明細の添付を求めれば、税金の無駄通いが減るのではないか」との声が上がったため、03年から同様に手引書で撮影代などの内訳書の添付を求めることになった。その結果、今年4月の同市議選では、最も多かったのは7~9割請求の14人(約27%)で、次いで9割以上と5~7割請求の13人(約25%)。同市選管は「内訳書の添付を求めなかった前々回市議選よりも、高額講求者は減少した」と話している。
岐阜県では今年3月、寺町氏らが03年の県議選で9割以上請求者に対し、9割を超過した金額を県に返還するよう求める住民監査請求を行った。請求は却下されたが、請求直後4月に行われた県議選では、満額請求者が前回選挙の20人から9人に半減。9削以上の請求者でみても、前回38人から、24人へと減少した。この結果、9割以上の請求者への交付額が全体に占める割合も、前回の7割から5割へと減った。
アンケートでは、公彗負担を定める条例の問題点、疑問、見直しの必要性を指摘する自治体も少なくなかった。愛知県岡崎市は「内訳書の添付を求めるべきだ」と改善の必要性を訴えた。「公費で全額負担する制度に問題がある」(同県春日井市)、「候補者の請求額に大きな開きがあったため、上限額や請求方法を今後検討したい」(同県北名古屋市)といった回答もあった。寺町氏は「手引きだけではなく、条例で内訳書の添付を義務づけ、法的拘束力を持たせるべきだ」と指摘している。
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選挙公営費を高額請求 犬山市議選、候補で3倍差
中日新聞 2007年7月1日
4月の愛知県犬山市議選で、各候補者から市選挙管理委員会に請求された選挙公営費(ポスター作製、自動車借入、運転手雇用、自動車燃料)の合計に3倍超の開きがあったことが分かった。毎日500キロ近くを走行したことに相当する高額なガソリン代を請求した候補もいた。
ポスター製作費の水増し疑惑など、選挙費用を公費で負担する選挙公営制度の悪用が問題になっているが、市民や識者からは費用の上限の決め方などに疑問の声が上がっている。
犬山市議選には定数22に対し36人が立候補した。中日新聞が入手した資料によると、全候補者のうち、選挙公営費の請求額の最高は60万円、最低は19万円と、その差は3倍を超えた。
ポスターは掲示場の数に当たる166枚の作製費用を市が負担し、上限は38万6780円と定められているが、満額を請求した候補が4人いた。最低は10万円で、この差も4倍近くになった。
ある候補から12万円で製作を請け負った印刷業者は「この金額なら、デザイン費を含めて十分に立派なポスターができる。腕のいいカメラマンに頼んでも、3万から5万円程度上乗せすればできる」と証言。「高額の候補はリーフレットやダイレクトメールの作製費も含めているのでは」と首をかしげる。
選挙カーの燃料費が4万7000円と突出した候補も。ガソリンが1リットル140円、1リットル当たり10キロ走れるとすると、7日間の選挙期間中、毎日480キロ走っていたことになり、犬山-大阪間を往復していた計算になる。
この候補者は「確かに燃費の悪い車だったが、ガソリンスタンドが市に請求したので、把握していなかった」としている。
市議選で同市が負担した選挙公営費は計約1600万円。不自然な公費負担に市内の自営業男性(55)は「金が業者から還流されていたり、ほかに流用されていたとしたら大問題。制度上の問題もあり、上限額を見直す必要もあるのでは」と話している。
選挙公営費 国や地方自治体が負担する選挙運動の費用。すべての候補者に選挙運動上、公正・公平な機会を与えることを目的とする制度。候補者のポスター製作費、選挙カーのレンタル料や燃料費などを、一定の上限額を定めて公費負担する。候補者は業者と有償契約を結び、選挙管理委員会に届け出なければならない。候補者が法定得票数を得れば、当落に関係なく適用される。(中日新聞)
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桑名市議選、ポスター代9倍の開き 公営制度は「上限高すぎる」
(中日新聞2007年6月29日)
選挙費用を公費負担する選挙公営制度で実施された昨年十一月の桑名市議選で、候補者から市選挙管理委員会に請求されたポスター製作費の一枚当たりの金額が、二百二十円から上限ぎりぎりの二千円まで、候補者により九倍の差があったことが分かった。現職市議からは「上限が高額すぎる」との指摘も出ている。
市議選では、二百二カ所のポスター掲示場が設けられ、ポスター製作費の上限は四十万五千十円。一枚当たりの基準限度額は二千五円だった。
市議選に立候補したのは四十六人。中日新聞が情報公開請求して入手した資料によると、公営制度を全く利用しなかった現職市議とポスター代を請求しなかった落選候補一人を除く四十四人のうち、二人が二千円を請求。最低の二百二十・五円は三人で、平均は九百七十三円だった。
二百二十・五円で請求した現職市議の一人は、写真撮影とデザインを別に頼んだため印刷費だけ請求した。
紙は色あせしにくく、裏はシールになっている選挙ポスター用を使用。「デザインや写真撮影代を合わせても七百円ほど。相場を調べ、最低価格で公費負担額を決めたほうがいいのでは」と話す。
一方、二千円をかけた現職市議の一人は「イラストの作成費やデザイン、撮影代すべて込みの値段。二千円以内には収めてほしいと相談したが、価格を積み上げていった結果」と高額になった理由を説明する。
また写真撮影代以外のデザイン料などを含め、一枚三百四十六円だった市議は「以前と違い、今はコンピューターで色直しなども簡単にできて安く仕上がるようになった。二千円というのは時代遅れ」と指摘。「千円ぐらいでいいのでは」と提案している。 (境田未緒)
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議員としての公費の使い方のチェックの甘さと地続きである。
議員の最大の仕事は「予算の議決=公金の再配分を意思決定すること。」
そう考えると、候補者が選挙で不正に公金を受け取る行為は
有権者としては許しがたい思いである。
字数に上限があるので、山県市議会の「その後」は、次の記事で紹介します。
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