みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

希望社会への提言(4)(5)(6)(7 )朝日新聞社説

2007-12-09 08:37:01 | ほん/新聞/ニュース
朝日新聞社説「希望社会への提言」、
前に(1)から(3)までアップしたので、
11月19日から、今日までの(4)(5)(6)(7 )を一気に紹介します。

希望社会への提言(7)―消費増税なしに安心は買えぬ
・守るべき福祉水準と負担増をセットで示す
・必需品は軽減税率、コメなどは非課税に

    ◇
 現行水準の福祉サービスを守り抜く「安心勘定」と、血のにじむ歳出削減を担当する「我慢勘定」とに財政の仕組みを分けて、高齢化社会に立ち向かおう。前回はそんな提案をした。
 繰り返しになるが、福祉水準を維持していくと、国と地方を合わせた財政負担が、25年度には06年度より20兆円前後も増えるだろうと大まかに試算できる。
 一方の「我慢勘定」でも、歳出削減で借金漬けの財政を立て直し、国債がこれ以上増えないようにするのは難事業だ。できるだけ経済の成長力を高めて税収を増やしても、福祉の「安心勘定」へ回せる財源は多くを期待できまい。
 将来を見通せば、増税による負担増は避けられない。そう覚悟を決め、あえて大胆に発想を転換しないことには、社会保障の基盤を固めて希望社会への道筋を描いていくことはできないだろう。
 では、その負担増をどの税金でおこなうか。それはやはり消費税を中心にせざるを得ない、と私たちは考える。
 消費税は国民が広く負担する税金だ。国民みんなが互いの生活を支え合う社会保障の財源に適している。
 また、少子高齢化が進むにつれ、所得を稼ぐ現役世代は減っていくので、現役にばかり負担を負わせるわけにはいかない。一方で、所得の少ない高齢者のなかにも、現役時代の蓄積で豊かな層がある。こうした人々にも、消費する金額に応じて福祉の財源を負担してもらうことは理にかなっている。
 所得税や法人税の税収が景気によって大きく変動するのにくらべ、消費税収は安定しているため、福祉の財源に適しているともいわれている。
 安心の財源は消費税を中心にと考えるのは、以上の理由からだ。
 ただし、消費税には大きな副作用があることを忘れてはならない。貧しい層ほど負担の度合いが重くなる「逆進性」である。その欠点を抑えるために、以下のような対策をとる必要があろう。
 まず、消費税に軽減税率を導入して、日常の生活必需品は5%のままに据え置く。国民の理解を得るためには、コメや小麦粉といったとりわけ基幹的な食料は、思い切って非課税にすることも考えていい。
 次に、消費税を引き上げるだけではなく、直接税も強化していく。各種の税金のバランスをよくすることが、税負担を公平にするには大切だからだ。
 所得税はこの20年ほど最高税率が何度も引き下げられ、所得が多くなるにつれ負担が重くなる累進の度合いがなだらかになった。課税所得を小さくする控除も拡大・新設された結果、91年度に約27兆円あった所得税収が、06年度はほぼ半分の14.1兆円へ減っている。
 いま問題の格差を是正する働きも、所得税にはある。国と地方を合わせた最高税率50%はすでに先進国のトップ水準にあり、強化といっても限度があるが、強化で得た財源は、消費税負担が重い貧しい層への対策に使うこともできる。
 同様に、バブルの時代に課税を緩和した相続税も見直して、格差が次の世代へ過度に引き継がれて社会が階層化しないようにすることが大切だ。
 これらの増税分は、すべて福祉の「安心勘定」へ繰り入れる。消費税率の水準は他の増税との兼ね合いで決まってくるが、中福祉中負担の欧州諸国は、仏19.6%、独19%、英17.5%と、2けた台の後半まで上げてきた。
 初めに書いた福祉の財政需要増20兆円は、消費税にして6~7%にあたる。いずれは消費税が10%台になることを覚悟するしかあるまい。
 増税するときは、景気の腰を折らないかいつも心配になる。かつて日本経団連は「消費税を毎年1%ずつ上げる」というシミュレーションを示した。
 このように小刻みにして、例えば「2年に1%ずつ」とあらかじめ示せば、事業者が計画的に対応でき、経済への影響も抑えられるのではなかろうか。
 この秋、自民党と民主党の党首が「大連立」を話し合った動機には、実は消費税の増税も念頭にあったのではないか。
 増税、とりわけ消費税の導入や引き上げは政治の鬼門である。今までこれに取り組んだ内閣は短命に終わったり、世論の猛反発を受けたりした。両党とも、その怖さを知り抜いている。
 最近、自民党の財政改革研究会が構想をまとめた。10年代半ばをめどに、消費税率を上げて福祉財源に全額投入するという。一方、現在は増税を否定する民主党も、年金財政を賄うため消費税の3%増を打ち出した時期がある。将来と真剣に向かい合おうとすれば、負担増は避け難いということだろう。
 だれしも増税は嫌だ。だが政党には責任がある。20年後を見すえ、福祉の水準とそのための負担をパッケージにして示し、国民の納得を得る。政権をめざす政党は、それを選挙で競うべきだ。
 放置すれば、財政が破綻(はたん)し住民サービスがまともにできなくなった北海道夕張市のように、国全体がなってしまう。
 残された時間は少ない。希望社会を子どもたちに残すため、いま大人の私たちが解決策を出さなくてはならない。
(2007.12.9 朝日新聞社説)

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希望社会への提言(6)―安心勘定・我慢勘定に分ける
・安心勘定=現行水準の福祉サービスを守り抜く
・我慢勘定=血のにじむ歳出削減を貫く

    ◇
 希望社会を支える国の財政をどのように組み立てたらいいか。この難問に、これから2回で取り組んでみよう。
 年収の10倍以上もの借金を抱えている家庭があったら、ほぼ破産状態といっていいだろう。それと同じ姿なのが、日本政府の財政である。税収などが57兆円しかないのに、600兆円もの債務残高を背負い込んでいるからだ。
 これだけ多いとピンと来ないかもしれないが、生まれたばかりの赤ちゃんを含めて、国民1人あたり480万円の借金を抱えている計算なのだ。
 日本の財政は先進国で最悪の状態に陥っている。しかも、残高が十数兆円の規模で毎年増え続けている。
 下の図をご覧いただきたい。借金の元利金の支払いを新たな借金でしのいでいるだけでなく、毎年の経費の一部まで借金で賄っている。さらに日本は、これから世界に例のないピッチで少子高齢化が進み、医療や介護などの社会保障費がうなぎ登りで増えていく。
 このままでは借金が雪だるま式にふくれ、財政が破綻(はたん)するかもしれない。
 借金を増やさないよう厳しく管理しながら、高齢化に必要な社会保障費を賄っていくにはどうしたらいいか。
 そこで提案がある。財政を、大きく二つに分割して管理するのだ。
 青写真はこうだ。まず、医療や年金・介護・生活保護・子育て支援などの社会保障部門を一つにまとめて管理する。いわば、人々の生活を支える「安心勘定」である。次代を築く子どもの教育を、ここに含める手もあるだろう。
 それ以外の分野はもう一方にまとめ、国債の管理も担当する。ここでは増税をさせず、徹底した歳出カットで臨むので「我慢勘定」と呼ぶことにしよう。
 図でいえば、歳出をその右側のように二つに分けるイメージだ。
 「我慢勘定」に増税を認めないのは、政府を血のにじむような歳出削減に追い込むためだ。この勘定のなかでも、たとえば科学技術の振興や温暖化対策のように、未来のために拡充すべき分野もでてくる。無駄の多い公共事業や防衛費、人件費、天下りなどの既得権に対し強力に切り込まないと、その財源が確保できない仕組みにするのである。
 さらに国債削減の責任も持たせる。まず、図にあるAの赤字をなくす。政府が11年度達成をめざす基礎的財政収支の黒字化だ。これにより、国債費を除いた歳出を税収で賄えるようになる。
 これでもまだ、過去の借金の利払いの分だけは、国債残高が増えていく。できれば図にあるBの赤字まで解消して、残高の上昇を止めたい。だが、赤字は07年度で14.1兆円。歳出の削減だけで達成するのは容易ではない。
 それだけに、経済成長がカギになる。成長にともない自然に税収が増えるからだ。税収増と歳出削減により、少しでもBを減らしていかねばならない。
 一方の「安心勘定」では、少子高齢化に向けて、少なくとも現行水準なみの社会保障サービスを維持していきたい。
 では、その費用が今後どのくらいかかるようになるのか。厚生労働省の見通しから大まかに試算すると、国と地方を合わせて必要になる財政資金は2025年度で50兆円。06年度より20兆円多い。消費税でいえば6~7%の税率アップに当たる。大変重い負担だ。
 しかし、これを借金で賄うことは、もはや許されない。日本の財政は先進国で最悪だが、それなのに国債が嫌われもせず、金利が先進国で最低の水準にある。将来の世代が税金で返済してくれる、と市場が信じているからだ。
 この信頼が崩れたら金利がはね上がり財政が破綻する。そうなれば、福祉を支えることも不可能になってしまう。
 「我慢勘定」での歳出カットと経済成長が順調に進めば、「安心勘定」へ財源を回すことも期待できる。
 ただし、それを実現できたとしても、安心勘定を賄っていくには、やはり負担増を覚悟しなければなるまい。
 そこで次週は、消費税を中心に、これからの負担の姿を考えたい。
(2007.12.3 朝日新聞社説)
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希望社会への提言(5)―「第6次産業」を育てよう

・地域の「宝」掘り起こし、知恵を出し合い磨く
・「生産力・加工力・販売力」の三拍子で相乗効果を
     ◇
 地域を主役にした仕組みに日本を造りかえよう、と前回まで提言した。ではそのうえで、疲弊する地域経済を立て直すにはどうしたらいいだろうか。
 各地の成功例には、そのヒントが隠されているはずだ。
 日本海に面する兵庫県豊岡市で、不思議な光景に出会った。農閑期なのに、あちこちの田んぼで、田植えの前のように水が張られているのだ。こうすればイトミミズが増えて土が肥え、雑草が生えにくくなる。無農薬や減農薬の栽培がしやすくなるという。ドジョウなどの水生動物が増え、コウノトリの格好のえさ場にもなっている。
 日本のコウノトリは71年、この地域で絶滅した。農薬が命を縮めた。その後、人工飼育に努め、いま野生復帰したコウノトリ19羽がこのあたりに生息する。
 この方法で03年に米を作り始めた時には栽培面積が1ヘクタールもなかったが、4年間で157ヘクタールへ広がった。
 この秋、イトーヨーカ堂が始めたネット通販の新米に、ここの米が入った。5キロ3620円。新潟の南魚沼産に続いて2位の高値だ。安めの米の3倍近い。コウノトリがすむ田の米は安全でうまいという評価が定着したからだ。大阪市内の生協の組合員との交流も生まれ、顔の見える取引が増えている。
 食材のグローバル化が進む一方で、安全安心への需要が高まっている。農業に活路を見いだすには、このように「安全な食の供給基地」をめざすことが大切だ。そして、ネットも活用しながら消費者を直接つかんで独自の販路をつくる。いちどは絶滅したコウノトリが、そうした方向を暗示している。
 過疎地は日本の面積の半分を占める。雪深い新潟県の旧安塚町(現上越市)でも高齢化が深刻だ。だが、暗い影があまりない。民泊して農村体験する小中学生らが年間900人も訪れる。笹(ささ)だんごを売ったり、米のオーナーを募ったりと都会との交流が盛んだ。高齢化の進んだ集落が、こうした共同事業で年間1700万円を稼ぐ例もある。
 きっかけは、厄介な「雪」をお金に換えたことだった。21年前、町は雪だるま形の容器に雪と地元の特産品を詰めて出荷してみた。これが当たった。
 元町長の矢野学さん(67)は、さらに活用を思いつく。冬場に積もった雪を建物の地下にため、夏場の冷房に使う。これを高齢者施設や中学校へ広げ、大幅に電気代が節約できた。雪室で米や酒を貯蔵する事業も軌道に乗った。
 雪による町おこしが呼び水となり、宿泊体験者が相次ぐようになった。
 矢野さんは「商売する集落になろう」と呼びかける。知恵をしぼって、地域のハンディでさえ得意技に変えてしまう。それが現金収入に実れば、住民のやる気と自立心がさらに育つのだ。
 商店街に目を移そう。劇的に変わった街が滋賀県長浜市にある。「黒壁スクエア」と呼ばれ、約300メートル四方にレトロ調の店が並ぶ。むかし豊臣秀吉が長浜城主のころ、「楽市楽座」という無税の規制緩和街として栄えたところだ。
 88年4月に調べたら、商店街の人通りが日曜の1時間でたったの4人。大型店進出のあおりで、さびれきっていた。
 そのころ、「黒壁」の愛称で親しまれていた旧銀行の建物が取り壊されそうになる。中小企業経営者らが市と協力して建物を買い取り、翌年、ガラスを中心にした街づくりに乗り出した。建物は「黒壁ガラス館」として再生された。
 ガラスに縁はない土地だったが、欧州産を含め工芸品を展示販売したら受けた。各地から制作家が集まり、いまやガラス工芸の街として知られる。
 近くの北国街道沿いの古い町家が、工房やギャラリーに改装された。県外の人が経営する店も多い。街路は楽市楽座時代の区割りそのままによみがえった。いま、年間200万人を呼び込む。
 ものづくりの分野でも、伝統技術を生かして世界に輸出しているところがある。洋食器で知られる新潟県燕市では、磨き工程の下請け会社群が、アップル社の携帯音楽プレーヤー・iPod裏面の鏡面仕上げを担当した。
 国内有数の筆の産地、広島県熊野町の業者は、高値で売れる化粧用の筆に技術を応用し、海外に販路を広げる。
 「第6次産業」という造語がある。
 1次は農林水産、2次は製造加工、3次は販売サービス業だが、三つの数字を足しても掛けても、答えは「6」。掛けた場合は、どれかがゼロになると結果もゼロになってしまう。
 もとは、加工・販売まで一貫した農業づくりを提唱した言葉だが、地域経済にとってもこの相乗効果が欠かせない。
 自然や歴史、伝統といった足元の「宝」を掘り起こし、加工し、付加価値をつける。そして都会のニーズをつかみ売り込む。ここに取り上げた各地は、その総合力で自立の鍵をつかんだ。
 活性化といえば、いまだに公共事業や補助金を霞が関へ陳情するのがお定まりだ。だが、外からのお金に頼っているかぎり、自立はおぼつかない。
 地域がもつ知恵を出し合うことこそが「宝」を磨くことになるだろう。
より、
(朝日新聞 社説 2007年11月26日)
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希望社会への提言(4)―ご近所パワーが地域を変える
・問題解決のアイデアと活力は市民にあり
・団塊の世代よ、「テーマ別町内会」で活動しよう
    ◇
 住民一人ひとりの知恵や経験、人脈を自由に、ゆるやかに、それでいて確かな形で結んで、身近な人々のために一肌脱ぐ社会にできないものか。
 前回までは、自立する地域政府が中央政府と役割分担して、自治を競い合う姿を示した。今回はそこへ住民が積極的に参加することを提言したい。
 それがどれほど大きな力になるのか。「ゴミ分別」を見るとよくわかる。
 横浜市は2年前、ゴミを10種類に分けて出してもらう制度を始めた。頼ったのが3000の町内会や自治会だ。おかげで住民の分別運動が順調に進み、リサイクルが増えてゴミの量は3割も減った。二つの焼却工場を建て替えずに済み、総額1100億円も浮いた。財政難の市には貴重な新財源となった。
 環境省によると日本は「世界一のゴミ分別大国」だそうだ。いまや6割近い市町村で、11種類以上の複雑な分別を住民がこなしている。これがゴミ減らしの意識も高め、1人あたりのゴミ排出は1日1.1キロと先進国で最も少ない。
 こうした成果をあらゆる場面で出せれば、私たちの生活はもっと豊かになる。
 格好の教材がある。NHK番組「ご近所の底力」。住民たちが地域の悩みを解決するために奮闘する番組だ。
 こんな例があった。子どもを狙う犯罪の多発地域で、通学路を見守ろうと集まる。だが通勤時間と重なって、父母だけでは手が足りない。そこでお年寄りに協力を求め、自宅周りの掃除や散歩を通学時間に合わせてもらった。こうして、まちぐるみの見守り隊が誕生する。
 ほかにも、町営バス廃止で始まった乗り合いタクシーや、ボランティアによる落書き消し……。少しの知恵と労力を集めれば、これだけのことができるのか、と感心させられる例が多い。
 試みが失敗するケースも多いらしい。それでも、番組チーフプロデューサーの佐藤高彰さんは、回を重ねるごとにご近所パワーの可能性は大きいと実感する。「問題解決のための人材や資源は、どの地域にも必ずあります」
 かつて日本中に、祭りや防災で助け合う地域共同体があった。それが都市への人口集中や核家族化で次第に衰え、多くが機能を果たせなくなった。
 「カイシャ」もまた、都市住民にとっての共同体だった。社員家族の生活をまるごと面倒をみて、社会保障の穴を埋めていた。こちらも90年代の経済低迷を経て、頼れなくなっている。
 こうして、暮らしの安全弁に少なからぬ「すき間」が生じた。連帯型の福祉国家の実現には、そこを埋める新しい共同体が必要ではないだろうか。
 最近は「行政の下請け」にとどまらず、独自に活動する町内会が出てきた。地域活動を始めたマンション管理組合も少なくない。ただ、こうした地縁の組織だけでは限界がある。
 そこでカギを握るのが、民間の非営利組織(NPO)だ。NPOというと堅苦しいが、こちらは地縁ならぬ「テーマ別の町内会」と考えたらいい。
 いま全国に3万のNPO法人がある。独居老人への弁当宅配、ホームレスの自立支援、不登校の相談……。いずれも純粋なビジネスとしては成立しにくい事業だ。それを寄付・公的助成やボランティアの協力を得て運営している。
 NPOの存在感が高まったのは95年の阪神大震災だった。全国から集まったボランティアは、地元の住民組織なしには活動できなかったからだ。自治体の手が届かない少人数の要望にきめ細かくこたえたのもNPOだった。それがNPO法づくりにつながった。
 行政へサービスを要求するだけではなく、自ら行動する市民へ。地域政府が自立するには、こうしたNPOの活動が欠かせなくなるだろう。公園や公民館といった公共施設の管理運営を、NPO法人に委託料を払ってまかせる自治体が、すでに出てきている。
 千葉県我孫子市は昨年、市民の知恵や力を借りようと、1000超の仕事内容を公開して引受先を募った。これまでに市民大学講座や妊婦の健康指導など34の仕事をNPOや民間企業に委託した。
 市が期待しているのは、人口13万の1割を占める団塊の世代が、退職後にNPO活動へ参入してくることだ。「ビジネスや消費で時代をつくってきたこの世代に、こんどは地域のため働いてほしい」
 NPOが息長く活動するのに課題となるのは、資金と人材だ。地域政府や企業からの助成が欠かせない。例はまだ少ないが、松下電器産業や花王のようにNPOへ広く助成する企業が出てきた。
 自然保護や青少年教育、障害者の支援などのさまざまな社会貢献活動を、地域の一員として続けている企業も多い。こうした土壌をもっと広げたい。
 私たちは今年5月3日掲載の社説21で「もったいない、ほっとけない、へこたれない」の精神による外交を提案した。連帯型社会にもこれを生かしたい。「市民によるソフトパワー」である。
 住民の悩みはほっとけない。それを解決する力を眠らせておいてはもったいない。ときには失敗するかもしれないけれど、へこたれないでがんばりたい。
(朝日新聞 社説 2007年11月19日)


これだけアップしたら、字数が上限になってしまいました。
記事ばかりで、こめんなさい。

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コメント (2)
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