必死でメモを取ったのですが、
記事をタイプしているうちに、毎日新聞の速報に全文がアップされました。
こちらのほうが正確のようなので、紹介します。
安倍首相辞任:緊急会見で話した内容の全文掲載
安倍晋三首相は12日午後2時から首相官邸で緊急に記者会見し、辞意を表明した。安倍首相は会見の中で、民主党の小沢一郎代表に党首会談を断られたことが辞意を固めたきっかけのひとつであることを明らかにした。安倍首相が話した内容は、以下の通り。
◇ ◇ ◇
本日、総理の職を辞するべきと決意をいたしました。
7月の29日、参議院の選挙が、結果が出たわけですが、大変厳しい結果でございました。しかし厳しい結果を受けて、この改革を止めてはならない、また戦後レジームからの脱却、その方向性を変えてはならないとの決意で続投を決意をしたわけであります。今日まで全力で取り組んできたところであります。
そしてまた先般、シドニーにおきまして、テロとの戦い、国際社会から期待されているこの活動を、そして高い評価をされているこの活動を中断することがあってはならない、なんとしても継続をしていかなければならないと、このように申しあげました。国際社会への貢献、これは私が申し上げている、主張する外交の中核でございます。この政策は何としてもやり遂げていく責任が私にはある、この思いの中で、私は、中断しないために全力を尽くしていく、職を賭していく、というお話をいたしました。そして、私は、職に決してしがみつくものでもない、と申し上げたわけであります。そしてそのためには、あらゆる努力をしなければいけない。環境づくりについても、努力をしなければいけない、一身を投げ打つ覚悟で、全力で努力すべきだと考えてまいりました。
本日、小沢党首に党首会談を申し入れ、私の率直な思いと考えを伝えようと。残念ながら、党首会談については実質的に断られてしまったわけであります。先般、小沢代表は民意を受けていないと、このような批判もしたわけでございますが、大変残念でございました。今後、このテロとの戦いを継続させる上において、私はどうすべきか、むしろこれは局面を転換しなければならない。新たな総理のもとで、テロとの戦いを継続をしていく、それを目指すべきではないだろうか。きたる国連総会にも、新しい総理が行くことが、むしろ局面を変えていくためにはいいのではないか。
また、改革を進めていく、その決意で続投し、そして内閣改造を行ったわけでございますが、今の状況でなかなか、国民の支持、信頼の上において力強く政策を前に進めていくことは困難な状況であると。ここは自らがけじめをつけることによって、局面を打開をしなければいけない。そう判断するに至ったわけでございます。
先ほど、党の五役に対しまして私の考え、決意をお伝えをいたしました。そしてこのうえは、政治の空白を生まないように、なるべく早く次の総裁を決めてもらいたい、本日からその作業に入ってもらいたいと指示をいたしました。私としましても、私自身の決断が先に伸びることによってですね、今国会において、困難が大きくなると。その判断から、決断はなるべく早く行わなければならないと、そう判断したところでございます。
私からは以上であります。
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安倍首相辞任:国民の信頼得られなかった……一問一答全文
安倍晋三首相が12日、首相官邸で行った記者会見の一問一答は以下の通り。
( )内はみどりのメモ。
(読売)--参院選直後ではなく、なぜ今、辞任を決断したのか。
参院選は厳しい結果でありました。そこで反省すべきはしながら、今進めている改革を止めてはならないと思い、私が進めている国づくりは止めてはならないと思い、所信を述べさせて頂きました。しかし、テロとの戦いを継続していくことは極めて重要なことであり、それは私の約束でもありますし、国際公約でもあります。それを果たしていくためには、むしろ私が職を辞することによって、局面を転換した方が、その方がむしろいいだろうと判断致しました。
(読売)--辞めることで、どのような自衛隊活動につながるのか。
私がなんとしても改革を進めなくてはいけないとの思いで全力を尽くしてまいりましたが、残念ながら私が総理であることによって、野党党首との話し合いも難しい状況が生まれています。そして、党において、今の状況においては新しいエネルギーを生み出して、そのエネルギーで状況を打開し、新しいリーダーの下で状況を打開し、新法を新しいリーダーの下で推し進めていくことの方がいいのではないかと考えました。
(共同)--公約を途中で投げ出すのは無責任では。
もちろん、私はそのために全力を尽くさなければいけないと考えておりました。しかし、むしろ公約を果たしていくうえで、どういう環境を作ることが必要かと考えたとき、私が職を辞することでその環境ができるのではないか。私が職に就いていることで、成立することにマイナスになると考えました。
(NHK)--後継の総裁についてはどう考えているか。
今日はまだ、そうした決断をしたばかりでございます。まだ、日程的なものを決めているわけではございませんが、なるべく早い段階で、後継の総裁を決めてもらいたいと思っています。後継の総裁については、私がとやかく申し上げることは適切ではないと思いますが、いずれにしても新しいリーダーとして与党を率いて、力強く政策を前に進めていっていただきたいと思います。
(産経)--総理の辞任で、戦後レジームからの脱却などの政策が停滞してしまうとは考えなかったのか。
続投するに当たって、新しい国づくりを進めていかなければいけない。その中には、戦後の原点にさかのぼって見直しをしてという、戦後レジームからの脱却も果たしていかなければいけないという思いでございます。今まで、教育基本法の改正や、公務員制度の改革等々の、いわば戦後の出来上がった仕組みを変えていく、そういう挑戦をしてまいりましたし、成果も上げてきたと思います。しかし、現在の状況においては、新たな局面の打開を図って、新たなエネルギーで前に進めていかなければ、そうした政策の実践も難しいという状況であろうと判断しましたが、その方向で是非、進んでいってもらいたいと思います。
(朝日)--辞任の理由についてテロとの戦いを第一に挙げたが、総理の職責は外交面ではなく、国民生活を背負っている面がある。そういう状況で、月曜日(10日)に続投を決意する所信表明をして、各党の質問を受ける直前に総理の職を辞するのは、国民から見ると逃げていると思われても仕方ないのでは。どのように責任をお考えか。
総理の職責は大変、重たいものがあると考えています。そして私も所信において思うところを述べたこところであります。しかし、述べたことを実行していく責任が私にはあるわけではございますが、なかなか困難な状況です。この中において、それを果たしていくことが出来ないのであれば、それは政治的な困難を最小限にする、という観点からなるべく早く判断すべきだという決断に至りました。
(日経)--政策を前に進めにくい状況は参院選で大敗した後も変わっていないと思うが、なぜ所信表明後に辞意を表明する決断をしたのか最大の理由と、最終的に決断したタイミングはいつか。
総理としては常に職責を果たしていかなければいけないということは、常に考えているわけでございます。そして私が、ここは職を辞することによって、局面を変えていかなければいけないと判断いたしましたのはですね、今日、残念ながら党首会談も実現もしないという状況の中で、私の約束をしたことが出来ない、むしろ、私が残ることが障害になっていると、こう判断したからです。
--政策を実行するのに非常に困難な状況になったというが、困難な状況に陥ってしまった原因などについて、どう分析しているか。そこに至らしめた自らの責任について、反省点など伺いたい。
もちろん、反省点は多々ございます。前の内閣、また新しい内閣においてですね、安倍内閣として国民の信頼を得ることが出来なかった。これは私の責任であろうと思います。それを原動力に政策を前に進めていくということが残念ながら出来なかったということです。
--党首会談を理由に挙げたが、今後国会の流れの中で、党首会談が出来るという見通しはなかったのか。また、党首が代われば党首会談が出来るという見通しなのか。
私が民意を受けていないということが理由の一つとして挙がっているわけでございます。この選挙結果は、やはり大きなものがございます。もちろん、そのうえに立って決意をしたわけでございますが、新しい自民党のリーダーとの間においてですね、率直な党首同士の話し合いがなされると、私はそのように期待しています。
(TBS)--総理の強調するテロとの戦いを継続するためには衆議院の再議決をもってすれば党首会談がなくても突破できたという見立てが我々の間では主流だと思うが、それでも党首会談が出来ないとなると、多くの支持があって総理になったのに、説明としては不十分ではないか。本当の心境、あるいは何がこの決断に至ったのかを、総理として最後にぜひ、伺いたい。
私は、いわばこのテロとの戦いにおいては、中断されてはならないと考えて、先般シドニーで職を賭すという話をしたわけでございます。新法で継続を図っていくという考え方もあるわけでございますが、日程的な関係で、新法ですと、一時的に中断という可能性は高いわけでございまして、そうであるならば、事実上そういう状況が出てくるわけでございまして、そう判断せざるを得ないと考えました。そこで、その時に判断するよりも、むしろ今、判断した方が、党が新たにスタートするうえにおいては、むしろその方がいいだろうと。国民のみなさまに対しましてもですね、混乱を招かないうえにおいては、なるべく早い判断の方が良かったと、決断がいいだろうというふうに判断いたしました。
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安倍首相辞任:「無責任」与野党あ然
「国家の危機だ」--ポスト安倍で混乱も
安倍晋三首相が与党幹部に辞任の意向を伝えた。所信表明演説を終え、代表質問直前の辞意表明であり、与野党ともに「全く無責任だ」との強い批判が上がっている。
野党側からは「この段階で辞めるのは無責任だ。辞めるのならもっと早く辞めるべきだ」(鳩山由紀夫民主党幹事長)、「放り出すのは無責任だ。参院選直後にやめるべきだ」(福島瑞穂・社民党党首)の声が出ている。
また自民党の閣僚経験者は「続投自体に問題があった。政権は完全に行き詰まってしまい、政権を投げ出したとしかいいようがない」と語った。
また中堅議員は「ポスト安倍で混乱するだろう。国政への影響ははかりしれない。国家の危機的な状況だ」と首相を批判している。
自民党は今後「ポスト安倍」選びで混乱することも予想される。
このためインド洋での海上自衛隊の活動の根拠になるテロ対策特別措置法や新法などの審議について大きな影響が出ることは必至だ。
首相は7月29日の参院選で惨敗したにもかかわらず、続投を表明した。続投に関しては与党内からも批判を浴びたが、参院選は政権選択選挙ではなく、安倍政治そのものが否定されたわけではないという理由で退陣論を突っぱねた。
安倍首相は内閣改造では派閥の長を中心にしたベテラン閣僚を起用し、求心力の回復を図った。いったんは支持率が回復したが遠藤武彦前農相の辞任で首相の任命責任が問われ批判を浴びていた。この時点で首相の命運は尽きていたという指摘もある。
民主党の中井洽常任幹事会議長は「所信表明をやって、代表質問の直前に辞めるのは非常識だ」と批判。また民主党の安住淳国対委員長代理は「驚いた。何を考えているのか分からない」と戸惑いを見せていた。
民主党の福山哲郎参院政審会長は「驚いている。あの続投宣言は何だったのか。安倍内閣は何もしないで終わった。参院の首班指名では次の自民党総裁は指名されないだろう」と語った。
国民新党の亀井静香代表代行は会見で「あり得ないことだ。自民党の責任だ。自民党は解党すべきだ」と述べた。
◇海外通信社も速報
安倍首相辞任の一報は、AP通信やロイター通信など海外の通信各社も速報した。ロイターは「安倍首相は、テロ対策特別措置法の期限延長に失敗すれば辞任すると発言していた」などと報じた。市場関係者の話として「政治の空白化に懸念を示している」と伝えた。
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◇安倍晋三首相就任以来の主な動き
06年 9月 自民党総裁選で安倍晋三氏を選出
10月 安倍首相が訪中、訪韓し首脳会談
北朝鮮が地下核実験の実施を発表
11月 米中間選挙で民主党が上下院とも制す
12月 自民党が郵政造反議員11人の復党を決定
改正教育基本法が成立
防衛庁の省昇格関連法成立(翌1月昇格)
佐田玄一郎行革担当相が事務所費問題で辞任
07年 1月 角田義一参院副議長が政治資金問題で辞任
柳沢伯夫厚労相が「女性は産む機械」発言
2月 北朝鮮問題の6カ国協議で合意文書採択
日銀が追加利上げ
3月 北海道夕張市が財政再建団体に移行
4月 政府の地方分権改革推進委員会が発足
温家宝中国首相が来日
安倍首相が米国、中東を歴訪し首脳会談
5月 ブレア英首相が退陣表明
改憲手続きを定めた国民投票法が成立
松岡利勝農相が自殺。農相に赤城徳彦氏
6月 青森県に船で漂着した脱北者4人を保護
年金記録漏れ問題で政府が1年間での照合完了方針を示す
教育関連3法など成立
久間章生防衛相が広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」と発言
7月 久間防衛相が辞任し後任に小池百合子氏
政府が年金記録漏れ問題で追加対策を発表
赤城農相の事務所費問題が浮上
参院選(12日公示、29日投開票)
8月 安倍首相が赤城農相を更迭
改造内閣発足
毎日新聞 2007年9月12日 東京夕刊
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安倍首相辞任:識者ら「当然」「遅すぎた」 擁護の声、少なく
安倍晋三首相が突然の辞意を自民党幹部に伝えたことに、識者には「当然だ」との受け止め方が多く、擁護する声は少ない。
◇居座りは無理--政治評論家・森田実氏の話
来るべきものが来ただけで当然と受け止めている。参院選で国民から事実上の不信任を突きつけられ、国民が信任しない政権が「衆院じゃないから」という理屈で居座るのはもともと無理だった。どんな独裁政権でも国民の信任が得られないと長持ちしない。衆院解散のエネルギーは首相自身にも政権にも残っていないことが、首相の最近の表情から読み取れた。臨時国会前から既に安倍首相には辞めるという選択肢しか残っておらず、後は時期の問題だと考えていたので全く驚きはない。
◇何もしてない0点--評論家、室伏哲郎さんの話
辞任は当然だ。むしろ遅すぎるくらいだ。7月の参院選で、安倍晋三首相は「私と民主党の小沢一郎代表のどちらを首相に選ぶのか」と国民に迫った。国民は選挙結果を通じてその意思を示したのに、首相は前言を翻し、何もなかったかのように居座り続けた。安倍政権は実質的に何もしていない。0点だ。後継に選んだ小泉純一郎前首相の責任も大きい。
◇根拠なかった続投--評論家の樋口恵子さんの話
辞意表明は遅きに失した。安倍さんは参院選で自民党が大敗しても、「基本的な政策は支持されている」と言っていたが、何の根拠もなかった。よくぞここまで居座ったという感じだ。安倍さんは、国民が何を望んでいるのかが理解できなかったのが致命的だ。国民が腹をすかせているのに、それを理解せず、国を愛することを強いた。次の首相には聞き上手な人がなるべきだ。
◇逆風が多すぎた--漫画家、弘兼憲史さんの話
国会の期間中で本当にびっくりした。自民党が崩壊する、あるいは次の選挙で勝てないと自ら考えたのか、自民党の長老から説得されたのか。いずれにしろ断腸の思いで決断したのだろう。この1年間で、憲法改正への道筋をつけたことは評価したい。ただ、消えた年金の問題や政治とカネなど、あまりにも自分と関係のないところで逆風が吹いた。
◇家族会沈うつ
安倍政権の支持率が低迷する中、支持を続けてきた拉致被害者家族も、突然の辞意にショックを隠せなかった。北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄副代表(69)は、午後1時前にニュースで「辞意」を知り「えっ、まさか」と思った。「解決に向けてこれからという時に早すぎる。安倍首相が一番熱心に取り組んでくれただけに、気が暗くなる」と沈うつな表情。増元照明事務局長(51)も「ショックが大きすぎてコメントできない」と言葉少なだった。
毎日新聞 2007年9月12日 東京夕刊
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