柏崎刈羽原発を報道陣に公開した。
NHKニュースを見ていたら、映像を流していたので、
慌てて撮ったけれど、地割れしているところは間に合わなかった。
直下に断層が走っていた、ということだが、この点は前から指摘されていたことだ。
わたしは、反原発の運動に80年代からかかわっていたのだけど、
今回の地震で、日本の原発のずさんさと、
安全性に重大な疑義があることが明らかになったと思う。
以下は、関連の新聞記事です。
原発の地盤、1・6メートル陥没 柏崎刈羽を報道陣に公開
中日新聞 2007年7月22日 朝刊
東京電力は二十一日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の施設内を報道関係者に公開した。施設の公開は、地震後初めて。火災が発生した3号機の変圧器などの現場を歩いた。
地震発生直後、約二時間にわたって燃えた3号機の変圧器付近。今も油が燃えたにおいがかすかに漂う。変圧器自体は無事に見えるが、発電施設のあるタービン建屋とつながる送電ケーブルが二十センチほど沈下していた。担当者は「沈下でケーブルにショートが起き、変圧器の油に引火した可能性が高い」と説明した。
敷地内には、造成で出た残土を高さ五十五メートルに盛った丘陵地があり、地滑りを起こしていた。道路が至る所で大きく波打ち、舗装もヒビ割れていた。
6号機と7号機の中央操作室。制御棒がすべて挿入され、停止を示すランプがともり、「重故障」の表示が見えた。6号機では放射能を含む水が、「放射線がないこと」が前提の非管理区域に漏れ、さらに最後は海に流れた。漏れた場所にはピンク色のシートが敷かれ、立ち入り禁止の表示が掲げられていた。
今回公開されたのは、非管理区域だけだったが、東電の広報担当者は「発電所が健全であることを見てほしい」と繰り返した。岩盤の上に造られた原子炉建屋などは「想定外」(東電)の地震の力にもかかわらず、確かに大きな損傷は見つかっていない。
だが、周辺の地盤は分かっているだけで最大一・六メートルも陥没した。結果としてこの沈下が火災を引き起こし、消火活動さえままならなかったという現実と見通しの甘さを間近に見た。
同原発の技術部門の責任者の一人、川俣晋ユニット所長は「今後、設計にどう配慮するかなどを検討することになる」と話した。
(科学部・大島弘義)
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【社会】 黒焦げの変圧器から刺激臭 柏崎刈羽原発を公開
中日新聞 2007年7月21日 21時12分
どす黒く焦げた変圧器、落差1・6メートルの地盤沈下-。東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の内部を報道各社に公開した。東電側は「被害は原子炉に関係のない場所」と説明するが、敷地内を見渡すと、いたる所に地震のつめ跡が生々しく残っていた。
地震後、真っ黒な煙を上げて燃えた3号機の変圧器。近づくと、今も漏れ続ける油の刺激臭がつんと鼻を刺す。高さ約6メートルの変圧器の側面には、炎が激しく立ち上った焦げ跡が。傍らでは東電職員が「被害は一部。延焼は食い止めた」と説明した。
「これはひどい」。変圧器から約100メートル離れた軽油タンク周辺では報道陣から一斉に声が上がった。地割れが無数に走り、最も激しい場所では落差約1・6メートルもの地盤沈下。近くでは工事関係者が地割れに足を取られ、転倒しそうになっていた
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他の原発5基も変圧器損傷 油漏れも 柏崎刈羽
朝日新聞 2007年07月21日15時08分
新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発3号機の変圧器で火災が発生した問題で、他の原子炉5基の変圧器でも油漏れや土台がずれるなどのトラブルが相次いでいたことが明らかになった。地震による地盤沈下の影響で消火設備も損傷していることから消火能力は大幅に低下した状態で、一部の変圧器では油漏れが続いている。依然として余震の恐れもあり、火災の危険性が今も残っている。
各原子炉の主な変圧器被害
変圧器の内部は、電気を流す銅帯が通っており、絶縁のために大量の油が注入されている。県などによると、3号機の火災は、変圧器周辺の地盤が沈下し、銅帯と、本来直接触れることのない周りの金属とが接触したためショートし、変圧器内の絶縁油に引火して発生した可能性が高いという。
1号機では、変圧器が土台からずれたり、配線の接合部にずれがみられたりした。1、2、4、7号機では変圧器周辺に設置した油の流出を防ぐ堤が沈み込んだり傾いたりした。1、2、3、6号機は油漏れの改修措置が終わっていない。全7基の原子炉のうち、5号機以外で変圧器関連の異常が見つかっている。
東電によると、放射性物質にかかわらない被害計52件のうち、変圧器関連は12件。東電との安全協定に基づいて地震発生直後の17日に立ち入り調査した県は「3号機だけで火災が起きたのはたまたまだ」と指摘する。
変圧器で被害が相次いだ原因として、変圧器などの付帯設備は、国の指針で地下の安定した岩盤との固定を求められている原子炉の建屋より、基準が緩いことが挙げられる。
制御棒や原子炉格納容器が求められている耐震性は最も高い「ASクラス」だが、変圧器は最も低い「Cクラス」。東電も「所内のすべての変圧器は土の上に立っているだけ」といい、「変圧器やダクトなど周辺設備で被害が出ており、揺れに弱かったと感じている」と認める。
ASクラスは、その地域で発生する可能性のある最大級の地震や、マグニチュード6・5の直下型地震を想定してつくられている。Cクラスは、一般の建物と同じ建築基準法に基づいている。
東電によると、油が漏れた場合でも、周囲に空気が少ないなどの理由で直ちに火災につながるものではないとしている。
県によると、地盤沈下など地震の影響で、構内ほぼすべての消火設備が損傷を受けたという
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東電、新耐震指針後に海底断層調べず 柏崎刈羽原発
朝日新聞 2007年07月19日07時57分
東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)の耐震性再評価のために昨秋から今春にかけて実施した地質調査で、海底の断層については改めて調べておらず、結果的に新潟県中越沖地震を引き起こした断層を発見できずにいたことがわかった。昨秋の原発耐震指針の改定で、各電力会社は55基の既存原発すべてについて、新指針に基づく安全性評価を求められているが、「基礎となる調査がおざなりでは意味がない」との批判が出ている。
東電は同原発の耐震評価で、79、80、85年に海域調査をした。79年に原発から北西約19キロの沖合に長さ約7キロの海底断層を見つけたが、活断層ではないと判断し、設計時の耐震評価から外していた。
昨年9月に耐震指針が28年ぶりに改定されたのを受けて、経済産業省原子力安全・保安院は原発から半径30キロほどの範囲について、文献やトレンチ調査、物理探査などに基づく耐震再評価を各原発に求めた。
東電は昨年10月~今年4月、同原発周辺の地質再調査を実施。陸域では人工的な振動を起こして地下を調べるなどしたが、海底断層については他の研究機関のデータを考慮すれば十分として、改めて調査べなかった。
大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「柏崎刈羽原発のある地域は、見えない活断層が多い地域で、海域の調査も念入りにすべきだ。他原発の安全評価作業も大丈夫か見直してほしい」と批判する。
今回の地震の震源は原発の北約9キロの海底で、余震の分布から、地震を起こした断層は原発直下まで延びているとの指摘が相次いでいる。
これを受けて東電は18日、周辺海域の地質調査をすると発表した。79年に見つけていながら耐震設計の評価から外していた海底断層を含め、原発を中心に沿岸60キロ、沖合30キロまでを改めて調査するとしている。
海底も再調査せざるをえなくなった形の東電は「安全評価への反映は、どの断層が動いたのかはっきりしてから判断したい」と説明する。
保安院は「地質調査は安全評価の前提となるデータ。適切に実施してほしい」としている。
現行の地質調査は、旧耐震指針と同じ78年に作られた「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」に基づく。手引きは、国の原子力安全委員会の検討会で、旧指針とともに見直しの対象となったが積み残され、「最新の調査手法などが反映されていない」「国として、事業者に最低限必要な項目を示すものに改定すべきだ」などの意見が出ている。
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原発耐震性の危機/小手先の対応は許されない
(河北新報2007.7.22)
原子力発電所の地震への備えがこれほどずさんだったとは、がくぜんとしてしまう。
新潟県中越沖地震に見舞われた東京電力の柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)で、火災や放射性物質の放出など多くのトラブルが明らかになった。
原発の地震被害としては最悪のケースだが、そもそも地震を引き起こした断層が原発の真下まで延びていた可能性があるというのだから、危険極まりない。事実なら、地震による被害を防げという方が無理だろう。
深刻な被害をもたらした原因を根本的に解明するのが絶対に必要だし、今後の安全性が保証されない限り運転再開はあり得ない。どんな地質データを集め、断層の評価を行ったのかについても十分に説明する責任がある。
原発の耐震性が信頼できるのかどうかについては、以前から疑問が出されていた。建物は壊れなかったが、設計段階で想定した最大の揺れよりも実際の地震による揺れが大きくなるケースがあったためだ。
東北電力の女川原発では2005年の8.16宮城地震(マグニチュード=M=7.2)の際、「限界地震」を超える揺れが観測された。国内の原発では初めての事態だった。
原発建設に当たっては実際には起こりえないような地震を想定し、それでも壊れないように設計する。念には念を入れてということだが、計算した結果、一部の周期で限界地震の揺れを上回っていたことが判明した。
今年3月の能登半島地震(M6.9)でも、北陸電力の志賀原発で限界地震を超える揺れになっている。今回の地震で被害を受けた柏崎刈羽原発でも超えてしまった。
限界地震は「M6.5クラスの直下型地震」などが目安になっているが、最近はより大きな内陸直下型地震が相次いでいるし、中越沖地震も6.8に達している。想定した地震の規模が既に意味を失っていると言っていい。
原発の耐震指針は昨年改定され、それぞれの立地条件に合わせて想定地震を決める方式になった。電力各社は現在、新指針によって耐震性を再点検中だが、原発周辺の断層を漏れなく突き止め、その危険性を正確に評価できるかどうかが重要なポイントになる。
東電はもちろん、柏崎刈羽原発周辺の地質を徹底して調べ直さなければならない。自ら調査するのではなく、断層や防災の外部の専門家に委ねるべきだ。本当に原発直下に断層があり、近い将来にまた地震を起こす可能性があるようなら、かなり深刻な事態になる。
立地条件としては最悪と言ってよく、仮に大規模な耐震補強を行うにせよ、基本的な安全性に大きな不安を抱かれるのは当然だ。
原発の耐震性に対する国民の関心は高い。世界有数の地震国であれば当たり前のことだ。柏崎刈羽原発のような被害が現実になった以上、どこの原発であっても、中途半端な安全対策はもはや信用されない。
2007年07月22日日曜日
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新潟県中越沖地震で問題が続出している柏崎刈羽原子力発電所について、
市民グループが、昨日、「共同声明」を出しました。
「しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」も賛同団体に加わりました。
プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワークHP
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内閣総理大臣安倍晋三様
関係機関の皆様
全国民の皆様
2007年7月21日
共同声明;原子力関連施設の地震対策の抜本的再検討と対応が必要です!
世界最大規模の原発基地である、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所では、
この度の新潟県中越沖地震(7月16日)で、予想外の問題が続出しています。
現在7基ある原発は停止していますが、余震の脅威は去っていません。
今回の地震では、想定していなかった震源断層が明らかになり、また、地震
対策の前提としている基準を大きく超える揺れが原発にて記録されました。この
ため、原発の安全性が保証されなくなり、強い余震がある度に、原発で問題が
発生して原子力災害が起きるのではないかと、柏崎刈羽をはじめ中越地域など
の多くの人たちが不安な思いでいます。
地震対策の前提となる基準を設け、許可を出した国の責任は、重大です。
昨年3月に金沢地裁が耐震性の問題で、志賀原発の運転差止の判決を出し
ました。今回の地震で、図らずも判決の正しさが裏付けられることになりました。
原子力関連施設の設置許可を出した前提が、今回の地震で崩れたのですから、
日本のどこであれ想定外の震源断層による、想定以上の地震動が襲う恐れを
否定できません。
耐震強度を偽造していたマンションが壊されているのに、もっと、被害が甚大な
原発が今のままでよいのでしょうか?
以上、このままでは原発や再処理工場などが地震により大きく破壊され、放射
能が外部に大量に漏洩する原子力災害を引き起こす危険性が高いため、内閣
総理大臣はじめ関係機関に、「地震対策の抜本的再検討と対応」を要請します。
また、国民の皆様におかれましては原発の地震対策の問題に関心を持たれ、
私達の原子力災害を未然に防ぐ運動に賛同されるよう要望いたします。
呼びかけ団体
柏崎刈羽原発反対地元三団体
原発問題を考える柏崎刈羽地域連絡センター
原発問題を考える西山刈羽住民の会
プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク
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東京電力や原発推進派は「漏れた放射能はごく微量」と強調しているけど、
3号機での変圧器で火災が発生しても消火作業もできず、
他のすべての原子炉で放射能汚染された水が放出されたことは、
今回だけでもじゅうぶん、深刻で重大な事態だ。
ひとつ間違えば、メルトダウンをともなうチェルノブイリ原発事故
のような重大事故がおきても不思議ではなかった。
いのちより大切なものはないはずだ。
原発なしでくらしたい。
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